イカロスの紹介:2017年アメリカ映画。ドーピング検査の有効性を否定するために、自らドーピングを試みたブライアン。しかし彼の企画はロシアの組織ぐるみのドーピング疑惑へ切り込んでいく事となる。
監督:ブライアン・フォーゲル 出演者:ブライアン・フォーゲル、グリゴリー・ロドチェンコフ、ほか
映画「イカロス」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「イカロス」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
イカロスの予告編 動画
映画「イカロス」解説
この解説記事には映画「イカロス」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
イカロスのネタバレあらすじ:起・あえてドーピングを試みる
アマチュア自転車競技者ブライアン・フォーゲルは、同じく同世代のプロ自転車競技者アームストロングなど、スポーツ界のドーピングに対して疑問を持っていた。そこでそれまでドーピングを一切した事の無かった彼は、ドーピングに詳しい科学者の指導の元、計画的にドーピングをし、検査を通過しドーピング検査が有効なのかを確かめようとした。
参加するオート・ルートの日程に合わせて、長期にわたり注射や錠剤を定期的に飲み、協力者の元尿や血液の検査をこまめに行った。しかし、協力者の一人がこのドキュメンタリー企画によって名に傷がつくことを恐れ、ロシアのラボのグレゴリー・ロドチェンコフを代わりに紹介した。
イカロスのネタバレあらすじ:承・ドーピングの結果
ブライアンはオート・ルートに向けて、着実に練習で結果を出していた。しかし、アメリカ国内で検査ができなくなった彼は、グレゴリーに頼みロシアのラボへ秘密裏に持ち帰って検査をしてもらう事にした。
かつてはマラソンランナーだったグレゴリーは選手時代から自国選手の間で、薬物によって一時的にパフォーマンスレベルを上げるというドーピングの存在は知っていた。そして、選手にはならず、当時はソ連のドーピングラボに勤め、ラボの長まで出世した人物だった。
アンチ・ドーピングを掲げたオート・ルートが開催されたが、ブライアンに検査は行われなかった。さらに、計画的にドーピングしていたにも関わらず、ブライアンはドーピングなしの前年よりも順位を落とした。ドキュメンタリー企画はそれで終わるはずだった。
イカロスのネタバレあらすじ:転・協力科学者の疑惑
ロシア選手には以前からドーピング疑惑があった。ドイツの製作したドキュメンタリー番組で一度は明るみなりそうだったその疑惑は、ソチ五輪で一度は握りつぶされてしまったが、その後再び再燃した。しかしロシアの政府関係者はドーピングを否定した。IOCはグレゴリーのラボまで調査に及んだ。
実際に、グレゴリーは検査をする選手の検体を入れ替えてドーピングの隠匿に加担していた。そして、ドーピングに関係者の不審死が二人続くと、自分の身の危険を感じたグレゴリーは、ブライアンを頼ってアメリカへ渡った。
イカロスの結末:組織ぐるみドーピング
グレゴリーはブライアンの下に身を寄せ、ドーピングに関する事実をレポートにし、ニューヨークタイムスに渡した。本来ドーピングを検査する立場にあるブライアンのレポートは、当初はトップニュースとなった。同時の元KGBの人物がアメリカにもおり、弁護士に事実を白日ことで命を狙われる事を相談した。
ロシアはプーチン大統領を含め、政府関係者はドーピングに関して証拠があるにも関わらず否定を続けた。ロシア選手には国際大会およびリオ五輪への出場停止が告げられた。選手たちは出場を求め、政府に訴えた。そして、直前になり審査の後、100名近くの選手が除外され縮小された選手団に出場が認められた。
その後も政府はドーピングに対して否定を続けた。グレゴリーはあくまで政府主導だったという主張は曲げず、ブライアンの元を離れ、アメリカで保護監視下に入った。彼の家族を親族はロシアで監視され、旅券を没収された。
以上、映画「イカロス」のあらすじと結末でした。
イカロスのレビュー・考察:その後
作中では語られていないが、その後の平昌五輪で、ロシアは国としての参加は認められず、結果、選手が個人で参加するという事態になった。論争は今でも続いている。しかし、ブライアンの企画を見る限り、出場大会に向けていかにパフォーマンスを上げるために行うドーピングは、専門家の徹底した管理と助言が必要だというのがわかる。さらにドーピングをしても結果が思わしくなかったブライアンの例を借りると、選手側の理解と努力も同時に必要になってくる。少なくとも、気づかずにドーピングをされていたという選手はいないのではないかと思うが想像の域を出ない。ただ、ドーピングをしているという事は、同じ競技を行う選手を裏切っていると同時に、それを観ている観衆をも裏切っているという事を忘れないでおきたい。
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