ハゲタカの紹介:2009年日本映画。企業買収をテーマに、熾烈なマネーゲームを繰り広げるファンド同士の戦いをリアルに描いた作品。どちらが勝利するか分からない、手に汗握るストーリー展開に、最後まで目が離せません。
監督:大友啓史 出演者:大森南朋(鷲津)、玉山鉄二(劉)、高良健吾(守山)、柴田恭兵(芝野)、松田龍平(西野)、ほか
映画「ハゲタカ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ハゲタカ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ハゲタカの予告編 動画
映画「ハゲタカ」解説
この解説記事には映画「ハゲタカ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
詳細あらすじ解説
ハゲタカのネタバレあらすじ:1.新たなハゲタカ登場? 鷲津はどこに?
中国、荒涼たる畑に肥料を蒔く親子がいました。そこに1台の赤いスポーツカーが農道を砂煙をあげながら、疾走していきました。一人の子供はその姿が消えるまで見ていました。時は流れ、2008年、中国のある会議室で「日本企業を買収し、技術を我が国に導入。世界の下請けというポジションから大きく飛躍したい。標的はアカマ自動車。君の母国で稼いでこい。日本を買い叩け」と命じられる1人の男がいました。その頃、日本ではアカマ自動車が、古谷社長自身が登場し、新車「ニューアカマGT」発表会が盛大に行われていました。アカマ自動車執行役員となっていた芝野健夫は、その様子を見守っていました。東洋テレビのニュースキャスター・三島由香は、上司から「もうハゲタカの時代は終わった。次だ…」と叱咤されていました。彼女は「さらば、ハゲタカ。さらば、拝金主義者。」という見出しと共に鷲津の写真が掲載されている表紙の雑誌を見ていました。彼女はかつて鷲津と因縁のある元IT企業社長で、今は実家・西乃屋旅館の社長・西野治を訪ねました。三島は西野に鷲津の行方を尋ねましたが、彼は知りませんでした。しかし、西野は「たぶん、戻ってくるよ。あの人は」と言いました。4年前一斉を風靡した鷲津ファンド代表・鷲津政彦は、海外でのんびりと過ごしていました。そこに1人の男が現れました。それは柴野でした。柴野は「アカマ自動車が外資に狙われている。…お前の力が必要なんだ」と鷲津に助けを求めましたが、一向に変わらない腐ったマーケット・日本に戻る気はないと言う鷲津に、柴野は「その腐ったマーケットを作ったのは俺たちじゃないのか。…腐ってしまったのはお前の方じゃないのか」と言い残し、帰っていきました。鷲津は苛立ちました。日本では中国で依頼を受けていたあの男がオフィスでアカマ自動車買収について、会議をしていました。鷲津の話が出たとき、その男は「鷲津は下手だったんだよ。じゃあ、始めようか」とスタッフに命令しました。彼らは大々的にマスコミにアカマ自動車にTOBをかける記者会見を行いました。彼らはブルー・ウォール・パートナーズ(BWP)という会社で、彼はその代表・劉一華という男でした。
ハゲタカのネタバレあらすじ:2.帰って来た鷲津。正体不明の相手BWP社
記者会見でBWP社は、株式公開買い付けを発表します。その内容は買い付け価格1300円で応募した株は全て買うという莫大な資金のかかるものでしたが、アカマを全面的にバックアップする内容でした。そして、劉は「私は残留日本人孤児三世です。…私はアカマを、いや、日本を救いたい。ただそれだけなんです。信じてください」と主張しました。アカマ本社では至急、柴野とスタンリー・ブラザース社員でアカマ自動車ファイナンシャル・アドバイザーのデイビッドと共に防衛プロジェクトチームをつくり、調査・対抗手段を検討し始めました。劉は密かにアカマの工場に視察に行き、工場で働くある青年に目を付け、声をかけます。彼は、守山という3年目になる派遣工でした。劉は守山に缶珈琲を差し入れ、デイビッドを指さし「…あの外人、週に何回か来て月300万。…やってられないよね。…」と彼の待遇と派遣工の待遇の違いを教え、「仕事はほしいときは電話して」と言い、名刺を渡しました。BWP社TOB会見を日本の空港のTVで見ていた鷲津は、待っていた車の中で中延に、劉はかつて自分と同じホライズン社のNY支社で働いていたことを告げ、BWP社と劉の素性を調査するように命じました。直ちにスタッフは動き、調査結果が出ましたが、BWP社は不明な点が多い中堅ファンドでした。鷲津は、アカマにTOBをかけてもビジネスとして成功すると確認し、中延と共に料亭でアカマの古谷社長、柴野、アカマ自動車の筆頭株主であるMGS銀行・飯島頭取と会見し、鷲津はアカマのホワイト・ナイトとなる決意します。鷲津がオフィスに帰ると、調査担当の村田が劉の調査結果を報告します。ただ、その報告内容は劉の出身と略歴、BWP社の資金源もまだ不明な点が多いものでした。スタッフが反対する中、鷲津はその翌日に記者会見を開き、アカマのホワイト・ナイトになることを発表します。しかし、その記者会見終了直後、BWP社の劉はネットTVでTOB価格を一気の1700円に上げてきました。アカマ本社でも混乱が生じます。鷲津も車中で1750円で最短で発表するようにスタッフに指示します。そして、鷲津はBWP社との価格競争になるが、ホワイト・ナイトに名乗った以上、負けられないと考え、上限価格2000円まで上げる決意をします。鷲津の予想通り、価格競争になりました。最終的にBWP社は価格2200円まで上げ、アカマの防衛チームの票読みでBWP社が78%、鷲津ファンドが13.7%となり、BWP社に軍配が上がりました。
ハゲタカのネタバレあらすじ:3.BWP社の正体。劉の策略
鷲頭ファンドの村田は、人脈を使いBWP社の資金源を突き止めました。BWP社の資金源は中国政府系投資ファンド・CLICでした。CLICは20兆円という莫大な資金源を持っており、鷲津はまともに闘って勝てる相手ではないと判断します。ある日の夕刻、劉は派遣工・守山の帰るところを食事に誘います。劉はホテルのレストランに守山を招きますが、彼は驚き、帰ってしまいました。劉は1人でレストランに入ると、その入り口に鷲津が待っていました。二人は酒を飲みながら、話をしました。劉は鷲津に「俺はあんたをずっと見てきた」と言い、かつてホライズン社で働いていたとき、鷲津が成功した夜、バーで二人で話したときのことを語り出した。劉は鷲津の「お前、人殺したことがあるか。たった200万で人を殺した。強くなれ、強くならないと人を殺してしまう。それが資本主義だ。世の中は金だ。金が悲劇を生む」という言葉をバイブルとして生きてきたことを語りました。そして、劉は鷲津に「俺はアンタだ」と言いました。マスコミが、BWP社の資金源が中国政府系投資ファンド・CLICであるという事が嗅ぎつけました。劉は記者たちに質問攻めにされます。劉は「中国は日本の企業に学びたい。そして、共に成長したい。…偏見に捕らわれないでいただきたい。アカマ自動車を蘇らせたい。私のその気持ちに一片の偽りもないんです」と答えました。この事が明らかになりましたが、アカマの対策チームの票読みはBWP社51%、鷲津ファンド32%という結果で、BWP社が圧倒的優位でした。古谷社長は「鷲津はどうなってる!…このままでは私の代でアカマは終わってしまう」と怒りを露わにしていました。その頃、鷲津は秘書・アンナと共に、手土産を持ってドバイの王子に謁見していました。また、村田は劉の素性を調査に中国に旅立っていました。ある日の夜、劉は、派遣工の守山とファミレスで食事をしていました。劉は、守山の「俺たちは部品なんだよ」という言葉に対して、「既得権益層はいつだって弱者を食い物にする。誰かになるんだよ」と焚きつけました。そして、劉は守山から派遣工の実体を聞き出し、その情報をもとに古谷社長に派遣法違反、労災隠しなどで、派遣工・守山が戦陣を切って近々、派遣工たちがデモを起こすと言い、それを阻止できるのは自分たちBWP社だけであると言います。さらに、劉は三島記者を指名し、アカマの派遣工たちの実体資料を渡し、派遣工たちが近々、デモを起こすことも伝え、「真実を伝えてほしい。…現実から目を背けるな。それが君の使命だ」と諭します。アカマでは古谷社長が会社を生き残らせるために、鷲津ファンドと手を切り、BWP社と手を組むと言い出していました。社長に柴野は「今のままで生き残れますか。…青臭い話ですが、アカマという会社が日本の誇りだったからです」と自分が役員を引き受けた理由を語りました。しかし、古谷社長は「憧れや夢、そんなもんで飯が食えるほど、生優しい時代ではない」と言いました。柴野は「企業も人間と同じ生き物です。…こんな時代だからこそ、夢や希望を語るリーダーが必要なんです!」と反論しましたが、古谷社長はもう聞く耳は持っていませんでした。その頃、守山たちの呼びかけでアカマの派遣工たちの抗議集会が開かれようとしていました。しかし、突然、リーダーたちが手違いで集会を開く許可が取れなかったので、集会は急遽、中止になりました。集まった派遣工たちは混乱し、守山だけを残し去っていきました。そこにこの集会を報道するため、三島記者が来ていましたが、上司がアカマの年間広告費がとぶことを危惧して、報道をしないように説得に来ました。しかし、集会が中止され、急遽、ホテルでアカマ自動車とBWP社が提携の記者会見を開くことになり、三島はそちらに行くことになりました。守山は1人、集会の場所で「皆さん、誰かになるんだ!」とメガホンで叫んでいました。これは実は全て劉の策略でした。
ハゲタカのネタバレあらすじ:4,鷲津の逆襲。劉、お前は誰なんだ
ドバイから帰国した鷲津は、アカマから手を切られましたが、冷静でした。中国から帰国した村田の調査は驚くべきものでした。一方、アカマ・対策チームの柴野のもとに、BWP社がアカマを買収後のシナリオが届けられます。その内容は、劉が発言している内容と真逆のものでした。驚いた柴野は、鷲津に電話をしました。鷲津はちょうど劉の素性調査資料を見ているところでした。鷲津は柴野に「ご安心ください。シナリオ通りです。…唯一つ、この写真を除いては」と答えました。その写真は、子供が土壁に描いた赤い車の絵でした。鷲津は翌日、西乃屋旅館に行き、西野に会いに行きました。たばこを吸いながら、鷲津は「面白いシナリオを思いついた。力を貸してくれないか」と西野に頼みました。その夜、鷲津は秘書・アンナからスタンリー・ブラザースのデイビッドに、鷲津ファンドはスタンリー・ブラザースの買収をすることを伝えました。驚いたデイビッドは古谷社長と相談し、BWP社の劉にその件を連絡しました。劉が部屋に入るところをあの派遣工の守山が待っていました。劉は守山に400万円を渡します。彼は劉に騙されたことを知り、怒りに燃え、その金を部屋中にぶちまけました。その姿を見た劉は、守山に怒り、「拾え!…金を粗末にするな!…金は拾うんだ」と言いながら、自分で拾う手本を見せながら、守山に金を拾うことを強要します。守山は悔しそうに部屋中に散らばった1万円札を全て鷲掴みに拾い、ポケットに突っ込み、部屋を出ていきました。翌日、鷲津はアカマと関係のあるスタンリー・ブラザースの支配権奪取の為、買収提案したことを発表します。あるホテルで、スタンリー・ブラザースの役員とBWP社が会見します。その集会役は西野でした。西野はスタンリー・ブラザースの会長と親しく交流していたのでした。問題はBWP社が鷲津ファンド以上の条件を出すかどうかでしたが、交渉はうまくいき、まとまりました。その夜、鷲津は劉を呼び出します。劉は鷲津に「後手後手じゃないか…」と貶しますが、鷲津は「愛していたんじゃないのか!お前は…。お前の故郷を調べた。お前は誰なんだ!」と切り返しました。すると劉の表情は一変し、涙を浮かべながら、無言で車に乗り、去って行きました。
ハゲタカの結末:劉の正体、そして最期。それぞれの道
鷲津は、村田と共にオフィスで柴野に劉の素性調査結果を話します。それは劉一華、本人は今、中国の湖南省にいたというものでした。中国では、大金を払って他人のパスポートに自分の顔写真を貼り、その人物になるということを「頭を剃る」というのですが、BWP社の劉一華は、中国・湖南省の奥地の村で「頭を剃った」少年ではないかという結果でした。劉は翌日、BWP社がスタンリー・ブラザースのホワイト・ナイトになり、資金的にバックアップするという記者会見を開きました。その会見をTVで観ていた鷲津に、一緒にいた西野が「派手に食いついてきましたね…」と言うと、鷲津は「強欲が善の時代は終わった」と答えました。西野は「喫煙ルームはどこかな…」と言い残して、鷲津のオフィスから立ち去りました。鷲津はスタンリー・ブラザースの詐欺紛いの「オルトX」200億円分を買っていました。彼はそれを一気の売りさばき、「CLICを道連れに、腐ったアメリカを買い叩く」とスタッフに指示します。鷲津はタイミングを見計らい、一気に売りさばきます。鷲津のシナリオ通り、スタンリー・ブラザースの株価は一気に急落していきます。CLICはスタンリー・ブラザースの為に資金が保たないので、アカマ買収からは撤退することを決定し、BWP社の劉にそのことを指示しました。劉は机の資料を散らかし、オフィスを出ていきました。翌日、鷲津は、アカマ自動車の社長室に行きました。そこには、柴野、MGS銀行・飯島頭取が同席していました。鷲津は古谷社長に「あなたのやった事はスタンリーに手数料で何十億と儲けさせただけ」と指摘すると、古谷社長は「あなたが経営者だったら、どうする」と切り返してきましたが、鷲津は「私は経営者ではない」と言うと、古谷社長は「卑怯な!…ハゲタカそのものだ、あんたは!」と激怒しました。その様子を見ていた飯島頭取は、古谷社長に「見苦しいな。…あんたの進退をはっきりさせんとな」と言いました。鷲津はその言葉を聞くと「あとはよろしく」と言い、社長室を出ていきました。外は雨が降りそうな天気でした。傘を持って、劉は公園を歩いていると、背後からナイフを持った男に刺されました。男の目当ては金でした。劉は男と泥だらけになりながら、格闘しますが、劉は財布から金を捕られてしまいます。金が当たりに散らばりました。その金を公園の浮浪者たちが奪っていきました。泥だらけになり劉は、立ち上がり、残った札を握り、公園を出ていきました。やがて雨が降ってきました。その頃、鷲津はオフィスでスタッフとアカマ再建案を検討しているところでした。鷲津が自室に戻り、携帯を見ると、劉からの留守電が入っていました。それは劉が涙ながらに「頼むよ。乗せてくれよ。俺も…その車に…」という言葉でした。鷲津は直ぐ劉に電話しましたが、留守電になっていました。劉は、既に道ばたで死んでいました。アカマでは役員会議が開かれ、正式に古谷社長の退任が決まりました。三島記者はニュースでその事を報道します。そして、彼女は、劉に呼び出されインタビューしたビデオを見ながら、ジャーナリストとしての原点を思い出しているようでした。後日、アカマ本社のロビーで鷲津は柴野に会いに行きました。柴野は、飯島頭取からアカマの社長を依頼されたことを鷲津に話し、「相当の荒療治が必要だ。…俺は日本人の勤勉さと誠実に誇りを持っている。…」と言い、社長になる決意を話しました。鷲津は「クソが付くぐらい真面目だ」と言い、劉が鷲津宛に生前送ってきた再建案を渡し、「あいつはあなたですよ。…アカマ自動車に夢と希望を与えられ、必死で生きてきた」と告げました。そして、鷲津は「見に行きますよ。焼け野原を」と言って、柴野と別れました。街に1台の真っ赤なニューアカマGTが疾走していました。運転しているのは、守山でした。彼は、劉から影響を受け、ハゲタカを目指しているようでした。鷲津は劉の故郷に足を運びました。そこで彼が見たのは、古ぼけた家の壁に子供が描いたあの赤い車の落書きでした。近くで紙幣を焼いている住民達を見ました。それは中国の慣習で死者があの世に逝ってもお金に困らないようにという儀式でした。鷲津はそれが劉への儀式に思えました。鷲津は、劉が子供の頃いたであろう荒涼たる畑の農道に立ち、改めて「誰かが言った、人生の悲劇は2つしかない。1つは金のない悲劇、もう1つは金のある悲劇。世の中は金だ。金が悲劇を生む…」と思いをはせるのでした。
以上、映画ハゲタカの詳細あらすじと結末でした。
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