極道の妻(おんな)たちの紹介:1986年日本映画。家田荘子のルポルタージュを原作に、ヤクザの世界を女性の視点から描いた人気シリーズの第1作です。暴力団の抗争に巻き込まれていく二人の女性を描いています。
監督:五社英雄 出演者:岩下志麻(粟津環)、かたせ梨乃(池真琴)、成田三樹夫(小磯明正)、世良公則(杉田潔志)、藤間紫(堂本絹江)ほか
映画「極道の妻たち」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「極道の妻たち」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
極道の妻たちの予告編 動画
映画「極道の妻たち」解説
この解説記事には映画「極道の妻たち」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
極道の妻たちのネタバレあらすじ:起
とあるクラブでは、現在服役中の巨大暴力団・堂本組の傘下の粟津組組長の妻で夫に代わって組を率いる粟津環(岩下志麻)を筆頭に、同じく服役中の夫を持つ妻たちが「懲役やもめの会」を開いていました。環の妹・真琴(かたせ梨乃)は、貧しい工場を経営する父・保造(大坂志郎)と暮らしながらスナックでホステスとして働いていました。真琴は常連客で芸能プロ社長の杉田(世良公則)から口説かれていましたが、そんなある日、ロールスロイスで店に乗り付けた環は真琴に東大出のエリートとの縁談話を持ちかけてきました。そんな時、堂本組の総長が急死したという知らせが舞い込んできました。総長の遺言に従い、跡目は若頭の柿沼(岩尾正隆)に決まり、これに不満を持つ舎弟頭の蔵川(疋田泰盛)は補佐の小磯(成田三樹夫)らと組んで朋竜会を結成します。
極道の妻たちのネタバレあらすじ:承
小磯は環ら粟津組を引き込もうとしますが、環は堂本への忠誠を貫いて断ります。小磯は杉田を呼び出し、柿沼の暗殺を指示します。杉田は芸能プロ社長というのは隠れ蓑で、実は小磯の舎弟だったのです。杉田は兄弟分の川瀬(小松政夫)と共に射撃訓練のためグアムに飛びます。同じ頃、グアムでバカンスを楽しんでいた真琴は、偶然にも杉田と再会します。コテージに誘われた真琴はそのまま杉田に抱かれます。帰国した真琴は環に縁談を断り、杉田の名を伏せたまま極道と関係を持ったことを告げた矢先、柿沼が射殺されたという知らせが入ります。環は全面戦争を決意しますが、直後に川瀬が警察に自首、真琴は川瀬の本拠地である愛知県常滑市に向かいます。
極道の妻たちのネタバレあらすじ:転
柿沼暗殺の真相を隠蔽したい杉田は真琴にプロポーズ、そのまま結婚式を挙げます。しかしその直後、杉田は突然雪崩れ込んだ警察に逮捕され、真琴は咄嗟に柿沼殺害の証拠の拳銃を隠します。一方、小磯はヒットマンを差し向け、環を暗殺しようとしましたが失敗、環は報復として小磯の自宅にトラックを衝突させて損壊させます。抗争が長引くことを懸念した堂本の妻・絹江(藤間紫)の手打ちにより、環と小磯の二者会談が開かれ、朋竜会の解散を条件に戦争終結が決定します。その直後、保釈された杉田は、朋竜会解散宣言の真偽を確めるため、家族と海水浴を楽しむ小磯に詰め寄ります。やけくそになった杉田は小磯の前で自らの腹を突き刺すも死ぬことはできず、そのまま行方をくらまします。仕方なく真琴は実家に帰りますが、既に姉妹の父は他界しており、実家も他人の手に渡っていました。途方に暮れた真琴は環を頼り、環の部下による監視を受けながら暮らし始めます。
極道の妻たちの結末
堂本の三代目はあと数ヶ月で刑期を終える粟津に決まりました。ある日、環の車列に1台の車が割り込みました。生きていた杉田とその子分・花田(竹内力)でした。杉田は環に真琴を返してほしいと懇願しますが、環は相手にすらしませんでした。杉田が生きていることをしった真琴は彼の元へ行こうとして環と大喧嘩となり、環は「今日限り、わてらは姉妹でない。身内でもない。別々の極道の女房や」と絶縁を突きつけます。古いアパートで杉田と再会を果たした真琴は激しく愛し合いますが、その途中で環の子分・清野(清水宏次朗)が現れ杉田をメッタ刺しにします。真琴は清野を射殺しますが、杉田は真琴を抱きながら息を引き取ります。その後、粟津(佐藤慶)が出所する日が来ました。環や組員らが総出で出迎える中、突然花田が絶叫しながら駆け寄り、粟津に向かって発砲します。粟津の白いスーツは血に染まり、環は驚愕の表情を上げました。
「極道の妻たち」感想・レビュー
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岩下志麻似合いすぎしびれたかっこいい
戦後映画史を彩ってきた東映ヤクザ映画が突然変異を遂げて出来た傑作です。
家田荘子のルポルタージュを原作に、監督は五社英雄、主演はご存じ岩下志麻。当作を皮切りに10本続いたこのシリーズは彼女の代名詞となりました(もっとも、シリーズ中には十朱幸代や三田佳子が主演の物もあります)
主人が懲役で不在の中、本家の跡目を巡って辣腕を振るう岩下志麻の格好良さをひたすら楽しむ映画です。細かい理屈は要りません。
同じく夫が懲役で不在の極妻を集めて「懲役やもめの会」なる慰労会を催したと思えば、その帰りにヒットマンに襲われ、太もものホルスターから取り出した拳銃で返り討ち(勿論和服で)
跡目争いのライバルである成田三樹夫の家にダンプカーを突入させ(成田三樹夫の見事な小物ぶりも相まって完全にギャグです)
最後には五社作品恒例のキャットファイトを、妹役のかたせ梨乃とやってくれます(しかも高そうな着物をびりびりと破きながら)
また、若き日の竹内力がチンピラ役で出演しています。しかも、ラストシーンで岩下志麻の主人である佐藤慶を仕留める美味しい役どころです。今なら組長役でしょうが、このころはこういう役だったんだなと少し感慨深くなります。