ここに幸ありの紹介:2006年フランス,イタリア,ロシア映画。大臣を罷免されたヴァンサン。公邸を追われ、愛人が彼の元を去る中、ヴァンサンは自分にとっての幸せを見つける。
監督:オタール・イオセリアーニ 出演:セヴラン・ブランシェ(ヴァンサン / 大臣)、ミシェル・ピッコリ(ヴァンサンの母)、オタール・イオセリアーニ(アルノー)、ジャン・ドゥーシェ(法務執行官の父)、リリ・ラヴィーナ(マチルド / ロシア女)、アルベール・マンディ(アフリカ人の大臣)、ヤニック・カルパンティエ(バケツ男)、ドゥニ・ランベール(ジェジェ / ビストロの主人)、ほか
映画「ここに幸あり」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ここに幸あり」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ここに幸ありの予告編 動画
映画「ここに幸あり」解説
この解説記事には映画「ここに幸あり」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ここに幸ありのネタバレあらすじ:起・失職した大臣
大臣の職を罷免されたヴァンサン。これまで黒人の大臣との交流や、村人への章の授与など多方面に働き、執務室は贈られた物でいっぱい。また、彼の愛人も浪費癖があり、大臣邸は彼女の物で溢れかえっていた。
職を失うと共に、ヴァンサンは数枚の絵だけを持ち、他は全て捨て、次の大臣へ執務室を明け渡した。部下を連れてやって来た新しい大臣は、残されていた秘書の女性だけ雇った。
大臣邸では、愛人が自分の持ち物すべてを持ち出し、ヴァンサンの物だけ置いて先に引っ越してしまった。残されたヴァンサンはジャケットを一枚だけ着て、前妻のいるアパートへ向かった。しかし、彼女はこれから旅に出るからと言って彼には取り合わなかった。そしてそれを見守るように付いて来ていた最後の部下を、ヴァンサンは放っておいてほしと解雇した。
ここに幸ありのネタバレあらすじ:承・住居探し
昔住んでいたアパートに住みたいと、母親に鍵を貰うが、そこには全く知らない黒人や家の無い者たちが不法占拠していた。ヴァンサンは仕方なく隠し部屋で過ごす事にした。
アパートの前へ出ると、住人に上からバケツの水をかけられたヴァンサンは通りかかった部歌詞なじみの女性の家で着替え、司祭になった旧知の友と酒を酌み交わし、大臣が凡人に戻ったと言った。けれど、世間はヴァンサンを忘れてはおらず、夜の街で絡まれ罵倒された。
酔いつぶれた友人のアルノーを連れて、母親の家へ帰った。アルノーは翌日ヴァンサンの家族と庭で朝食を取り、ヴァンサンは元妻に返されたローラーブレードで出掛けるがうまくいかず、怪我をしてしまった。そこへ、また別の友人の女性が通りかかり、彼を解放してくれた。
アパートの件に関しては当局に対処を頼んだ。
愛人は別の屋敷に荷物を運び込み新しい生活を始め、新しい大臣は交流をはじめとした仕事を始めた。
大臣官邸を訪れたヴァンサンに、黒人の大臣は罷免されたことを悔やんでいると伝えるが、マスコミに追われてしまい長く話はできなかった。
ここに幸ありのネタバレあらすじ:転・新たな出会い
ヴァンサンは自分がピアノを弾くこともあり、近所の楽譜屋でバルバラと出会い、仲良くなった。
実家では母親がパーティーを開きたくさんの人を家に呼んだが、夜、雨の中、乱闘が起きてしまいヴァンサンは怪我をしてしまった。ママに助け出されるも病院へ運び込まれ、そこでヴァンサンと元妻を含め、懇意にしていた女性たちが鉢合わせをしてしまい、ヴァンサンには女性の友達が多いと言う事で皆に納得してもらった。
アパートでは機動隊が出動し、不法占拠していた住民たちを全員退去させた。そのアパートにヴァンサンは新しいペンキを塗った。
ここに幸ありの結末:歌と友人と酒と
ヴァンサンはアパートで手作り装置を作り趣味を満喫。
彼の友人たちは酒を飲み歌っていると、騒音を訴えられ、しまいには警察がやってくる始末。
強制退去させれた住民は川縁で酒盛りをしていた。
ヴァンサンの行きつけのバーは閉店し、壁に描かれた絵には、白いペンキが塗られてしまった。
ヴァンサンはバルバラのピアノにギターを合わせて弾いたり、一緒に庭仕事をしたり、悠々自適に過ごしていた。やってきた今の大臣の関係者に元気かと聞かれ、ヴァンサンは最高だよと答え、恨みなど無いと笑い、家族や仲間と庭で昼食をとった。
以上、映画「ここに幸あり」のあらすじと結末でした。
ここに幸ありのレビュー・考察:それぞれの幸せ
突然の罷免と言う大事に見舞われながらもヴァンサンはどこか飄々としている。「大臣」と言う彼のステータスがなくなった途端、いなくなったのは愛人。その愛人はものにあふれた生活を変わらず続けている。一方失った当人のヴァンサンは在職中こそたくさんの贈り物に囲まれいたものの、仕事の合間はカードで遊んでいたりとどこか手持無沙汰な感じがする。大臣と言う肩書に付いて来ていた物ではなく、一般人に戻ったヴァンサンの元に残った人や物、音楽など見えないものや娯楽に見出した充足感が、「最高だよ」と言う言葉に集約されている。
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