映画「ヒューゴの不思議な発明」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ヒューゴの不思議な発明の紹介：2011年アメリカ映画。パリ、モンパルナス駅に住み、父の形見である自動人形を修理する孤児ヒューゴ。彼は、玩具屋を営む老人ジュルジュと知り合う。そのジュルジュと自動人形は、彼が葬り去った過去と深い繋がりがあった。人形が二人を縁で結び、人生を再生させるハートフルドラマ映画。
監督：マーティン・スコセッシ 出演者：ヒューゴ（エイサ・バターフィールド）、ジュルジュ（ベン・クングズレー）、イザベル（クロエ・グレース・モレッツ）、ジャンヌ（ヘレン・マックロリー）、ヒューゴの父（ジュード・ロゥ）ほか
この解説記事には映画「ヒューゴの不思議な発明」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
パリ、モンパルナス駅は多くの人達が行き交います。少年ヒューゴは、その駅に設置された時計の裏から玩具屋を見詰めます。ヒューゴはその玩具屋に近付き、玩具に手を伸ばしました。しかし店主ジョルジュに盗みを咎められます。そして、彼のポッケの中を全部出させました。出されたネジや歯車に混じり、一冊の手帳がありました。内容はからくりの構造等が書きとめられたものでしたが、中を見たジョルジュは亡霊だと呟き、どこで手に入れたかを聞き出そうとします。しかしヒューゴは盗んではいないとだけしか言いません。その態度に苛立ちを感じたジョルジュは、コソ泥と大声を上げます。その声は公安官に届き、彼はいつも連れている警察犬を放ちます。ヒューゴは咄嗟に逃げて行きました。ヒューゴは駅の各所にある時計の整備を始めます。構内のカフェでは、エミーユ夫人に気のあるフリックが彼女の気を引こうとしますが、いつも彼女の飼い犬に邪魔されていました。そんな日常が過ぎ、パリに夜がやって来ました。ジョルジュが店を閉め家路に着こうとすると、ヒューゴが来て手帳を返してくれとせがみます。しかしジョルジュは燃やすつもりだと言い家に帰ります。家まで着いて行ったヒューゴは窓際に少女の姿を見付け、小石を当て呼び出します。そして少女イザベルに手帳を取り返して欲しいと頼みます。イザベルが何故と聞きますがヒューゴは答えません。彼女はそこに秘密というロマンを感じ、手帳は守ると約束してくれました。駅に戻ったヒューゴは自動人形の前に座り昔に思いを馳せます。ペンを持つ自動人形は、時計職人でもあった父親が勤め先の博物館で見つけた物で壊れていました。親子はそれを修理し、特徴的なハート型の鍵穴等、手帳に記録を付けていました。しかし父親は勤務中火災事故で亡くなり、叔父クロードに引き取られ、人形は形見になってしまいます。いつも酔っ払っているクロードは駅の時計整備士で、ヒューゴは学校に行かせて貰えず、彼の代わりに仕事するようになっていました。翌朝玩具屋にヒューゴが行くと、ジョルジュは燃えカスを渡し、去れと追い払いました。手帳が燃やされたと思ったヒューゴは泣いて走り出します。その時イザベルと再会しました。イザベルは話があると構内にあるラビスの本屋に連れて行きます。彼女は手帳はまだ無事だと教えてくれます。しかし手帳は、ジョルジュ夫妻に取って深刻に話し合う程の物でした。イザベルとヒューゴはそのまま仲良くなり、彼女は義父に立ち向かうよう彼を勇気付けます。
ヒューゴは玩具屋に行きます。ジョルジュは追い返しますが、帰らない彼に試練のように壊れた玩具を直させます。良い手際を見せたヒューゴは手帳を返せと頼みます。ジョルジュはそんな彼に、修理を手伝えばその内手帳を返すと条件を出し、ヒューゴはそれを受けました。それからヒューゴは、時計整備、玩具屋の手伝いと忙しい日々が続きます。ジョルジュはそんなヒューゴに手品も教えます。人形の修理も進み、形だけは直りましたが、鍵が無いので動きませんでした。ある日ヒューゴは、イザベルが映画館に近付くのを禁じている事を知ると、彼女を誘い映画館に偲び込みます。ヒューゴは、父と見た映画、月世界旅行の話をし、成り行きで自分が孤児で、孤児は公安官に見付かると直ぐに孤児院送りなる為、隠れるように駅の中で生活している事を話します。そしてひょんな事からイザベルがハートの鍵を持っている事を知り、その鍵を借りる為住処に案内して自動人形を見せました。イザベルはその人形を見て悲しそうだと評しました。ヒューゴは人形がまだ動きたかがって居ると言い、彼女の持つ鍵を借り受けます。その鍵で人形は動き始めました。しかしまだ完全で無いのか断片的な文字しか書きませんでした。ヒューゴはそれに落胆し、直せたら一人じゃないと思っていたと嘆きます。その時、人形は再び動き出しました。人形は文章ではなく絵を書き始め、そして描いたのは月世界旅行の１シーンでした。そしてその絵にジョルジュ・メリエスの名前が書き込まれイザベルは驚きます。ヒューゴは何故だろうと思い、しかしこれは父からのメッセージだと信じ、謎を解く決意をします。
イザベラはヒューゴを家に連れて行き、義母ジャンヌに引き合わせます。そして彼女に絵を見せると、ジャンヌは酷く動揺しました。ジャンヌはヒューゴを追い出そうとし、彼は必死に人形の事を話し事情を聞き出そうとします。しかし彼女は、悲劇を知るにはまだ若いと語りませんでした。そこにジョルジュが帰って来ました。ジャンヌは咄嗟にヒューゴ達を自分の部屋に匿います。ヒューゴはジャンヌが先程話した時、仕草でこの部屋の箪笥に手帳が隠してあると睨みました。二人は手帳を探し始めます。イザベラは隠してあった箱を見つけ、椅子に乗り取り出そうとします。しかし椅子が壊れ、中身を撒き散らしてしまいました。大きな物音を聞いたジョルジュ達が部屋に入ってきます。彼は箱の中身、舞い散る無数の映画のスケッチを見て、墓から蘇ったと呟きます。そして手に取った一枚を握り潰し、自分は玩具屋の主人だと嘆きました。ジョルジュはヒューゴに裏切られたと悲しみ、ヒューゴはいたたまれなくなり、駅に戻って行きました。駅に戻るとラビスと鉢合わせします。彼は今携えて居る本、イザベラと映画を見に行くきっかけになった本を名付け子に贈るつもりでした。しかし落ち込んでいるヒューゴを見て、彼にその本を贈りました。公安官はリゼットを気にしていましたが、足のギブスにコンプレックスがあり、踏み出せずに居ました。それを見かねた夫人は、彼の背中を押します。公安官はリゼットに話し掛けますがうまい言葉が出てきません。その上ギブスが鳴り、戦争で負傷した事を話しそれを恥じて去ろうとします。ですがリゼットは引き止めます。彼女は自分の兄が戦死した事を話し、公安官に花を一輪差し出しました。ヒューゴとイザベルはラビスから話を聞き、映画史の本で月世界旅行を調べるます。すると監督のジョルジュは死んだ事になっていました。その時、図書館員であり今読んでいた本の著者タバールが話し掛けてきます。タバールはイザベルからジョルジュが存命だと聞き、彼の事を話し始めます。ジョルジュは手品師であり映画の先駆者でした。タバールは、一度彼と会った時、夢はここで生まれるとスタジオを示されました。タバールは彼は死んだと思って居ました。彼の映画で現存しているのは僅か１本で、残った唯一の傑作だと言います。ヒューゴとイザベラは、映画がまだ残っている事をジョルジュに教えようと話し合います。ヒューゴはイザベラから、ラビスが良い家には良い本をといつも誰かに本をプレゼントしていると聞きます。ヒューゴは何者にも目的があり、その目的を果たす為に生かされている考え、そして、駅の最上階、大時計の窓から巨大なからくりのように見えるパリを見て、入らない部品はない、自分にも何か役割があると筈と言います。二人は明日タバールをジョルジュに会わせると決め、別れました。その夜、彼は奇妙な夢を見ます。それは汽車が暴走し自分を轢いて駅を飛び出して行ったり、自分の体が自動人形になって歯車に組み込まれている夢でした。翌朝、公安官にクロードが死んだという連絡がありました。
ジョルジュの家に案内されたタバールはジャンヌと顔を合わせ、偉大な映画監督に礼が言いたいと告げます。ジャンヌは過去はジョルジュを苦しめると言い、一度は追い返そうとします。しかしタバールが失った筈のフィルムを持っていると知り、持ってきた映写機でそれを見せて貰う事にしました。イザベラも交え、４人は月世界旅行を見入ります。ふと彼等が振り向くと映写機の音を聞きつけたジョルジュが立っていて居ました。彼はジャンヌに促され過去を語り始めます。彼は人を楽しませる為に小道具を作り手品を披露し、自動人形を作り、そして映写機と巡り合い映画を撮り始めます。ですが戦争が始まり、人は娯楽に見向きしなくなり、映写機は戦場の記録を撮り始め、彼の会社は破産し、全てを燃やしました。フィルムは化学工場に売り靴の原材料になり、その金で玩具屋を開きました。人形は売りに出すのが偲ばれ博物館に寄贈されたのでした。ジョルジュはハッピーエンドは映画の中だけだと結びます。それを聞いたヒューゴは駅に向かいます。駅ではフリックが夫人の犬と同じ犬種を連れてきて、全てを丸く治めていました。そんな彼等に公安官は、クロードが死んだと世間話をします。それを盗み聞きしたヒューゴはショックを受けました。そこにフリック達の犬が近付いてきて、公安官が気付きヒューゴを捕まえます。公安官は冷酷に職務を果たしヒューゴを牢屋に入れます。しかし彼は隙を見て逃げ出しました。ヒューゴは追ってくる公安官を撒き、自動人形を持ってジョルジュの家に向かおうとします。しかし、再び公安官に捕まり、その際振り回されて人形が飛んで行きます。それを追い線路に飛び出すヒューゴですが、そこに汽車がやって来ます。それを間一髪救ったのは公安官でした。ヒューゴは公安官に、自分はやらなくてはならない事があると訴えます。そこにジョルジュがやって来て、ヒューゴは自分の子だと名乗りを上げました。ジョルジュは彼を引き取り家に連れ帰りました。タバールは苦労して見つけた映画の上映会を開きました。その舞台でジョルジュは、一人の若者が壊れた機械に向き合い、手品の様に修理して見せたと言い、一緒に夢を見ましょうとスピーチしました。その後のパーティーで、ジョルジュの家は幸せに満ち溢れていました。イザベルはこの顛末を本にし、そして幸せを導いた自動人形は、彼等を嬉しそうに見て居ました。
マーティン・スコセッシ監督といえばタクシードライバー、ケープ・フィアー、グッド・フェローズ、ディパーテッドといった、人間の欲とバイオレンスをテーマに扱っているイメージがあったのですが、この「ヒューゴの不思議な発明」は全く毛色が異なるCGを駆使したファンタジーだったため、視聴中も監督名を確認しなおすほど驚きがありました。映画黎明期に、色々な手法を駆使して映画を撮っていた人たちに対する尊敬や愛情が詰まっており、視聴後の後味もすっきり爽やか。パリのおしゃれな風景とよくマッチしたハートフルストーリーであり、家族みんなで楽しめる物語です。