甘き人生の紹介:2016年イタリア,フランス映画。9歳の少年マッシモの母親が「楽しい夢を」ということばを残してある日突然いなくなる。30年後、ジャーナリストになった彼は真実に目覚めなければならなくなる。ジャーナリストのマッシモ・グラメリーニによる自伝小説を『愛の勝利を ムッソリーニを愛した女』等のマルコ・ベロッキオ監督が映画化した。
監督:マルコ・ベロッキオ 出演者:ヴァレリオ・マスタンドレア(マッシモ)、ベレニス・ベジョ(エリーザ)、グイド・カプリーノ(マッシモの父)、ニコロ・カブラス(マッシモ・幼少期)、ダリオ・ダル・ペーロ(マッシモ・少年期)、バルバラ・ロンキ(マッシモの母)、ほか
映画「甘き人生」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「甘き人生」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
甘き人生の予告編 動画
映画「甘き人生」解説
この解説記事には映画「甘き人生」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
甘き人生のネタバレあらすじ:起・30年前の朝
1969年のトリノ。9歳の少年マッシモとママはとても仲良しだった。家の中で、二人でロックンロールに合わせてダンスし、いっしょに白黒テレビで怖い映画を見る。でも母親はマッシモと乗ったバスの中で不安そうな表情を見せていた。クリスマスの頃のある夜、眠っているマッシモの枕元で母親は「楽しい夢を」とささやいて部屋を出る。明くる朝、マッシモはドアの外の叫び声を聞いて目覚める。多くの人が家に集まっている。慌ただしく父がでかける。でもママはいない。
1999年、新聞記者として成功しているマッシモはその家に帰ってきた。家を売ることに決め、立ち退きは一か月後と定まった。それまでに父の遺品を整理しなくてはならない。その過程でマッシモは自らの過去に向き合わざるを得なくなる。
甘き人生のネタバレあらすじ:承・受け入れられない死
マッシモ少年は祖父母の家で新年を迎えた後、父と教会に行って神父からお母さんは天国を望み、今そこにいると告げられるが、母の死を受け入れることができない。母のために祈ることを拒否した。家での葬儀でも棺の中に母がいることを認めようとしなかった。母の死を受け入れず反抗的なマッシモに父は手を焼くが、ある日家の窓から見えるスタジアムにマッシモを連れて行き、マッシモにサッカーへの熱狂が芽生える。また、マッシモは住み込みの家政婦を母の代わりにしようとしたこともあるが、間違いに気づく。母と見たテレビに出ていた怪人、ベルファゴールをいつしか自分の守り神にみたてていた。
マッシモは10代の少年に成長する。ある日、学校の親友のエンリコの住む豪邸に行く。エンリコの母親は息子への溺愛をマッシモに語るが、エンリコは母親を煙たがっている。でも二人が実は仲良しなのをマッシモは見る。そしてエンリコの母親はマッシモに、いつお母さんに会いに行くのかと問う。母親はニューヨークにいるとマッシモは友人たちに言っているのだ。マッシモは理科の先生である老神父に宇宙が始まる前に何があるのかを質問する。信仰の問題になる、そこには神しかいないと答える先生。突然マッシモは方々の教会に通い始める。そして夜、学校の礼拝所に来て電飾の電源を入れる。母を蘇らせたいと願うマッシモだが、理科の先生は、お母さんが永遠に生きている場所は天国だとさとし、現実を受け入れさせようとする。マッシモはついに父親に母の死因を問う。あの晩、マッシモの部屋の外で心筋梗塞を起こして倒れたのだと父は教える。
甘き人生のネタバレあらすじ:転・新聞記者マッシモ
1992年、マッシモはローマで新聞記者になってサッカーについての記事を書いていた。しかし、恋人との間はうまくいっていない。ある夜、新聞社の社長の大富豪に呼び出される。社長はマッシモのサッカーの記事が好きだという。だが、突然警察官たちが現れる。逮捕されることになった社長が別室に行くと銃声が響く。マッシモは編集長に電話して社長の自殺を報告するが、その場で社長の死についての記事を書くように命じられる。その記事によってマッシモは有名になる。
1993年、マッシモはサラエボに出張する。内戦下、死と隣り合わせで生活する人たちを取材してローマに帰った後、パニック障害を起こす。女医エリーザの診察を受け、彼女に信頼を抱く。診察の帰りに橋の上で、かつて母が橋の上から花を投げていたことを思い出していると、帰宅途中のエリーザとまた会ってしまう。
1995年、マッシモは久しぶりにトリノに行き、1949年の航空機墜落事故で死んだ地元サッカーチームの選手たちの追悼行事に出ている父親に会う。父親は三十歳の年下の恋人を得て幸福にしているが、たまにしか会えない息子に遺品を渡すのだった。ローマでの編集会議では読者投稿に返事を書く担当の老記者が、こんなひどい投稿に返事は書けない、俺は釣りに行くと息巻く。それは、ある男からの「傲慢な母を愛することができない。幼くして母を亡くした人がうらやましい」という投稿だった。編集長はマッシモに今回は彼が代わりに返事を書くように勧める。編集長はマッシモの母の死の記事を書いた人だった。マッシモは返事の記事で自分が幼くして母を失ったことを書き、投稿者に母親を愛してみるように勧める。この記事はたいへんな反響を呼んだ(もっとも老記者はマッシモが自分の生い立ちを売り物にしたことを批判し、投降した男性の母親の心にも訴えなかったようだ)。しかし、マッシモがもっとも記事の感想を聞きたかったのはエリーザである。エリーザに呼ばれて辺鄙な場所にある大きな家に行くと、エリーザの祖父母のダイヤモンド婚を祝うために世界中から親類が集まってパーティーを開いているところだった。エリーザは記事を気に入ったと言い、マッシモは、ダンスはできないと言いながら親類たちの前で見事なダンスを披露する。
甘き人生の結末:死の真相
遺品の整理をしているうちに、マッシモにはテレビで昔見た映画の、女性が高い階から飛び降りる映像が思い出されてくる。突然夜中に伯母に電話をして、母の死の真相を教えてくれとマッシモは頼む。家にやってきた伯母は書架の一冊の本を取り出す。そこにはマッシモの母親が5階から飛び降りて自殺したことを告げる新聞記事の切り抜きが挟まっていた。ショックを受けるマッシモ。伯母はとっくにマッシモが事実に気づいているものと思っていたと言う。お母さんはとても苦しんだと伯母は言うが、ママは息子を捨てたのだとマッシモは思う。マッシモは外に出て母が飛び降りた階を見上げる。そしてプールでエリーザが泳ぎ、飛び込み台から飛び込みをするのを見る。夜、ソファに横になっているマッシモをエリーザは背中から優しく抱いて、お母さんを行かせなさいとさとすのだった。マッシモはママと家でかくれんぼをして、ママが見つからなくて悲しくなったところでママが現れて、どこに隠れていたかを教えてくれた子供の日のことを思い出す。
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