非常線の女の紹介:1933年日本映画。小津監督作品としては珍しくアメリカのギャング映画を模倣した一種のフィルム・ノワール。舞台となる場所も、ボクシングジム、ダンスホールなど、戦後の小津作品では考えられないようなところが選ばれている。昼はOL、夜はギャングの愛人という難役をこなした田中絹代が魅力的。
監督:小津安二郎 出演:田中絹代(時子)、岡譲二(襄二)、三井秀男(宏)、水久保澄子(和子)、南條康雄(岡崎実)、逢初夢子(みさ子)、ほか
映画「非常線の女」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「非常線の女」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
非常線の女の予告編 動画
映画「非常線の女」解説
この解説記事には映画「非常線の女」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
非常線の女のネタバレあらすじ:起
岡崎商事でタイピストとして働いている時子(田中絹代)は、いかにもおっとりした職業婦人。仕草も可愛らしいために社長の息子・実(南條康雄)から目をつけられ、ある日ルビーの指輪をプレゼントされます。
退社する時も彼からデートに誘われますが、それを断って街を歩いていきます。と、その跡をつけてくる2人の男たち。いかにもいかがわしい風体です。彼らは時子の両脇に来ますが、驚いた事に彼女は今までと打って変わって蓮っ葉な調子で彼らと話を始めます。
実はおっとりした職業婦人というのは仮の姿で、時子は裏社会でちょっと顔の売れた姐御なのです。時子は派手なドレスに着替えると、ボクシングジムに出かけます。
非常線の女のネタバレあらすじ:承
そこでは彼女の恋人である襄二(岡譲二)が待っていました。彼は元ボクサーでしたが、身を持ち崩して暗黒街に身をおく境遇です。ダンスホールでは例によって一悶着あったものの、襄二はその拳に物を言わせてトラブルを収めます。
やがてその格好良さに憧れ、子分にしてほしいという男が襄二の前に現れます。ジムで練習をしている大学生の宏(三井秀男)でした。襄二は前途ある若者を悪の道に導くことに抵抗を覚えますが、宏の熱心さに負けて出入りを許します。
宏は子分になって調子に乗り、ロクに勉強にも身が入りません。深夜まで遊び歩く彼を心配するのが、彼の唯一の身寄りである姉の和子(水久保澄子)でした。彼女は宏から子分になった話を聞き出すと、思い切って襄二を外へ呼び出し、弟をそそのかさないように頼み込みます。
非常線の女のネタバレあらすじ:転
最初は迷惑に感じた襄二でしたが、やがて和子に惹かれてしまいます。その可憐さは彼の周りの女にはないものでした。彼女が勤めているレコード屋までわざわざ出かけるほど熱を上げ始めた襄二に対し、最初は平静な様子でいた時子も徐々に嫉妬に苦しみ始めます。
彼女は和子に会いに行き、拳銃で脅そうとするものの、やはりその純情な様子に敵意を失い、自分も彼女に好意を寄せてしまいます。時子はこれをきっかけに襄二にまともな仕事をさせようと決意。彼もその気になります。
しかし、そんな時に宏が二人の部屋を訪れ、カネを無心します。彼は和子の勤めるレコード店のレジから売上を盗み、仲間とそのほとんどを使い切ってしまったのです。
非常線の女の結末
このままでは宏は逮捕され、和子も解雇されるでしょう。襄二は彼らを助けるために、時子に惚れている実のカネを巻き上げることにします。これが足を洗う前の最後のひと仕事です。
最初、時子は反対しましたが、あくまで人助けだと思って自分も彼を手引し、うまく実の財布から大金を盗み出します。しかし警官に居場所を知られた二人は部屋から逃走。襄二はあくまで逃げ続けようとしますが、もはや観念した時子は自分で襄二の足を撃ち、走れなくなった彼を説得します。
とうとう諦めた襄二はおとなしく時子とともに逮捕され、警察署へ引っ張られていくのでした。
以上、映画「非常線の女」のあらすじと結末でした。
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