江戸川乱歩の 陰獣の紹介:1977年日本映画。探偵小説の人気作家の寒川の元へ、ファンだという美人妻の静子が訪ねてきました。静子はもう一人の人気作家、大江春泥に脅迫されていると言いました。やがて寒川は、行方の分からない大江春泥を探すことになりますが・・・という江戸川乱歩の小説『陰獣』の映画化作品です。
監督:加藤泰 出演者:あおい輝彦(寒川光一郎)、香山美子(小山田静子)、大友柳太朗(小山田六)、川津祐介(市川荒丸)、田口久美(ヘレン・クリスティ)、加賀まりこ(増田芙美子)、尾藤イサオ(青木民蔵)、任田順好(佐々木初代)、若山富三郎(本田達雄)ほか
映画「江戸川乱歩の 陰獣」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「江戸川乱歩の 陰獣」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
江戸川乱歩の 陰獣の予告編 動画
映画「江戸川乱歩の 陰獣」解説
この解説記事には映画「江戸川乱歩の 陰獣」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
江戸川乱歩の陰獣のネタバレあらすじ:起
推理探偵小説家の寒川は、自分の作品が映画化されることで、編集者の本田と一緒に京都撮影所へ行った時、立ち寄った博物館の前で、うなじにミミズ腫れのある美人妻を見かけました。女性は寒川の小説のファンだと言って、話が弾みました。
女性は自己紹介し、小山田静子と名乗りました。そして静子は寒川に、「同じ推理小説家の大江春泥の事を知っているのか」と聞きました。すると寒川は、春泥の事を変わり者だと言って悪くけなしました。静子は「また連絡してもいいか」と言って別れました。
静子の夫の六郎は、「植草から碁に誘われた」と言って出て行きました。植草の家にはヘレンという外人女性がいました。ヘレンは六郎がロンドン在住時代の愛人で、日本にいる間、植草夫妻に預かってもらっていました。
原稿の締め切りの迫った寒川がホテルで書いていると、本田が「下宿に手紙が来ていた」と、寒川に渡しました。その手紙は静子からでした。「今日、下宿におじゃましたい」と書かれていました。
江戸川乱歩の陰獣のネタバレあらすじ:承
寒川が急いで帰ると、静子がいて、春泥からの脅迫状を見せました。春泥は本名を平田一郎といって、静子と恋仲だったと言いました。しかし平田の思いが強すぎて、怖くなった静子が別れをつげたと言いました。この怨みからの復讐の脅迫状でした。静子が、六郎に平田の事を話していなかったことから、昔、恋仲だったことをネタに脅していました。
寒川は、原稿が終わったら二人で春泥を探そうと言いました。誰にも顔を見せなかった春泥を本田が見たと言って写真を持っていました。本田と共に探し始めて一ヶ月後、静子から自宅に呼び出しがかかりました。
新しい脅迫状を見せると、『六郎を殺して、静子も殺す』と書いてありました。そして、この家に春泥がいて、大掃除のあと、天井にできた隙間から私を覗いていると言いました。天井裏に上がった寒川は、足跡と、取れたボタンを見つけました。そこで静子に、隙間の無い洋室で寝るように言いました。
江戸川乱歩の陰獣のネタバレあらすじ:転
六郎が水死体で見つかりました。背中に刺し傷が数か所あり、カツラを被っていました。六郎の葬儀にヘレンがきました。そしてヘレンが植草夫人と帰るのを見て、後を付けて話しを聞きました。すると屋根裏で見つけたボタンの付いた手袋を見つけました。
ヘレンに聞くと、ロンドンで六郎とペアで買ってもらったと言い、服を脱いだヘレンの背中にはミミズ腫れがあり、寒川に鞭で叩いてと迫りました。寒川は、春泥はカツラを被った六郎だと判断し、ヘレンによってサディストになったことなどを静子に話しました。そして六郎を殺したのは嫉妬心から、ヘレンか静子だと言いました。
そのころ、本田は仲の良い店の女中から、平田一郎と静子の関係を聞かされ、唖然としました。静子から聞いたという寒川の話とは全く違いました。今でも二人で暮らしていて、春泥の妻はメガネをかけて、歯痛止めの貼り薬を貼っていると言いました。本田は演劇を見ていた寒川に、そのことを話しました。本田から聞いた春泥だという劇団の荒丸が、目の前で妻に毒を盛られて殺されました。
江戸川乱歩の陰獣の結末
演劇が中止され、静子と寒川は運転手の青木の車で帰りました。その時、青木の手袋のボタンが無いのに気づいた寒川は、手袋の事を聞きました。手袋はボタンが取れたから六郎にもらったと言いました。更に大掃除はいつだと聞くと、青木が手袋をもらった後でした。静子の話のつじつまが合わなくなりました。
静子は寒川を一軒家に呼びました。2階に上がると、壁を赤で統一した部屋でした。寒川は、春泥は静子だと言いました。更に春泥の妻も静子で、一人で3人を演じていると言いました。静子は六郎がロンドン在住中に、自分の思いを込めて書いた推理小説が大ヒットしました。しかし自分の身分を明かせないため、作者を大江春泥、つまり平田一郎にしていました。そしてその平田一郎も殺していました。そして六郎が帰って来て、書けなくなった小説を、寒川を使って、小説を演じようとしたのでした。そして六郎によって自分も鞭で打たれることになった静子が、六郎を殺したのでした。
全てを明かした静子は服を脱ぎ、寒川に鞭で叩いてと願いました。寒川は静子に口づけをし、抱き合いながら『心から愛している』と言って去りました。その後、静子は断崖から身を投げました。
以上、映画「江戸川乱歩の 陰獣」のあらすじと結末でした。
この映画の感想を投稿する