大怪獣ガメラの紹介:1965年日本映画。北極圏で謎の戦闘機を追ったアメリカ空軍が戦闘となり、戦闘機を撃ち落としたことから、戦闘機に積んでいた核爆弾が爆発、伝説の怪獣ガメラが蘇り、東京を襲うという大映映画のガメラシリーズ1作目です。怪獣映画で独走する東宝のゴジラに対抗するために大映が結集して作り込んだ作品です。
監督:湯浅憲明 出演者:船越英二(日高教授)、山下洵一郎(青柳カメラマン)、姿美千子(桜井信代/俊夫の姉)、霧立はるみ(山本京)、北原義郎(桜井/俊夫の父)、浜村純(村瀬教授)ほか
映画「大怪獣ガメラ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「大怪獣ガメラ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
大怪獣ガメラの予告編 動画
映画「大怪獣ガメラ」解説
この解説記事には映画「大怪獣ガメラ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
大怪獣ガメラのネタバレあらすじ:起
北極圏でカメの調査をする『ちどり丸』に乗り込んだ日高教授は、助手の京子とカメラマンの青柳の3人で、エスキモーの村で話を聞いていました。村の酋長に伝説の巨大ガメの「ガメラ」の話を聞き、謎の化石をもらっている時、国籍不明の戦闘機が上空を飛んでいました。戦闘機を発見した『ちどり丸』の船長が、米軍に報告すると、米軍の戦闘機部隊が謎の戦闘機を追いました。
国籍不明の戦闘機は退去勧告を無視し続け、最後にはミサイルまで発射してきたため、米軍は攻撃を仕掛けて撃ち落としました。すると墜落して爆発し、大きなキノコ雲が上りました。謎の戦闘機は核爆弾を積んでいたのでした。
この爆発によって、氷の割れ目から巨大ガメの怪獣ガメラが蘇りました。ガメラは『ちどり丸』を襲い、60mの巨大ガメ発見の報告を最後に沈没しました。そして日高教授はアメリカのテレビ番組に出演し、核爆発によりガメラが蘇ったという報告をしました。
大怪獣ガメラのネタバレあらすじ:承
北海道の襟裳岬で灯台守をする桜井の息子の俊夫は大のカメ好きで、友達も作らずカメとばかり遊んでいました。学校の先生が俊夫の姉の信代に、学校にまでカメを持ちこんできていると注意をしました。家に帰った信代は俊夫に注意をし、父の桜井はカメを逃がしてきなさいと言いました。
俊夫は仕方なく灯台近くの岩場にカメを逃がしました。その時、海からガメラが出てきました。俊夫は喜び、灯台に上りました。ガメラは灯台を壊しました。その時、転落する俊夫をガメラが助け、地面に降ろしました。
その後ガメラは地熱発電所に向かいました。急遽北海道に向かった日高教授は、ガメラが破壊しながら炎を吸いこむ様子を見て、ガメラが炎を食べて生きていることに気づきました。そのため、自衛隊の攻撃は全く効かないばかりか、逆に力をつけさせていることがわかりました。米軍に核爆弾攻撃を依頼していた自衛隊に攻撃中止を命じました。
大怪獣ガメラのネタバレあらすじ:転
北海道大学の村瀬教授に相談し、一緒に対策を考えることになった日高教授は、自衛隊で開発中の冷凍爆弾に目をつけました。崖におびき寄せ、冷凍爆弾を命中させ、凍結時間の10分間の間に崖をダイナマイトで爆破し、ガメラを裏返しにしようという作戦でした。
作戦は見事成功し、村瀬教授はカメは自力では元に戻れないので、このまま飢えさせればガメラは死ぬと言いますが、次の瞬間、手足頭をひっこめ、炎を放ち、ガメラは飛び立ちました。
その後、東京湾では魚が獲れず、高潮で家が浸水するという異常に見舞われていました。日高教授はこれは東京湾にガメラが潜んでいるからだと言いました。そしてガメラが東京に現れました。石油コンビナートで炎を食べ始めました。東京に来ていた俊夫がコンビナートに入り込み、ガメラを見ていて爆破に遭い、救出されました。その頃、日高教授らは世界中の要人と会議を行い、伊豆大島で進行中の『Zプラン』でガメラを退治しようという決定がなされました。
大怪獣ガメラの結末
台風接近中の伊豆大島にガメラを誘導するため、炎の道を石油コンビナートから大島まで燃やしました。予定通りガメラが炎を食べながら大島に向かいました。もう少しのところで台風の強風にあい、火が消えました。そこで自衛隊に紛れ込んでいた青柳が、大島の倉庫に火をつけガメラを上陸させますが、風が強まり火は消えました。
万事休すと思った時、大島の火山が噴火しました。ガメラは火山に向かい始めました。そして『Zプラン』の前まで来たとき、『Zプラン』は開始されました。ガメラを炎の輪の中におびき寄せ、カプセルに格納しました。するとカプセルはロケットの頭となり、巨大ロケットが発射されました。
『Zプラン』とは火星移住計画でした。そしてガメラは火星に向かい飛び立ちました。日高教授らは成功を喜びあいました。カメラマンの村瀬は京子とデートの約束をし、俊夫は日高教授に、将来はカメの博士になると言いました。
以上、映画「大怪獣ガメラ」のあらすじと結末でした。
アラスカのエスキモーの村を、動物学者の日高教授(船越英二)たちは訪ねていた。
目的は、かつてこの地にあったとされる、アトランティス大陸に伝わる伝説のカメ、ガメラについてだった。
その時、国籍不明機がアメリカに撃ち落とされ、その飛行機が積んでいた水爆が爆発した。
そして、その氷の中からガメラが現われた。
やがてガメラは、北海道に上陸、そして東京を襲う。
通常兵器では歯が立たないガメラ。
そして、人類に残された最後の手段、Zプランとは? ——-。
大映映画初の怪獣映画「大怪獣ガメラ」は、上映時間が約80分弱の白黒映画だ。
ゴジラと並ぶ怪獣スター、ガメラのデビュー作にしては、少々規模が小さい。
最初からカラーで登場した、東宝のラドン、モスラに比べるとえらい待遇の違いだ。
ガメラのデビューは、東宝で言えば「バラン」クラスのB級怪獣扱いだ。
確かなことは言えないのだけれど、ひょっとしたら大映は、最初はガメラに対して、あまり期待はしていなかったのかも知れない。
この映画には、いろいろ突っ込み所はあるのだが、それをいちいち指摘するのは、野暮というものだろう。
むしろ80分という小品ながら、極地での怪獣出現、日本の地方への上陸、やがて、東京上陸を見せ場とし、人類最後の手段での対決など、怪獣映画のフォーマット、定石通りの展開になっており、妙な大人のドラマ(恋愛話とかその他)を挟まず、ひたすら、日高博士を案内人とした怪獣映画に徹した点が素晴らしい。
人間側の主役である日高教授は、動物学者としての立場からどうのこうの、という蘊蓄をたれることなく、「動物学者としてはガメラを殺すのは惜しいが、人類の平和のためならやむを得まい」とあっさり自己完結をして、変に悩んだり、攻撃への反対を訴えたりしない。
また途中で、内気なカメ好きの少年も登場するが、この少年の成長、というような教訓ドラマにもなっていない。
日活、松竹のガッパ、ギララが、オリジナル性を出そうとしたのか、話の焦点が、妙に違う方向に行ってしまった点を考えると、この点は実に素晴らしい事だと思う。
そして主役のガメラ。なんと言っても最大の特徴は、回転ジェットによる飛行、つまり空が飛べる点だろう。
北海道での自衛隊との対決の際に、自衛隊は冷凍爆弾(すごい新兵器。これだけでもクライマックスの対決に使えるような新兵器だ)を使用し、ガメラの動きを封じる。
ガメラが凍った10分間(冷凍爆弾の冷凍能力は現段階では10分しか効き目がない)の間に、ガメラのいる場所をダイナマイトで粉砕して、ガメラをひっくり返す。
「カメという動物は、ひっくり返ったら自力では起き上がれません。
このまま餓死するのを待てばいいのです」という浜村純教授の意見でホッとしていると、なんとガメラは、回転ジェットで空へ飛び去っていくのだ。
このシーンは、ガメラの特徴を際立たせる、鮮やかさがありましたね。
冷凍爆弾なんていう新兵器を、途中で出してしまって、クライマックスをどうガメラと対決するかと思えば、なんと宇宙船に乗せて、宇宙に葬り去ろうという壮大なプラン。
冒頭の東西冷戦で話がはじまり、ラストは、米ソの枠を超えた協力が、人類をガメラから救い、背景に東西冷戦があるというのが1965年という時代を感じさせる。
だからと言って、冷戦批判というような方向に話が進んでいかないところが、この「大怪獣ガメラ」という映画の魅力であることは間違いないだろう。