狗神(いぬがみ)の紹介:2001年日本映画。坂東眞砂子の同名小説の映画化。高知県の村に伝わる狗神伝説をベースにしたファンタジックホラー作品です。第51回ベルリン国際映画祭で上映されました。
監督:原田眞人 出演:天海祐希(坊之宮美希)、渡部篤郎(奴田原晃)、山路和弘(坊之宮隆直)、深浦加奈子(坊之宮百代)、遊人(土居誠二)、矢島健一(坊之宮道夫)、淡路恵子(土居克子)、藤村志保(坊之宮富枝)、ほか
映画「狗神」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「狗神」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
狗神の予告編 動画
映画「狗神」解説
この解説記事には映画「狗神」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
狗神のネタバレあらすじ:起
高知県の村、尾峰に住む坊之宮美希(天海祐希)は紙漉きを生業としていました。ある日、村の小学校に赴任してきた教師・奴田原晃(渡部篤郎)が、土居製紙の誠二(遊人)とともに工房に立ち寄ります。
その夜、美紀は奇怪な夢を見て夜中に飛び起きます。翌朝、他の家族も口々に妙な夢を見たことを訴えました。翌日、晃は再び美希の工房を訪れます。どうやら晃は美希に心をひかれているようです。
一方、美希の姪の里香と恋人同士である誠二は、ある日祖母の克子(淡路恵子)に呼ばれて、坊之宮家の女は狗神筋として怖れられているため、里香との結婚は絶対に許さないと釘を刺されます。
狗神のネタバレあらすじ:承
美希は雨宿りのため入った大木の洞で、晃に高校時代の記憶を打ち明けます。それは、かつて好きになってはいけない相手の子供を宿したが結局死産だったという内容でした。洞の中で二人は体を重ね、その後も関係は続きました。
その頃から村ではいさかいや事故が頻発するようになり、それらは狗神の仕業であるとされ、美希は村人からつらく当たられるようになります。
そんな中、美希の工房が建つ土地を土居製紙が買い取ろうとしていることを知った美希が土居製紙に乗り込みますが、克子は聞く耳を持たず、逆に美希が兄・隆直(山路和弘)の子を身ごもったことを暴露し罵倒します。かっとした美希が克子を怒鳴りつけるやいなや、克子は突然死します。
狗神のネタバレあらすじ:転
先祖祭りを控えた中、狗神の祟りを恐れて村人たちは次々に村を逃げ出しており、美希との関係が噂になっている晃は教師をやめざるを得なくなります。
晃が一人で待つ工房に突然数人の村人たちが現れ、工房を破壊してしまいます。茫然とする美希に晃は一緒に村を出ようと説得し、二人で坊之宮家に談判に訪れます。
富枝の考えを聞こうとの意見が出て、テーブルのいつもの席で富枝が話し始めますが、話しているのは美希でした。一年前に死んだ富枝の霊が美希に憑依しているのでした。
村人の話によると、富枝の霊が美希に降りてくるようになったのは晃が村に来てからで、狗神を守る役目を怠った美希に狗神が悪さをしているとのことでした。仕方なく晃は一人で村を去ります。
狗神の結末
1か月後、産院の看護師の告白である真実が発覚します。死産だったのは美希と同室の別の妊婦で、富枝に命じられ二人の子をすり替えたとのことです。美希が産んだ子は晃でした。その上、現在、美希は晃の子を身ごもっているのでした。
先祖祭りが始まり、皆に杯がふるまわれますが、それには毒が盛られていました。毒を盛られた者は他の人間を殺し始め、祭りは混乱の坩堝となります。
祭りに参加するため戻って来た晃を見つけ駆け寄ろうとした美希を追う隆直を、晃が鎌で刺殺します。晃と美希は共に山を下りますが、途中で待ち伏せしていた猟師に晃が撃たれます。
瀕死の晃を美希が抱え起こし、二人は再び山を下りていきました。
以上、映画「狗神」のあらすじと結末でした。
最初は老けた印象が強かった美希(天海祐希)がどんどん綺麗に若々しくなっていく様子がミステリアスで魅力的です。兄妹と母子の間で作られていた関係がこの作品の鍵であり、視聴者を魅了する重要な要素でもあります。土着の伝承や文化への畏れ、そして人に対する差別意識が悲劇を生み出すことが鮮明に描かれていて、胸にしみます。