グローリーの紹介:1989年アメリカ映画。「愛する人のために、自らのために、夢を賭けて男たちは戦う」というキャッチコピーで、アメリカ南北戦争に実在した米国史上初の黒人部隊の運命を描いた戦記大作です。激戦の中で黒人たちがアイデンティティを確立していく姿が感動的で、その象徴のような黒人兵を演じたD・ワシントンは本作で第62回アカデミー賞および第42回ゴールデングローブ賞の助演男優賞を受賞しました。
監督:エドワード・ズウィック 出演:マシュー・ブロデリック(ロバート・グールド・ショー)、デンゼル・ワシントン(トリップ)、モーガン・フリーマン(ジョン・ローリンズ)、ケイリー・エルウィズ(キャボット・フォーブス)、ジミー・ケネディ(シャーツ)、アンドレ・ブラウアー(トマス・シアーレス)、ジョン・フィン(マルケイ曹長)、アラン・ノース(アンドリュー知事)、クリフ・デ・ヤング(モントゴメリー大佐)、ほか
映画「グローリー」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「グローリー」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
グローリーの予告編 動画
映画「グローリー」解説
この解説記事には映画「グローリー」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
グローリーのネタバレあらすじ:起・初の黒人部隊
ロバート・グールド・ショーはボストンの裕福な奴隷廃止論者の息子で、23歳の時、南北戦争に身を投じ、北軍ポトマック軍団での体験を両親に書き送りました。「悪をもたらす力はやがて衰え、祝福は傷を癒し、愛はすべての障害を克服する」
1862年、メリーランド州アンティタムの戦いを辛くも生き延びた北軍大尉ロバートは、若くして大佐に就任しました。実家に帰ったロバートはパーティの席上で知事から、黒人だけで編成する第54連隊の指揮官になることを勧められました。「虐げられてきた黒人に誇りと尊厳を与えるのだ」このフレデリック・ダグラスの言葉に感銘を受けたロバートは、史上初の黒人部隊の連隊長となることに決心しました。親友の白人士官キャボット・フォーブスが、補佐官として手助けしてくれることになりました。また、ロバートが指揮官になると聞き、幼馴染のトマス・シアーレスが軍人として志願しました。こうして、ロバートは第54マサチューセッツ志願歩兵連隊の連隊長となりましたが、これから彼は敵である南軍よりも先に、味方である北軍内の差別や偏見・無理解と戦っていくことになります。
グローリーのネタバレあらすじ:承・黒人兵士
部隊にはたくさんの黒人が志願してきました。しかしその多数が南部から逃げてきた元奴隷たちで、目当ては食べ物や着る物でした。訓練は過酷なものでしたが、肉体的に優れていた黒人たちはみるみる上達していきました。「黒人兵の進歩の速さは白人兵に勝ります。命令を真面目に受け、従順に実行します。訓練が終わるとすべての舌が動き、白い歯が踊ります。家畜のようにこき使われて学んだのでしょう。一斉に心を解き放ち、精神の蓄えとするのです」元来差別がきらいなロバートは、見ているうちに黒人たちの味方になりました。
しかし、奴隷解放を叫ぶ北軍でも、差別は根強く残っていました。黒人だけの第54連隊に満足な支給はありませんでした。ロバートは幾度も上層部に申請し、ようやく銃が支給されました。銃を使う黒人たちの姿を見たロバートは、その緊張感の無い様に不安を抱きました。このままでは戦場で命を落としてしまうと思ったロバートは、これまでになく厳しい姿勢で臨みました。そんなロバートの思いを想像できないキャボットやトマスは戸惑い、反感を抱きました。
そんなある日、何かと斜に構え、黒人としての誇りを主張する兵士トリップが脱走を図りました。指揮官としてロバートは苦悩しながら、トリップを鞭打ちの厳罰に処しました。トリップの目から一粒の涙が流れました。それを見たロバートはその夜、思慮深いジョン・ローリンズ曹長に声をかけました。「君と兵士のことを時々話せたら幸いだ」「兵士に靴を…。彼は靴がほしくて脱走を。彼も戦いたいと思っているのです」ロバートはトリップの血だらけの足を見て驚きました。「黒人たちは皆?」「ええ」ロバートは早急に靴の支給を上層部に訴えました。そんな努力の甲斐あって、連帯に靴や軍服などが支給されました。この頃から次第に、ロバートは黒人たちから信頼を得るようになりました。
グローリーのネタバレあらすじ:転・根強い偏見
ローリンズやトリップたちは軍服に身を包み、街を行進しました。いまや第54連隊は全米の注目の的でした。「信じられないだろ?逃亡奴隷が今や兵士だ。神の国は近い」1863年6月、サウスカロライナ州ビューフォートに入った部隊を、地元黒人たちは羨望の眼差しで迎えました。それから連隊は旅団長モントゴメリー大佐が率いるもう一つの黒人部隊と共に、ジョージア州ダリエンに進軍しました。しかし、待っていたのはモントゴメリーの人権を無視した命令でした。ロバートは泣く泣く命令に従い、部隊に非情な命令を下すしかありませんでした。
物資は恵まれてきましたが、黒人たちの部隊には肉体労働の任務しか回ってきませんでした。無為と絶望から、黒人たちの士気が衰える一方でした。戦うのは優れた人種である白人で、黒人は肉体労働さえしていればよいという思想が色濃く残っており、時の大統領リンカーンは、黒人たちは前線に出てはならないと命令していたからでした。解放運動を叫びつつも、北軍にもいまだに差別は根強く残っていました。
そんなある夜、苛立つトリップはインテリのトマスに喧嘩を吹っ掛けました。「白人と同じ軍服を着ても、俺たちは醜いチンパンジーなのさ。お前は墓でも掘ってろ」「いい加減にしろ!」「手を放せ、黒人!胸にリボンをくっつけりゃ、白人気取りで人をこつくのか。貴様は白人のイヌさ!」「お前はムチでこき使われた恨みを晴らしたいのか。死ぬよりはマシだろ?白人は何千もこの戦争で死んでる。お前やオレのためにな。俺は墓を掘ったよ。そして神に誓った。人間として戦う時だ!“黒人”だと?黒人は貴様だけだ。悪態つきの愚かな黒人」仲裁に入ったローリンズの言葉に、トリップは閉口するしかありませんでした。その一方、ロバートはあらゆる手段を講じて、粘り強く大統領や上層部に抗議し続けました。
グローリーの結末:誇りをかけた戦い
1863年6月、サウスカロライナ州ジェームズ島、ついに第54連隊が前線へと出る時が来ました。士気に沸く黒人たちは、戦地ですばらしい働きを見せました。北軍はゲティスバーグの戦いやビックスバーグの戦いで大勝利を収めていました。北軍の勝利は目前でした。ロバートは難攻不落と呼ばれた南軍の要塞フォート・ワグナーへの先頭部隊に志願しました。多数の犠牲者が出ることは必至でした。
戦いの前夜、黒人たちはゴスペルを歌いました。各々が主へ祈りを語りました。「明日戦う俺たちには誇りがある。人間の誇りだ」トリップは目に涙を溜めながら語りました。翌日、戦いに向かう勇敢な黒人たちに、白人たちは惜しみない声援を送りました。ロバートの号令の下、部隊は進撃しました。容赦なく降り注ぐ砲撃の中、果敢に黒人たちは進攻しました。先陣を切って突撃したロバートは、敵の銃弾で命を落としました。目の当たりにしたトリップは部隊旗を掲げ、突撃するも、敢えなく銃弾の前に倒れてしまいました。
壮絶な激戦の末、第54連隊は半数以上の兵を失い、全滅してしまいました。後続の白人部隊も多大な損害を受け、撤退を余儀なくされ、要塞の占領はなりませんでした。しかし第54連隊の武功が伝わり、その後、黒人部隊の設立が正式に認可され、18万の黒人が志願し、北軍の勝利に大きく貢献したのでした。
以上、映画「グローリー」のあらすじと結末でした。
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