ヘモグロビンの紹介:1996年アメリカ,カナダ映画。ハワード・フィリップス・ラヴクラフトの小説『潜み棲む恐怖』を映画化。屍肉を食べる恐るべき一族を描いたホラー作品。重い先天性の病気を患うジョンは、妻キャスリーンと共に生まれ故郷の孤島にやって来た。病気を治すヒントを探す夫婦だったが、島では不気味な出来事が起こり始める。埋葬されていた遺体が消え、数人の住人が地中に引きずり込まれたのだ。島の地下道には滅んだと思われていた一族が奇形の姿で潜んでおり、人肉を食べて命を繋いでいた。飢えた彼らはついに嵐の夜地上に現れ、人々に襲いかかる。別題は「ブレーダーズ クライチカ」。
監督:ピーター・スヴァテク 出演者:ルトガー・ハウアー(マーロウ医師)、ロイ・デュプイ(ジョン・ストラウス)、クリスティン・レーマン(キャスリーン・ストラウス)、ジャッキー・バロウズ(レクシー)ほか
映画「ヘモグロビン」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ヘモグロビン」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「ヘモグロビン」解説
この解説記事には映画「ヘモグロビン」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ヘモグロビンのネタバレあらすじ:孤島の不気味な事件
舞台は1652年のオランダ。近親結婚を繰り返す貴族ヴァン・ダム家のエヴァは、極度のナルシストでした。彼女の愛は双子の弟に注がれますが、王が近親結婚を禁止したことで一族はアメリカに移住。その後周囲との関わりを絶ち、俗世から姿を消しました。時は流れ、現代のニューイングランド。小さな島に、パリから1組の夫婦がやって来ました。夫は重い敗血症と光アレルギーを患うジョン・ストラウス。彼を支えるのは妻キャスリーンです。島は主に漁業で生計を立てており、男性は漁に出ているため残っているのはほとんど女性でした。島の共同墓地からは、棺桶が次々掘り起こされています。葬儀屋のバード・ゴードンが不当な木材を使って棺桶を作っていたため郡が墓地を閉鎖してしまい、引越しが行われているのです。島に到着して早々、ジョンは敗血症の発作を起こして倒れてしまいました。バードの娘アリスが、島の反対側に住んでいる医師マーロウのところまでボートで送ってくれます。薬を投与され、ジョンは眠りに落ちました。キャスリーンは島にやって来た理由をマーロウに話します。ジョンは先天的な病気を患っていますが詳しくは分からず、どの病院にも匙を投げられてきました。調査の結果、ジョンがこの島で生まれたことが分かり、病気のことを知っている親戚がいないか確かめるためやって来たのです。その頃、共同墓地では掘り返された棺桶を見て住人達が眉をひそめていました。棺桶の底が破られ、遺体がなくなっていたのです。そんな中、牧師の未亡人シェイが棺桶の中に「何か」の姿を見つけてしまい、ショックで倒れ死亡してしまいました。
ヘモグロビンのネタバレあらすじ:滅んだ一族
マーロウは目を覚ましたジョンを診察し、彼の両目が色違いであると気付きます。採血の後、マーロウは夫妻を島に1軒しかないホテルまで送ってくれました。ホテルを経営しているのはゴードン一家で、アリスが応対してくれます。地下室ではシェイの埋葬準備が行われおり、防腐剤の臭いが漂っていました。部屋に入ったジョンは、「何か」を強く欲します。キャスリーンが差し出した食事をひったくるようにして食べますが、吐き出してしまいました。住人への聞き込みが空振りに終わったキャスリーンは、ジョンをホテルで休ませ1人マーロウの病院へ向かいます。マーロウはキャスリーンに、75年前滅びたというヴァン・ダム家の話をしました。彼らは300年前にオランダから島に移住し、近親交配を繰り返していたそうです。その影響からか、彼らは両目の色が違っていました。マーロウは保管しているヴァン・ダム家の胎児のホルマリン漬けを取り出します。その目はジョンと同じ色をしていました。ジョンがヴァン・ダム家の子孫である可能性を提示するマーロウ。一族は75年前に火事によって滅びましたが、前任の医師ピーターソンの看護師だったレクシーという老女が今も屋敷に住んでいるそうです。マーロウは彼女なら何か知っているかも知れないと話しました。キャスリーンは子孫という言葉をかみしめます。ジョンには伝えていませんでしたが、キャスリーンは妊娠していました。
ヘモグロビンのネタバレあらすじ:ジョンの出生
共同墓地が閉鎖されたため、シェイの遺体はヴァン・ダム家の私有地に葬られました。夜、その墓にアリスが密かに近付きます。彼女は強欲なバードを嫌い、父であるハンクと共に島を出たいと考えていました。その資金を得るため、シェイと共に埋められた高価なネックレスを盗みに来たのです。謝りながら手を伸ばすと、突然地中から腕が現れシェイの遺体が引きずり込まれました。アリスは悲鳴を上げて逃げようとしますが、抵抗虚しく地中にさらわれてしまいます。絶叫するアリスを引きずるのは、得体の知れない化物でした。その化物は翌日、港にも現れます。住人に目撃された化物は海に落ち、スクリューに巻き込まれて死亡しました。ストラウス夫妻はレクシーに会いに行くため、アリスを探していました。近くに用事があるというバードにボートを出して貰い、ヴァン・ダム邸近くの岸に到着します。レクシーは島の最長老で、一族が滅んだヴァン・ダム邸に住み続けていました。夫妻と別れたバードは、ネックレスを盗むためシェイの墓に行きます。ところが墓は荒らされ、近くにはアリスの車が放置されていました。アリスに出し抜かれたと思ったバードは怒鳴り散らします。すると地中から化物が現れ、バードも連れ去られてしまいました。その頃、マーロウはジョンの血液を調べていました。血中に有棘赤血球があり、溶血反応が高く、そしてヴァン・ダム家の胎児との類似性も確認出来ます。そこに化物の死体を抱えたハンクが駆け込んできました。調べてみると胴が異常に発達した人間のようです。睾丸は退化していますが両性具有で、自己生殖能力がありました。ジョンとキャスリーンはレクシーに会い、色々と説明を受けます。ジョンはヴァン・ダム家の生き残りで、ピーターソンとレクシーが匿っていました。友好的な彼女は、「お前には――妙な欲求などないだろ?」と尋ねます。ジョンはいつも「何か」を欲していると答えました。するとレクシーは急に怯え始め、夫妻を追い返そうとします。ジョンが食い下がると、レクシーは困り果てた様子で屋敷の中に案内しました。同時刻、墓地で遊んでいた島の少女ラモーナが地中に引きずり込まれてしまいます。大人達は警察に連絡しようとしますが、電話が通じません。無線も使えず、完全に孤立した島には嵐が迫っていました。
ヘモグロビンのネタバレあらすじ:地下道の恐怖
レクシーによると、彼女が幼い頃ヴァン・ダム家は誰にも知られず屋敷に住んでいたそうです。ある日屋敷に忍び込んだレクシーは、一族が「あるもの」を食べているところを見てしまいました。そして火事の時一族の何人かが生き延びて島の地下道に逃げ込み、今も生きているというのです。ジョンは彼らの見た目とは大きく違い、普通の人間だったのでレクシーらに助けられました。そこに化物が現れ、レクシーをメッタ刺しにして逃げていきます。化物の正体は、地下に逃げ延びて近親交配を繰り返し、奇形の姿に変わり果てたヴァン・ダム家の末裔でした。キャスリーンは発作に苦しむジョンを連れ屋敷を後にします。アリスの車に乗り込んだ夫妻は、嵐の夜が近付く中マーロウの病院を目指して走り出しました。マーロウはラモーナが連れ去られたと聞き、墓地から地下道に入ります。そこには無数の人骨と、明かりを嫌って逃げるヴァン・ダム家の末裔達がいました。更に手首を切られ逆さ吊りにされたバードとアリスの遺体を発見。化物に食われるラモーナを見たマーロウは、恐ろしさに大慌てで地上へ戻りました。マーロウは住人達に地下の恐怖について語ります。この島の地下道は全て墓地に続いており、地下道に巣食うヴァン・ダム家の末裔は遺体を食べて生きていました。しかし墓地が移動したために食糧源が途絶え、飢えて怒った彼らは生きている人間を襲い始めたのです。彼らが光に非常に弱いことから、マーロウは照明器具を集めて灯台に避難しようと提案しました。住人達の避難が進む中、病院に帰って来たマーロウは苦しむジョンにホルマリン漬けの胎児を与えます。胎児を食べたジョンは、まるで生まれ変わったかのように体力を取り戻しました。
ヘモグロビンの結末:ジョンの決断
嵐の夜がやって来ました。ストラウス夫妻も含め、島の住人は全員灯台に避難します。化物達は地中からぞろぞろと現れ、灯台を取り囲みました。マーロウは光を化物に当て、怯んだところを射殺していきます。ところが落雷で停電してしまい、住人はパニックに陥りました。灯台に群がった化物達は、床を破って住人達に襲いかかります。数人が地中に連れ去られる中、助けようとしたキャスリーンもさらわれてしまいました。マーロウが銃を構えると、制止したのは少年を抱えたジョンです。ヴァン・ダム家に戻ることを決意した彼は、キャスリーンに「行け」と言いました。キャスリーンが嫌がると、ジョンは目の前で少年を殺害し、化物と一緒に食べ始めます。マーロウは泣き叫ぶキャスリーンを連れ地上に戻りました。土が崩れ、地下に繋がる道は埋まってしまいます。恐ろしい夜は去り、島に朝が訪れました。悲しみに打ちひしがれるキャスリーンは、お腹の子が動いたと言って微笑みを浮かべます。ジョンとヴァン・ダム家の末裔は地下道に潜んでいました。ジョンは長年離れていた双子の姉と再会します。ジョンが姉の欲望を受け入れ、この映画は終わりを迎えます。
以上、映画ヘモグロビンのあらすじと結末でした。
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