シグナル~月曜日のルカ~の紹介:2012年日本映画。休暇を利用して地元へ戻った青年が映写技師のバイトに就く。そこには女性映写技師長に関する3つの条件があった。彼女に惹かれていく青年だったが彼女を執拗に追い回す男の姿を目撃する。彼女と男の関係は、そして条件の理由とは。青年と彼女のひと夏の恋が始まる。
監督 :谷口正晃 出演:三根梓(杉本ルカ)、西島隆弘(宮瀬恵介)、白石隼也(宮瀬春人)、おかやまはじめ(宮瀬雄三)、宮田早苗(宮瀬路子)、梅沢昌代(南川妙子)、緑友利恵(江花さおり)、趣里(神崎杏奈)、高良健吾(ウルシダレイジ)、井上順(南川健吾)、宇津井健(杉本剛造)、ほか
映画「シグナル 月曜日のルカ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「シグナル 月曜日のルカ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
シグナル~月曜日のルカ~の予告編 動画
映画「シグナル 月曜日のルカ」解説
この解説記事には映画「シグナル 月曜日のルカ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
シグナル 月曜日のルカのネタバレあらすじ:起
夏休みを利用して地元へと帰ってきた宮瀬恵介(西島隆弘)は、ひと夏のアルバイトとして古びた映画館・銀映館の映写技師のバイトの面接を受けます。支配人に映画館の中を案内される恵介は、映写室にいた映写技師の杉本ルカ(三根梓)に挨拶をしました。その後、支配人から合格を言い渡された恵介は、ルンルンで映画館を後にします。
支配人からはルカと共に働くために、提示された条件が3つありました。その1、ルカとの恋愛は禁止 2、ルカは月曜日にはナーバスになるので、干渉はしない 3、.ルカの過去について尋ねないです。
恵介には高校生の弟がいます。たまに帰って来ては母親から金をせびる父親を弟は深く恨んでいました。恵介たちが幼い頃は父親が家でしょっちゅう暴れ、そのたびに逃げるように映画館に来ていた恵介と弟。バイトの面接に受かった日も、家の前で父親が母親から金を受け取っているのを見た恵介は、父親をかわいそうな人間だと思いつつも、許せない気持ちでいっぱいでした。
映画館で働き始めた恵介は、ルカから映写の仕方を学びます。ルカが映写室の隣で生活をしていることを知った恵介は、支配人にそのわけを聞いてみました。しかしうまくはぐらかされ、余計に気になる恵介。支配人からは「三年間、この映画館からルカは外へ出ていない」とだけ教えてもらい、これ以上は詮索しないよう念を押されました。
ある日、フィルムを修理している最中に指を怪我してしまった恵介は、ルカの部屋で手当てをしてもらいます。一日の大半を映写室で過ごし、必要なものはネットで注文し、屋上で野菜を育てて毎日を過ごしているルカ。そして、月曜になるとルカは憔悴しきって、話もろくにできなくなります。
そんなルカを心配する恵介は、支配人にそのことをたずねますが、やはり何も教えてもらえませんでした。「自分にできることがあれば、相談に乗ります」と言いますが、涙を流すルカを見て、恵介は掛ける言葉もありません。
シグナル 月曜日のルカのネタバレあらすじ:承
ルカの下で仕事を学び、毎日バイトに精を出す恵介は、小学校の教師を目指しています。編入試験を受ける予定があり、将来のことを見据えて頑張っている恵介を褒めるルカ。
そんなある日、恵介は仕事帰りにウルシダレイジ(高良健吾)に声をかけられます。「ここで映写技師として働いているのは、あなただけですか?」と聞かれ、不振に思った恵介はとっさに嘘をつきました。
恵介が初めて一人で映画を上映する日、映画館の受付バイトとして江花さおりがやってきました。彼女はルカを見て「あなたが杉本ルカさんですか?」と尋ね、恵介は不振がります。さおりはそっとルカの写メをとって、ウルシダレイジに送信します。実は彼女は、ウルシダの指示でルカを探るために映画館へやってきていたのでした。
「ルカと恵介は一日中二人っきりで映写室にいて、いい感じだよ」とウルシダに話すさおり。「もうルカのことを忘れて、自分のほうを見てほしい」と、さおりは恵介とルカの映る写メをウルシダに見せました。すると逆上したウルシダが携帯を折ってしまい、呆然とするさおり。
その頃、無事上映を終えた恵介を祝うために、恵介の弟も駆けつけ映画館の屋上で支配人とルカとの四人で打ち上げをしました。ルカは、ご褒美に映画を上映してくれます。それを昔のように弟と二人仲良く並んで映画を観る恵介。
シグナル 月曜日のルカのネタバレあらすじ:転
帰り道、ウルシダに再び声をかけられた恵介は、映写技師は一人だと嘘をついたことをしつこく迫られます。「お前に後悔させてやる」と言い残し、ウルシダは去っていきましたが、気になった恵介は、密告したのがさおりだと気が付き、話を聞くことにします。
美男子のウルシダは、三年前、七人の女性と付き合っていました。彼は曜日ごとに違う女性と付き合い、ルカは月曜日の彼女でした。しかしそんな彼に嫌気がさしたルカは、他の曜日の女性と会って、自分がどれだけウルシダを愛しているか自分の胸をナイフで切りつけ示します。
それを見て、怖がる女性たちはどんどんウルシダから離れていきましたが、日曜日に付き合っていた女性・アンナだけは違いました。アンナはウルシダの子どもを妊娠しており、追い詰められたアンナは、ビルから飛び降り自殺してしまいます。さおりはウルシダからそう話を聞いていましたが、しかし真相は違いました。
ルカが別れ話を切り出すと「お前を殺して俺も死ぬ」と、ウルシダはナイフでルカの胸を切りつけます。恐怖から彼と寝た彼女が、翌日帰宅すると、唯一の家族であった祖父は亡くなっていました。ウルシダと共にいたために、祖父の死に目を見れなかったことから、彼女は映画館での引きこもり生活を始めたのでした。
さおりから話を聞いた夜、父親が母親に再び金をせびりに来ているのを見た恵介は「母親のやさしさを利用して、自分勝手な行動をするのは最低だ」と父親を諭します。「父親らしいことをしてほしいとは思わないが、これ以上母親の優しさに付け込まないでくれ」と頼む恵介。
翌日、月曜のこの日はルカが憔悴する日です。ルカの部屋にあったパソコンを見ると、月曜になると「会いたい」とウルシダからしつこくメールが来ていたことを知る恵介。この日、支配人は用事があって外へ出て、映画館には恵介とルカの二人だけです。
一人ですべての仕事をしないといけない恵介の携帯に、ウルシダから電話がかかってきます。ルカが映画館にいることを突き止めたウルシダは、映画館へやってきて「ルカ!」と叫びます。そこへルカが現れ、ウルシダに「もう自分はあなたの女じゃない」と冷たく言い放ちました。すると逆切れしたウルシダは恵介を殴り、とどめを刺そうと消火器を手にします。
するとルカはウルシダの頬を平手打ちし、「あなたは自分を愛してほしいだけ」と言いました。「それ以上言ったらお前を殺す」とウルシダから脅しをかけられますが、自分を殺すようウルシダの目を見つめるルカ。ウルシダは持ち上げた消火器を床にたたきつけ、それから二度とルカの前に現れることはありませんでした。
シグナル 月曜日のルカの結末
ウルシダに殴られ、あばらにひびが入った恵介は、入院します。心配した父親が見舞いに来ますが、弟が追い返してしまいました。ベッドの上には父親が置いて行ったエクレアがありました。子供の頃、エクレアが好きだったことを覚えていてくれたと喜ぶ恵介。恵介は弟と共にエクレアを頬張るのでした。
退院した恵介は、その足で映画館に向かいます。ルカは、ウルシダとの過去を語り始めました。ルカは病気の祖父との時間を大切にしようと思い、別れることを決意して月曜日にウルシダに会いに行きませんでした。するとしつこく電話がかかってきて、最後だと決めてウルシダに会いに行ったルカですが、結局ウルシダとは別れられず、祖父の死にぎわにも立ち会えず、自分がウルシダのところに行かなければ祖父は死んでいなかったのではないかと、ずっと自分を責めていました。真相を聞いた恵介は、ルカをそっと抱きしめます。
そして恵介が映画館で働く最後の日、「見せたいものがある」とルカを外へ連れ出します。トラックには映画の機材が積まれていて、以前ルカが夢だと言っていた野外上映会を恵介は計画していました。河原に機材を運び、野外上映の設定を始めるルカたち。しかし上映会が始まる前に、恵介は東京に帰らないといけません。
別れ際、「大好き」と恵介に告白するルカ。二人はキスをして抱き合います。電車から恵介は野外上映を見守り、ルカは電車に乗った恵介を見送るのでした。
以上、『シグナル 月曜日のルカ』のネタバレあらすじと結末でした。
シグナル~月曜日のルカ~のレビュー・感想
これは、関口尚の小説「シグナル」を映画化したもの。監督は「時をかける少女」の谷口正晃。
夏休みに帰省した大学生の恵介は、実家の近所の古い映画館で映写技師助手のアルバイトをすることにした。相場の倍と言う法外なバイト給料だったが、支配人からは条件を3つ、つけられた。映写技師長の若い女性、杉本ルカの過去を詮索しないこと、月曜日に塞ぎ込む彼女をそっとしておくこと、そして、彼女との恋愛禁止。それでも、ルカの美貌と、バイト給料に惹かれ、条件を呑んだ恵介だったが・・・
地方の、未だフィルム映写機しかない古い名画座が舞台、と言うだけで映画好きにとっては堪らない舞台設定なのに加え、主人公の前に現れた「技師長」が映画館から3年間1歩も外に出た事のない謎めいた美少女なのですから・・・この映画、この状況を説明した冒頭5分だけでぐいっと引き込まれます。その「技師長」ルカを演じた三根梓は、これまで全くの演技経験のない新人ですが、これは大健闘でしょう。確かに、芝居の固さはありますが、それも3年間引き籠もっていたが故の人付き合いのぎこちなさのイメージに合っていましたし、黒髪のショートカットの垂らした前髪から片目だけ見える澄んだ瞳の輝きには、吸い込まれるような魅力がありました。
そのルカの「封印された過去」は、それがまるでレディスコミックのようなどろどろの恋愛で、その陳腐さにはいささかげんなりしましたが、そこは、その元凶役のダメ男を、高良健吾がこれまた見事に演じており、説得力を与えていました。 (毎度の事ながら、この種のダメ男を演じさせると、高良健吾は非常に上手い)。その過去を受け止めた上で、彼女の心を解き放った恵介も、ただ優しいだけではなく、その事自体が彼の夢でもあった、と言うドラマ構成の巧さ。それぞれの道を歩み出して行くラストシーンも清々しく、その別れのシーンには思わず涙しました。
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