向かい風の紹介:2011年フランス, ベルギー映画。妻のサラが失踪してしまったポールは、故郷のサン・マロにいる兄を頼りパリから移住する事にした。そこで新たな人間関係を築くが、再び事件に巻き込まれてしまう。ポールが再起する日はやって来るのか。
監督:ジャリル・レスペール 出演者:ブノワ・マジメル、イザベル・カレ、アントワーヌ・デュレリ、ラムジー・ベディア、ブーリ・ランネール、マリー=アンジュ・カスタ、ダニエル・デュヴァル、ルブナ・アザバル、オーロール・クレマン、オドレイ・トトゥ、ほか
映画「向かい風」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「向かい風」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
向かい風の予告編 動画
映画「向かい風」解説
この解説記事には映画「向かい風」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
向かい風のネタバレあらすじ:起・妻の失踪
作家のポールは、忙しい医師で妻のサラから娘と息子の子守を任されて、口喧嘩をしてしまう。そのまま夜の街で喧嘩をし、置き去りの子供達を夫婦で見てくれていた友人のザビエルに咎めらた。その夜からサラは失踪した。
手がかりも無いまま一年が経ち、ポールはサラ失踪の容疑者から外れ、実家のサン・マロへ兄を頼って引っ越すことになった。クレマンは母親の私物を今でも大事に持ち、喘息もちのマノンを気遣いながら、新しい学校に連れて行った。そして、兄の受け持つ自動車教習所で教官として働くことになった。
向かい風のネタバレあらすじ:承・新しい街と生活
若いジャスティーンや、免許を取り消された男性など、生徒は様々だった。
子供のいない兄夫婦は、妻のローレがクレマンとマノンを預かり、共同経営者として、また作家として執筆活動を応援した。しかし、ポールにとってそれは暗に皿を忘れるように言われているようでならなかった。
生活に慣れ始めた頃、家に無言電話が掛かってくるようになった。再発しないようにしたいが相手もわからず警察へ相談すると、調査をしようという事になった。
学校で父親仲間もでき、互いの子供を連れて浜辺でサッカーをする程度にポールは回復したが、彼はまだサラの事が忘れられないでいた。
向かい風のネタバレあらすじ:転・子どもの失踪と父親
警察から、先日一緒にサッカーをしていたヤミンが失踪したと連絡が入り、ポールが会ったのは本当に父親だったのか問われた。
教習所では生徒と打ち解けたものの、一度だけ関係を持ったジャスティーンには「妻を愛している」と告げた。
ある夜警察がやって来て、ヤミンは、情緒不安定で離婚した父親に誘拐の容疑が掛かり、ポールが再び呼び出されてヤミンの父親の事のだけでなくパリでの妻の失踪や教習所でのジャスティーンとの関係を追及された。ポールはただサッカーをしただけだと答えた。
ヤミンの父親から電話で、「妻から訴えられていて子供を連れて逃げる」と言うのを、ポールは家に招いて説き伏せ、翌日ヤミンを母親の元に帰した。しかしその間に、ヤミンの父親は逮捕されるところを一人で逃げ出し、飛び出したところを弾かれて死んでしまった。妻からの告訴は取り下げられた。しかし、バルダス警部は実はポールの事も疑っており、逮捕したかった。
向かい風の結末:兄との確執
酔った兄に、父の死に立ち会わなかった事や、父に気に入られていた事を蒸し返されるが、ポールは父が嫌いだった。さらに、兄はヤミンの父親を隠した事を責め、自分の妻が浮気している事で町の笑いものになっていると嘆いた。そして、大雨の日の郷愁で事故を起こして兄と喧嘩をしたポールは、教官の仕事を辞めた。まだ、サラの事を忘れられなかった。
この町を離れると言う母の友人に「この家を借りて欲しい」と頼まれたポールは、それまでの家を出て、兄に「前に進んで」と告げて和解した。
その後、警察から呼び出されたポールは、妻の失踪がパリで女性が襲われた事件との関連性が見つかり、サラはパリの家の近くの庭に遺棄されていたと聞かされ、その遺品を確認した。サラとの再会を待っていた子供たちは、その話を聞くと泣いた。
母の友人の家で暮らし始めたポール、息子のクレマンはギターを始めた。ポールは再びパリへ向かい、原稿をザビエルに渡した。
以上、映画「向かい風」のあらすじと結末でした。
向かい風のレビュー・考察:フランスの村社会と再出発
進歩的、革新的と言われがちなフランス。だが地方へ行くとコミュニティは小さく、保守的、噂はすぐ広がるなど、日本で言う「村社会」とほとんど変わらない。また、ポールは都会のパリから帰郷した立場だが、他の土地から来た者として異物として捉えられる所も同じ。サン・マロは観光地として外にある程度は開かれているが、住民たちのコミュニティはやはり狭いと感じる。再出発しようにも、サラの幻影がつきまとうのは、いつまでもポール自身が異物として扱われていたからのように思える。実際、彼がサラの事を吹っ切ったのは、その遺体が発見され帰って来ないと言う事実を突きつけられてからなのだから、それまで愛した人を吹っ切ることは容易ではないと言うことを改めて実感する。
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