グッドナイト&グッドラックの紹介:2005年アメリカ映画。伝説的なテレビキャスター、エド・マローの実話をジョージ・クルーニーが映画化。真実を求め、権力に立ち向かうジャーナリストの姿を描いた社会派ドラマ作品である。マッカーシズムが吹き荒れていた1950年代のアメリカ。誰もが標的にされることを恐れて口をつぐみ、萎縮した時代が始まっていた。それに警鐘を鳴らしたのがCBSのキャスター、マローだった。彼は真実の報道と自由な思想を掲げ、仲間と共に敢然と権力を批判する。
監督:ジョージ・クルーニー 出演者:デヴィッド・ストラザーン(エド・マロー)、ジョージ・クルーニー(フレッド・フレンドリー)、ロバート・ダウニー・Jr(ジョー・ワーシュバ)、パトリシア・クラークソン(シャーリー・ワーシュバ)、レイ・ワイズ(ドン・ホレンベック)ほか
映画「グッドナイト&グッドラック」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「グッドナイト&グッドラック」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
グッドナイト&グッドラックの予告編 動画
映画「グッドナイト&グッドラック」解説
この解説記事には映画「グッドナイト&グッドラック」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
グッドナイト&グッドラックのネタバレあらすじ:不自由の国アメリカ
舞台は1958年10月25日、アメリカ。放送協会は「エド・マローを讃える会」と銘打って講演を催しました。マローはCBSの人気キャスターであり、報道番組「シー・イット・ナウ」で様々な問題を世間に問い続けてきたジャーナリストです。中でも上院議員ジョセフ・マッカーシーとの対決は人々の心に強い印象を与えました。スピーチのため登壇したマローは、「テレビは人を欺き 笑わせ 現実を隠している」と語り始めます。――1953年10月14日。1940年代から50年代にかけて、ソ連と冷戦下のアメリカでは共産主義への恐怖が広がっていました。共産主義からアメリカを守るため、マッカーシー議員を中心に共産主義者とその同調者を排斥する運動が始まります。しかしその活動は次第にエスカレートし、証拠や根拠に乏しくとも共産主義者として告発されると排除されてしまうようになりました。マスコミも標的になるのを恐れて批判を控える中、マローはミシガン州で起きたある事件に目を付けます。それは空軍予備役のマイロ・ラドゥロヴィッチ中尉が不当に解雇された事件でした。理由は彼の家族が反政府的な活動を行っているため。マロー達はマッカーシーを批判する絶好の問題だと取材に乗り出しますが、局側は難色を示します。今や政府やマッカーシーに楯突く人間は、共産主義者として攻撃されてしまう時勢です。しかしマローと番組プロデューサーのフレッド・フレンドリーは屈しません。彼らは数人の仲間と共に、マッカーシーへの宣戦布告とも取れる番組づくりに着手しました。
グッドナイト&グッドラックのネタバレあらすじ:権力対ジャーナリズム
同年10月20日。マローは「シー・イット・ナウ」でラドゥロヴィッチ中尉の事件を取り上げました。解雇についていかなる審議もなされなかったことを紹介し、あまりに不当な人権侵害であることを強調します。今後もこの事件について詳しく検証していくことを告げたマローは、「グッドナイト そして グッドラック」と挨拶して番組を締めくくりました。人々の反応は様々で、賞賛や批判が飛び交います。特にマローのキャスター仲間ドン・ホレンベックは共産党シンパだとバッシングを受けました。更にマローはCBSの会長ウィリアム・ペイリーから呼び出しを受けます。マッカーシー側がマローを共産党シンパだと噂し、攻撃を始めたのです。マローはキッパリ否定しますが、ペイリーは攻撃がどんどん激しくなるだろうと予想していました。ペイリーは社員の生活を背負っている身。出来ればリスクは負いたくありません。マッカーシーの自滅を待てと説得されるマローですが、当然その要求を跳ね除けます。1954年3月9日。マローは番組内で、調査と告発の間に跨る一線を越えるべきではないと主張しました。恐怖で理性を曇らせてはならないこと。マッカーシーの反対者も信奉者も黙るべきではないということ。自国の自由を守れないようでは他国に自由を与えられるはずがないと訴え、マローはいつもの挨拶で番組を締めくくりました。放送終了直後から局には電話が殺到し、好意的な意見が多く寄せられます。しかしホレンベックへの攻撃は相変わらずで、彼は笑って受け流そうとしますが焦燥と憂鬱が顔を覆っていました。
グッドナイト&グッドラックのネタバレあらすじ:直接対決
翌日、マロー達のもとへ朗報が飛び込んできます。空軍長官の発表で、ラドゥロヴィッチ中尉の雇用の継続が決まりました。喜びに沸くマロー達は、次なる手としてアニー・リー・モスの事件を取り上げることにします。彼女は国務省の暗号室に勤めていましたが、満足な審議も無いままスパイだと断定され追及を受けていました。人権問題を切り口にして彼女の疑惑を晴らそうと動くマロー達。番組でモス夫人の審問の様子を紹介し、マッカーシーのあまりに強引なやり方を放送します。すると4月6日、ついにマッカーシーが直接マローを攻撃してきました。マローは敢えてコメントを挟まず、マッカーシーの主張を放送します。マッカーシーは「マローこそはジャッカルどもの――ずる賢いリーダーなのです」と痛烈に批判。そしてマローの経歴に触れ、彼が秘密警察的な仕事を行っていたこと、共産主義の宣伝にも携わっていたことを暴露しました。しかしマローは翌週の番組でそれらを完全に否定し、マッカーシーを批判する者は皆共産主義者にさせられてしまうのだと話します。彼は武力で競わずともアメリカ国民は思想で優れていると言い、自由な思想や教育の重要性を説きました。
グッドナイト&グッドラックのネタバレあらすじ:奮闘の先に
番組終了後、世論はマローを支持し、マッカーシーは敗北するかたちになりました。更に軍の訴えで、上院がマッカーシーを調べることになります。勝利に沸き立つマロー達でしたが、そこに思いもよらない一報が入ります。ホレンベックが自殺したのです。更に部下のジョー・ワーシュバとシャーリー・ワーシュバがCBSを去ることになりました。2人は社内結婚が禁じられているにも拘らず婚姻関係を結んでおり、それがばれてしまったのです。マローとフレッドもペイリーに呼び出され、番組の放送枠変更と人員削減を告げられました。今や娯楽番組に人気は移っており、報道番組は評価されにくくなっていたのです。ペイリーは今まで可能な限りマロー達をサポートしてきましたが、流行の移り変わりに逆らうことは出来ません。マローとフレッドは憤りますが、これにめげるはずも無く「最後まで闘おう」と誓い合うのでした。
グッドナイト&グッドラックの結末:テレビのあり方
物語は冒頭のスピーチに戻ります。マローは情報や思想はもっと重視されるべきだと訴えました。テレビが娯楽と逃避のための道具なら、元々価値など無いと言い放つマロー。テレビは人を教育し、啓発し、心さえ動かすもの。それには使う側の自覚が大切であり、それがなければテレビはただメカの詰まった箱でしかないと語りました。そしていつものように「グッドナイト そして グッドラック」とスピーチを締め、この映画も終わりを迎えます。
以上、映画グッドナイト&グッドラックのあらすじと結末でした。
この映画の感想を投稿する