自虐の詩の紹介:2007年日本映画。業田良家のベストセラー漫画を映画化。笑いあり涙ありの感動エンターテインメント作品。夫に尽くす幸薄な幸江役に中谷美紀。元ヤクザの夫・イサオ役は阿部寛が演じる。豪快なイサオのちゃぶ台返しは必見! キャッチコピーは「伝説の4コマ漫画映画化!笑いあり、涙ありの怒涛のエンターテインメント!」で、舞台は原作の東京から大阪の下町になり、小さい頃から不幸の連続であった女性の半生を描きます。主演の中谷美紀はこの作品で第31回日本アカデミー賞優秀主演女優賞を受賞しました。
監督:堤幸彦 出演:中谷美紀(森田幸江)、阿部寛(葉山イサオ)、遠藤憲一(あさひ屋マスター)、カルーセル麻紀(福本小春)、ミスターちん(難波警部)、名取裕子(美和子)、西田敏行(森田家康)、ほか
映画「自虐の詩」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「自虐の詩」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
自虐の詩の予告編 動画
映画「自虐の詩」解説
この解説記事には映画「自虐の詩」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
自虐の詩のネタバレあらすじ:1:「本当にささやかな幸せでいい。私は幸せになりたい」
「前略、お母ちゃん、あなたはなぜ私を産んだのですか?そして、なぜ私を捨てたのですか?」と語る女・森田幸江は、ネクチクラゲが泳ぐ海の街・宮城県気仙沼で育ちました。中学生の頃、幸江は貧しい暮らしを少しでも助けるため、新聞配達のアルバイトをしていました。昭和天皇が崩御して新たな元号「平成」が発表された翌日1989年1月8日、幸江は暴風雨の中で、上下ちぐはぐなジャージを着て、雨に濡れながら自転車をこぎ、海に落ちた落雷の衝撃で倒されても、暴風で倒されても、配達しました。幸江は暴風雨が止み、きれいな朝日の中、防波堤で新聞販売店店主からご褒美にもらった饅頭と牛乳を食べ、「ささやかな幸せを手に入れた」と感じていました。しかし、幸江が店主からもらった新聞を開けて見ると、彼女の父・家康が銀行強盗をしている写真が大きく載っていました。驚いた幸江が家に帰ると、父はパンツ一丁でパトカーに乗せられているところでした。幸江は、神社で「幸せになりますように」とお祈りして、本坪鈴を鳴らしても、鈴が落ちてしまい、自分は神様からも見放されているように感じていました。それに加えて、今回の父の事件、学校でも誰もが彼女を忌避しました。幸江は「いつも不幸のどん底にたたき落とされて…いつも私は不幸」と思っていました。ただ、同じように貧しかった熊本さんだけが、唯一無二の友達としてつき合ってくれました。二人は一緒に海を見ながら、「幸せになりたいですか?」「ちょっとでもいい、幸せになってみたい」「この街を出よう」と呟き合いました。幸江は「お母ちゃん、私は幸せになりたい。本当にささやかな幸せでいい」と家出した母宛の『お母ちゃんへの手紙』に書きました。
自虐の詩のネタバレあらすじ:2.大人になった幸江
舞台は通天閣の見える大阪・飛田、ある朝、商店街のゴミ置きに倒れているパンチパーマのごつい男が死んだように倒れていました。その下町の小さな古いアパート「パンション飛田」で、森田幸江は内縁の夫・葉山イサオと二人で慎ましく暮らしていました。幸江が朝ご飯の支度をして、夫の帰りを待っていると、隣に住んでいる福本小春が「警察や!イサオさんが…」と駆け込んで来ました。幸江は小春を突き飛ばし、取るものも取り敢えず警察に行きました。すると警察の霊安室に夫・イサオが鼻血を出していました。死んだと思い泣き崩れる幸江に、難波警部は部屋がなかったので霊安室に入れただけで、今、彼は酔って眠っているだけでした。警部の説明では、イサオはヤクザを殴りカツアゲし、その金で立ち飲み屋で豪遊したそうでした。相手のヤクザは顔面傷だらけで、カンカンに怒っていました。幸江は頭を下げて謝りました。そうです、早朝ゴミ置きで倒れていた男はイサオだったのです。
自虐の詩のネタバレあらすじ:3.イサオのちゃぶ台返し
イサオは元ヤクザで、その鋭い目付きと気性の荒い性格で、その上に腕っ節が強いため、よく喧嘩をしていました。イサオは幸江と暮らすためにカタギになりましたが、まともに勤めず、酒とギャンブルに溺れていました。何とかパトカーで難波警部と不遇にも脚の骨を折った船場巡査に助けてもらい、幸江はイサオを家に連れて帰りました。家で目を覚ましたイサオと幸江は、一緒に朝ご飯を食べ始めました。イサオが幸江自家製のキュウリの漬け物に醤油をかけようすると、醤油の蓋が落ち、漬け物は醤油漬けになってしまいました。その瞬間、イサオは憤り、ちゃぶ台をひっくり返しました。
自虐の詩のネタバレあらすじ:4.幸江やイサオを取り巻く人々
自分の気に入らないことがあると、ちゃぶ台をひっくり返すのは、無口なイサオの悪習慣でした。その音が聞こえると、隣の小春は「不憫やな~」などと呟き、数えるのが彼女の日課でした。イサオがまともに働かないので、幸江が商店街の中華料理屋“あさひ屋”で働き、貧しいながらも生計を立てていました。その“あさひ屋”のマスターは密かに幸江に恋心を抱いていました。マスターはそれとなく幸江に度々気持ちを伝えようとしますが、幸江は知らないふりをして、マスターのもとで働いていました。イサオには数人の子分がいました。パチンコでイサオの台の玉の出が悪く、子分の台の方がいいときなどは、イサオが「変われ」と呟くだけで、子分は彼に出玉ごと台を入れ替わるほど、忠実でした。そして、イサオにとってパチンコは遊びでなく仕事でした。ある夕食のとき、幸江がパチンコを「仕事じゃないのに…」と言った瞬間、イサオはちゃぶ台をひっくり返しました。たまに、幸江は、夕食の準備をして待っているのに、イサオの帰りが遅いので「こうなったら、私だって…」とちゃぶ台をひっくり返すこともありました。その音はイサオの時と音が違うので、小春は赤のマジックペンで数を数えていました。未亡人の小春は幸江を「娘みたいな者」と見守っていました。ある日、幸江が生活費で困っていたとき、彼女は気前よく貸してくれました。ただ、夫・イサオには「今時、ちゃぶ台返しなんかする男がおるか?昨日で今年に入って36回目やで」と怒っていました。幸江は、若い頃に6人の暴走族に襲われそうになったとき、イサオが突然現れ、6人の族を叩きのめし助けてくれた光景を思い出し、「すごかったな~。あの百人切り」と小春に呟き返しました。小春はその幸江の表情を見て、「辛すぎて、頭に虫わいてもうたんやな」と幸江の境遇に心を痛めていました。
自虐の詩のネタバレあらすじ:5.イサオ、仕事に行く
ある寒い日、イサオは行きつけの喫茶店“クラウン”で子分たちと休んでいると、妻・幸江が寒そうに出前をしている姿を見て、何か後ろめたさを感じ、見て見ぬふりをし、また、幸江に見られないように、持っていたパチンコ雑誌で顔を隠しました。また、ある日、イサオたちがその喫茶店で休んでいると、幸江が出前のラーメンを持って来ました。その出前のラーメンがのびていると文句をつけ、金は払わないと言う店主に、イサオは立ち上がり、店主に頭突きをくらわし、店主に金を払わせました。家に帰ったイサオは、夕食後、幸江からお礼を言われました。イサオは幸江に「弁当、仕事行く、明日」と言いました。喜んだ幸江はイサオに抱きつき、二人は久しぶりに熱く燃えました。翌日、幸江の作った弁当を持ってイサオは、道路の工事現場の警備員の仕事をしました。無口なイサオは仲間とうまく会話できず、大渋滞を引き起こしてしまいました。また、偶然、昔ヤクザだった頃の知り合いのヤクザ2人が、車からイサオに気付き、声をかけてきました。その2人は、幸江のことを「ブス」と呼んだので、憤ったイサオはその2人を車から轢き吊りだし、殺しかねない勢いで叩きのめしました。この事は警察沙汰になりました。警察から通報を受けた幸江は、急いでイサオを迎えに行きました。警察はイサオも加害の原因を黙秘、やられたヤクザも怖がって原因を黙秘で、原因はわからない事と相手がヤクザである事を考慮し、不問にしてくれました。幸江は帰り道、イサオに喧嘩の原因を聞きますが、イサオは何も言いませんでした。幸江はイサオに「ダメなんだから、喧嘩ばかりしちゃあ。少しは辛抱して」と諭すと、イサオは幸江の持っていたお金を取って、どこかに行きました。結局、その夜、イサオは家に帰らず、野宿しました。幸江はその夜、イサオの帰りを待ちながら、『お母ちゃんへの手紙』に「お母ちゃん、幸せとはいったいどういうものでしょうか。そして、それはこの世のどこかに必ずあるのでしょうか。私はまだ、私の幸せを見つけられません。あなたに捨てられたあの日からずっと」と綴り、財布からお守りの五円玉を見て、夜を過ごしました。
自虐の詩のネタバレあらすじ:6.イサオ、ヤクザに勧誘される
翌朝、イサオはタバコがなくなったので、自販機で買おうとしていると、以前カツアゲしたヤクザたちが来て、イサオを組事務所に連れて行きました。そのヤクザの組長は、イサオに自分の組員をカツアゲしたことを取り上げ、自分の組に入らないかと勧誘してきました。組長はイサオに「お前はな、この世界で生きる男や。…惚れた女のためとはいえ、カタギの暮らしはやっぱりお前には合わへん」と言ってきました。中華料理屋“あさひ屋”のマスターは幸江にプロポーズをするために、指輪を買ってきました。その帰りに、マスターは、イサオがヤクザの事務所からヤクザたちに囲まれて出てくるのを、偶然目撃してしまいました。
自虐の詩のネタバレあらすじ:7.マスター、幸江にプロポーズする
その夜、“あさひ屋”のマスターは、閉店後、幸江に買って来た指輪を強引に渡し、プロポーズしました。マスターは幸江に、イサオを「あいつはヤクザやで」と言いました。幸江はマスターの言葉を否定し、指輪を返しました。それでもマスターは幸江を必ず幸せにすると断言し、強引にキスしようとしました。驚いた幸江は指輪をマスターの口に入れ、飛んで帰りました。幸江に断れたマスターは、悲しさを紛らすために、行きつけのソープランドの行き、ユキエちゃんを指名しました。しかし、先約でユキエちゃんを待っている太った中年男がいました。その中年男は「俺はな、今日、遠路はるばる、帰って来たんだ」と強烈な東北訛りで言い、マスターが持っている同じユキエちゃんの名刺を出しました。マスターとその中年男は口論になり、その夜、二人はなぜか一緒に酒を酌み交わしました。
自虐の詩のネタバレあらすじ:8.父・家康、出所して来る
翌朝、二人は“あさひ屋”で、中年男が作ったみそ汁とご飯を食べました。マスターは昨夜のことは酔い潰れてしまい記憶がありませんでした。どこの誰だかわからない中年男を、酔った勢いでマスターは泊めたようでした。マスターは中年男にご飯を食べたら出ていってくれと言いました。するとその時、幸江がお店に出勤してきました。幸江がふと、お店の厨房を見ると、そこには中学時代に逮捕された父・家康がいました。驚くべき再会に幸江はお店から出ると、家康も出てきました。何もわからないマスターは、ただの中年男が大好きな幸江に手を出そうとしていると勘違いし、中年男にくってかかりました。そんなマスターを見て、幸江は「この人、うちのお父さんなんです」と言いました。それを聞いたマスターは驚きました。その瞬間、マスターは家康のアッパーカットで、気絶してしまいました。マスターは店を休業し、幸江は家康にお金を無心に来たのだろうと言うと、家康はマスターのタバコやライターを自分の物のように胸ポケットに盗みながら、イサオを批判し、幸江に人並みに幸せになってほしいと泣きながら言いました。
自虐の詩のネタバレあらすじ:9.幸江、赤ちゃんを授かる
ある日、幸江は出前の途中で、たくさんのネクチクラゲが青白く光りながら水槽内で泳いでいるきれいな姿を見ていました。すると、突然、吐き気を催しました。お医者さんに診てもらうと妊娠3か月でした。幸江は喜びました。その日“あさひ屋”が閉店したとき、酔っぱらったイサオたちが入って来ました。イサオは席に座るなり、店のメニューの物を全部持ってこいと怒鳴りました。幸江がお金のことを聞くと、イサオは札束をテーブルに叩きつけました。パチンコで怒濤の60連チャンを出したそうでした。そこに「お客様は仏様、神様だ」と言い、奥から父・家康が出てきました。初対面の家康とイサオは、ガンの飛ばし合いを始めて、今にも喧嘩を始めそうでした。幸江はイサオに水を飲み正気にさせようとし、二人にお話がありますと言って、席に座らせました。そして、幸江は「赤ちゃんができたの」と小声で宣言しました。それを聞いたイサオは飲んでいた水を吹き出し、マスターは「嘘やろ~!」と大声で驚きました。家康はイサオに「童までこさえて…」とくってかかりました。騒然とするみんなを、幸江は一喝して黙らせました。そして、幸江はイサオに何か言うことないのと言うと、彼は無言でテーブルの札束を握り、水でさらしているもやしの中に札束を突っ込んで、店を出ていきました。濡れた札束を家に持ち帰り、アイロンをかけて乾かしながら、幸江は小春に相談しました。小春は、悩む幸江に「女にはな、産まない、母親にはならないという決断をせんとならん時もある。それも立派な女の役目や。子供はな、親を選ばれへんのや。子供に大変な思いをさせるのは、犯罪やで」と諭しました。
自虐の詩のネタバレあらすじ:10.苦悩するイサオ
結局その夜、イサオは帰って来ませんでした。車両基地で空を見上げていたイサオのもとに、あのヤクザの組長が現れ、「お前の体には一流のヤクザの血が流れてるんや。カタギの世界ではお前の才能は活かされへん」とまた勧誘してきました。イサオは何も答えませんでした。その夜、イサオは家に帰ると、幸江が何かの本を読んでいました。幸江はその本を座布団の上に置き、夕食の準備をしながら、無言のイサオに「何も言ってくれないなら…別れる」と小声で言いました。イサオは座布団の上の本の裏表紙の「父親の役割」という言葉に目を奪われ、ちゃぶ台をひっくり返しました。イサオは幸江に「出ていけ」と呟きました。幸江の返事がないので、イサオは家を出ていきました。幸江は泣きました。親もヤクザであったこと、その血を自分も受け継いでいることで産まれてくる子供に苦悩し、イサオは失踪してしまいました。
自虐の詩のネタバレあらすじ:11.幸江、歩道橋から転落する
家に帰って来ないイサオの子供を身籠もった幸江は、「前略、お母ちゃん、私は本当にこの子を産んで、いいのでしょうか?」と綴り、悩みながらも、必死で働きました。ある日、出前の途中で、幸江は謝って歩道橋から落ちてしまいました。幸江はお守りの五円玉がマンホールに落ちていくのを見て、意識を失いました。彼女は救急病院へ運ばれました。それを聞いた小春は、急いで麻雀をしているイサオにその事を告げに行きました。イサオは麻雀台をひっくり返し、全力疾走し、病院に向かいました。イサオは自分の行く手を阻む物はひっくり返して走りました。直ぐに手術を受けながら昏睡状態の幸江は、自分の過去の出来事を夢に見ました。
自虐の詩のネタバレあらすじ:12.親友・熊本さんとの思い出
「お母さん、これがあなたからの答えですか?」と綴り、思った幸江は、貧乏だった中学生時代を思い出しました。幸江と熊本さんは学校で教材費も払えませんでした。弁当は恥ずかしいもので、いつも、熊本さんと隠して食べていました。幸江はクラスで優秀で美人な藤沢さんに憧れていました。ある日、優しい藤沢さんから幸江は一緒に弁当を食べました。裏切られた思いで涙する熊本さんは、父が逮捕された後に全てを失った幸江と壮絶な喧嘩をしました。「人生から逃げるな」と言った熊本さんとの喧嘩後、気が晴れた彼女は、生涯どんなに離れても唯一無二の友達となってくれました。幸江が東京に行くとき、熊本さんだけが見送りに来て、弁当と餞別をくれて励ましてくれました。
自虐の詩のネタバレあらすじ:13.父・家康の逮捕の思い出
ある夜、幸江が家で内職をしていると、仕事もせずに酔った父が、突然、風俗嬢・美和子を新しいお母さんとして連れてきました。父は美和子に金持ちだと嘘をついていたようで、入籍後、「貧乏臭い」と文句を連発する彼女のために銀行強盗をして、すぐに逮捕されたのでした。
自虐の詩のネタバレあらすじ:14.売春婦時代、イサオとの出会いの思い出
上京して幸江は、ヤクに溺れて一晩1万円で売春婦をして生きていました。そんな頃、下っ端ヤクザの長髪のイサオと出会いました。イサオは「愛してるんです」と何度も幸江に言い、彼女の用心棒のように付きまといました。ある日、幸江はヤクの幻覚から自殺を図りました。異変を感じて飛び込んできたイサオに、瀕死の幸江は病院に連れて行かれました。そして、幸江が病院から退院すると、短髪にしたイサオが小型車で待っていました。カタギになるために小指を詰めたイサオは、車中で幸江に「きれいな体で、幸江さんを迎えに行きたかったからです」と静かに言いました。途中、海辺に車を停めてイサオと共に海を見ていたとき、彼は「また来ましょうね、海」と言い、砂浜から拾った五円玉をお守りと言って渡してくれました。初めて男の人から優しくされた嬉しさで涙した自分の手を、イサオは優しく握ってくれました。
自虐の詩のネタバレあらすじ:15.お母ちゃんの夢
幸江は「幸せになりますようにという意味で、女の子だから幸江ちゃん、どう、いい名前だね」と言って赤ん坊の自分を抱く美人の母を夢に見ました。母は笑顔で幸江に「あなたはずっと、気付かなかったけれど、あれだけたくさんの人から愛されているんだよ。瞼をあけて見なさい」と優しく語りかけてきました。
手術が無事終わろうとしたとき、幸江の目から涙が流れていました。
自虐の詩のネタバレあらすじ:16.幸江とイサオの涙
無事手術が終わり、幸江の意識が戻ったとき、父、小春、マスター、イサオの子分たちがいました。イサオは病室の扉からこっそり覗いていました。病室で二人だけになったとき、イサオは幸江に「海へ行こうな、三人で」と言ってくれました。幸江は涙が止まりませんでした。イサオの目からも涙がこぼれていました。
自虐の詩のネタバレあらすじ:17.綴り終えた『お母ちゃんへの手紙』
イサオは、正式にヤクザの組長に杯は受けないと断りに行きました。“あさひ屋”に住み着いた父・家康は、経営者のように、マスターに売上に文句をつけ、勝手に改装工事の手配をしていました。マスターは「俺の店、乗っ取られる」と呟きました。
小春は、亡くなった夫とそっくりの訪問販売の男の口車に乗せられて、高額商品を買おうとしていました。幸江は『お母ちゃんへの手紙』に「前略、お母ちゃん、この世には幸も不幸もないのかもしれません。何かを得ると、必ず何か失うものがある。何かを捨てると、必ず何か得るものがある。…追伸、…あの時、みんなに助けてもらった大切な命がもうすぐ産まれます」と綴り終えました。
自虐の詩のネタバレあらすじ:18.熊本さんとの再会
出産も近づいてきたある日、親友・熊本さんから久しぶりに電話がかかってきました。驚いた幸江は、上京するとき彼女から貰った弁当箱と餞別のたくさんの五円玉の束を持って、待ち合わせの関西空港に行こうとしました。イサオは幸江に畳の下から五円玉を取り出し、お守りと言い渡してくれました。熊本さんはオシャレをして、外国人の夫と子供たちと幸せそうでした。再開した二人は、中学時代と同じように手を取り合い、笑顔ではしゃぎ、抱き合いました。
自虐の詩の結末:「幸や不幸はもういい。…人生には明らかに意味がある」
半年後、幸江はイサオと天から授かった赤ちゃんと一緒にあの海辺で佇みました。幸江は、イサオが赤ちゃんを抱く姿を見て思いました。「幸や不幸はもういい。どちらにも等しく価値がある。人生には明らかに意味がある」と…。
以上、映画「自虐の詩」のあらすじと結末でした。
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