映画「異人たちとの夏」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
異人たちとの夏の紹介：1988年日本映画。妻と離婚し、仕事一筋のテレビドラマの脚本家の原田は、同じマンションの3階の桂という女性と会ってからおかしなことが起こり始め、死んだはずの両親に会いました。両親はまだ若く、それでも自分を可愛がってくれました。しかし原田の体は両親に会うたびに精気を吸い取られて弱っていきました・・・という幽霊をテーマにした感動のヒューマンドラマです。
監督：大林宣彦 出演者：風間杜夫（原田英雄）、片岡鶴太郎（原田英吉）、秋吉久美子（原田房子）、名取裕子（藤野桂）、永島敏行（間宮一郎）ほか
この解説記事には映画「異人たちとの夏」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
原田英雄（風間杜夫）はテレビドラマの脚本家で妻と離婚し、一人息子とも合わずマンションで仕事一筋の一人暮らしをしていました。原田の元へ通うテレビ局の間宮（永島敏行）は、原田の元妻に片思いをし、元妻に交際を申し込むことを認めてもらうために原田に真剣な話をしますが、原田はあっさり認めました。
原田の住むマンションは夜になると、部屋の明かりが原田の住む6階と、もう一つ3階の部屋しか灯りのつかない、いわばゴーストマンションでした。その夜、3階に住むと言う若い女性（名取裕子）が、一緒にシャンパンを飲みたいと訪ねてきました。しかし原田は、女性の誘いをそっけなく断り、追い返しました。
ある日、地下鉄から出るのに迷った原田は、気分転換に故郷である浅草に向かいました。浅草の街を歩き、寄席を見ました。寄席の客席から掛け声をかける懐かしい声の男性を見掛けました。気になった原田はその男性の横に座り、顔を見ました。その男性は若い頃の原田の父親（片岡鶴太郎）でした。
父親に言われるがまま自宅に呼ばれました。そこには原田の若い母親（秋吉久美子）がいました。3人でビールを飲み楽しいひと時を過ごしました。原田は両親が息子の英雄であることは知らないと思っていました。帰りのタクシーでは嬉しさ余って独り言をしゃべりました。そしてマンションのロビーで3階の女性に会い、昨夜の事を謝りました。
翌朝、元妻から自分の荷物が送られてきました。両親と写る子供時代の写真を眺め、両親の位牌を見つめました。その夜、3階の女性から電話があり、二人で部屋で飲むことになりました。女性は藤野桂という名で、胸には他人に見せられない傷があると言いました。酒に酔い、二人は結ばれました。
翌日、原田は再び両親の部屋を訪ねました。すると母親が一人いて、英雄に優しくしてくれました。汗をかいたら体を拭いてくれました。アイスクリームを一緒に作り、そして英雄は母親に姓を聞きました。すると母親は『息子が母親の姓を聞くもんじゃない』と言いました。両親は自分が息子の英雄だと言う事を知っていました。その帰り、英雄は12歳の頃、両親が自転車で車に撥ねられたことを思い出しました。
夜は自宅で桂と愛し合い、昼間は両親に会いに行く日々が続きました。ある夜、桂が英雄に顔色がとても悪いと言いました。眼の下にクマが出来て黒くなっていました。テレビ局ではやつれた原田を見て、皆が大丈夫か？と問いかけました。そして桂に何があったのと？問い詰められ、英雄は死んだ両親に会いに行っていることを話しました。すると桂は、死んだ両親に会うことで精気が徐々に吸い取られ体がやつれている。このまま続けると死んでしまうと言い、もう会うのはやめてと言いました。
英雄は別れを告げるために両親に会いに行きました。しかし普段と変わらず両親は優しく、とても別れを言い出せない英雄はそのままずるずると楽しいひと時を過ごしてしまいました。その夜、別れを告げることが出来なかった英雄に桂は鏡に映った顔を見せました。それは死人のような顔をしていました。
決心した英雄は両親を訪ね、今日でもう会えないと言い、すきやきを食べに行こうと誘いました。浅草のすき焼き店に着くと父親から『もう時間があまりない、別れの時が来た』と告げられました。すき焼きを煮込みながら3人は最後のひと時を過ごし、やがて両親は消えて行きました。
英雄は『結局何も食べていない』と泣きながら両親の割り箸をハンカチに包みました。原田が目覚めると桂の部屋でした。そのころ原田の様子を心配する間宮がマンションを訪ねました。灯りは3階の部屋についていました。管理人に聞くと、今の住人は6階の原田のみだと言いました。3階の女性は一か月前に胸を何カ所も刺して自殺したと聞かされました。
間宮は3階の部屋に入りました。そこには瀕死の原田と幽霊の桂がいました。間宮は原田を桂から引き離しました。桂は「あの時シャンパンを一緒に飲んでくれたら自殺しなかった」と言って消えました。
入院中の原田を息子が見舞いました。原田は会話の出来なかった息子と普通に話せるようになりました。間宮から元妻との結婚を聞かされました。原田は間宮と両親の実家のあった場所に行き、割り箸を燃やして供養しました。
以上、映画「異人たちとの夏」のあらすじと結末でした。
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