グリズリーマンの紹介:2005年アメリカ映画。野生の熊に人生を捧げた環境保護活動家ティモシー・トレッドウェルの姿を描くドキュメンタリー。ティモシーが遺した膨大な映像を基に、関係者のインタビューを挟む形で進んでいく。ティモシーは一切の武器を持たず、アラスカで野生の動物達と共に夏を過ごしていた。特に彼を魅了したのはグリズリーで、それぞれに名前を付けては家族や友人のように接していた。ティモシーはグリズリーを愛し、彼らの守護者を自称して危険を顧みずキャンプし続ける。そして2003年10月、同行者エイミーと一緒にグリズリーに食い殺されたのだった。
監督:ヴェルナー・ヘルツォーク 出演者:ティモシー・トレッドウェル、ヴェルナー・ヘルツォーク、、エイミー・ヒュグナード、ウィリー・フルトン、ジュエル・パロバック、ほか
映画「グリズリーマン」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「グリズリーマン」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
グリズリーマンの予告編 動画
映画「グリズリーマン」解説
この解説記事には映画「グリズリーマン」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
グリズリーマンのネタバレあらすじ:壮絶な人生
アラスカ州、カトマイ国立公園の一角。環境保護活動家のティモシー・トレッドウェルは、草原を悠々と歩く2頭のグリズリーにカメラを向けています。彼はグリズリーを守ることを目的に、夏の間アラスカでキャンプをしていました。
野生のグリズリーに近付くことは非常に危険ですが、ティモシーはこの生活を13年間も続けています。ティモシーは生き残るコツとして、死をも恐れない強い存在になれとカメラに訴えました。ティモシーは晩年の5年間、カメラを担いで100時間以上の映像を録画しています。
グリズリーの生態を広めるため、積極的に学童教育も行いました。人間と動物の関係さえ狂わせかねない彼の行動を疑問視する声は常にありました。そんな彼の活動も、2003年10月6日に突如終わりを迎えます。同行者の恋人エイミー・ヒュグナードと共に、グリズリーに食い殺されてしまったのです。
その惨劇の発見者は、ティモシーの親友でエアタクシーパイロットのウィリー・フルトンでした。彼はいつもキャンプに向かうティモシーの送迎をしています。約束の場所にティモシー達が現れないことを不審に思ったウィリーは飛行機でキャンプ上空へ向かい、そこでグリズリーに食われている2人を発見したのです。連絡を受けた公園管理者は現場へ向かい、2人を食い殺したグリズリーを射殺しました。
グリズリーマンのネタバレあらすじ:それぞれの考え
ティモシーはグリズリーを守っていると考えていました。しかしグリズリーは国が保護する土地に暮らしており、連邦法に背いてまで個人が活動する必要があったのかと問われると、どうしても疑問が湧きます。ティモシーは地球に住むもの同士として、グリズリーとも分かり合えると信じきっていました。
つまり現実が見えていなかったのです。事実、彼の活動に対し批判的な声は少なくありませんでした。中にはグリズリーを見下した行為だとする意見もあります。ティモシーの友人で部下のジュエル・パロバックは、彼と3年間一緒に暮らしていました。エイミーについては、勇敢で強い女性だったと話します。
ティモシーにとって、動物は生き甲斐を与えてくれた素晴らしい存在でした。彼は昔重度のアルコール依存症でしたが、グリズリーと出会い、誰かが保護や世話をしなくてはならないと感じたそうです。ティモシーはグリズリーのためにアルコール依存症を克服したと考えていました。エイミーの正体は、映像だけではよく分かりません。ティモシーの日記によると、彼女は熊に怯えていたそうです。
グリズリーマンのネタバレあらすじ:ティモシーの背景
ティモシーとエイミーがグリズリーに襲われた際の音声が残されています。先に襲われたティモシーは、エイミーに逃げるよう訴えました。しかし彼女はティモシーを助けるため、熊に立ち向かったのです。エイミーはティモシーほどグリズリーに愛着を持ってはおらず、むしろ警戒していました。しかし彼女は最後の瞬間、ティモシーと共に戦い、グリズリーの地に残ることを選択したのです。
その音声テープはジュエルが保管しており、監督のヴェルナー・ヘルツォークは許可を得て実際に聞いてみました。聞き終えた彼は、テープを壊した方が良いとジュエルに言います。
ティモシーは4人の兄弟と一緒に、ロングアイランドの中流家庭で育ちました。彼の母は、幼少期はごく普通の子どもだったと語ります。大学で酒を知ってから彼の転落は始まりました。カリフォルニアへ行き、俳優を志すものの挫折。やがて致死量に近い薬物を摂取し生還を果たしてから、ティモシーは新しい人格を必要とし、自らの来歴を偽るようになりました。抗うつ剤を処方されたこともあり、心には闇を抱えていたようです。
グリズリーマンのネタバレあらすじ:現実
アラスカで動物達と接している時も、ティモシーは度々精神的に不安定になっていました。彼が最も動揺したのは、子熊の頭蓋骨を見つけた時です。川にサケがいないため、飢えた熊が共食いしたのでした。ティモシーは悲嘆し、サケが泳げるよう川に通り道まで作ってしまいます。
彼は自然界に捕食者がいることを見落としているような節すらありました。アラスカにはおよそ35000頭ものグリズリーがおり、ここ20年ほど密猟は滅多に出ていません。ティモシーはそんなことなど知らず、訪問者は全て侵入者だと感じていました。その敵意はアメリカ合衆国国立公園局にまで向けられました。
規制を与えられたティモシーはカメラに向かって、ここで動物を守っているのは自分だけだと叫びます。そして公園局を汚い言葉で何度も中傷しました。人間界と文明がティモシーの敵だったのです。
グリズリーマンの結末:ティモシーのメッセージ
ヘルツォークはティモシーの友人キャサリン・パーカーにインタビューします。ティモシーは冬の間、彼女の家の地下に荷物を置いていました。キャサリンはティモシーの遺灰をアラスカに持参し、彼が最後にキャンプした場所に散骨します。
ティモシーにとって最後の夏、彼はいつもより長くアラスカに滞在しました。大半の熊は既に冬眠しており、残っているのはより凶暴になった熊だけです。それでもティモシーは武器を携帯しようとしませんでした。彼は自分ならグリズリーと共に生きていけるという自信があったのです。
ティモシーの膨大な映像を見たヘルツォークは、その行動や考え方を全肯定しませんでした。しかしティモシーは生と死の意味を教えてくれたと語り、この映画は終わりを迎えます。
以上、映画「グリズリーマン」のあらすじと結末でした。
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