白い花びらの紹介:1998年フィンランド映画。フィンランドの国民的作家ユハニ・アホの小説を映画化。仲睦まじい夫婦の幸福が壊れていく様を、モノクロのサイレント映画で描くドラマ作品。田舎でキャベツを育てながら暮らすユハとマルヤの夫婦は、平凡な毎日を目一杯幸せに生きていた。そんなある日、都会に住む洗練された男シェメイッカが現れマルヤを誘惑する。彼に夢中になってしまったマルヤはその手を取り、ユハを捨てて街へ出た。夢見心地のマルヤだったが、思わぬ裏切りが彼女を待ち受けていた。
監督:アキ・カウリスマキ 出演者:サカリ・クオスマネン(ユハ)、カティ・オウティネン(マルヤ)、アンドレ・ウィルム(シェメイッカ)、エスコ・ニッカリ(警察署長)、エリナ・サロ(シェメイッカの姉)ほか
映画「白い花びら」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「白い花びら」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「白い花びら」解説
この解説記事には映画「白い花びら」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
白い花びらのネタバレあらすじ:都会の男
舞台はフィンランドの片田舎。ユハとマルヤの夫婦はキャベツを栽培し、それを売って生計を立てています。一生懸命働いて金が入ると、2人は無垢な子どものように喜びました。特別豊かな生活ではありませんが、彼らは満ち足りた日々を送っています。
そんなある日、輝くオープンカーが村に通りかかりました。運転手はシェメイッカという名の男で、都会の風を纏い洗練された雰囲気を持っています。ところが車が故障してしまい、シェメイッカは途方に暮れました。
ちょうど通りかかったユハに助けを求めると、人の良い彼は修理を快諾。シェメイッカを連れて家に戻り、庭で車の修理に取り掛かります。そこでまだ若いマルヤを見つけたシェメイッカはニヤリと笑いました。室内に案内されたシェメイッカは、ユハの妻だと答えるマルヤに「あの みすぼらしい男の? もったいない」と大げさに驚いて見せます。そしてマルヤを熱烈に口説き始めました。
結局その日の内に車は直らず、ユハはシェメイッカを一晩泊めてやることにします。マルヤは元々孤児で、ユハが育てていました。豪農の娘とも結婚出来たユハですが、マルヤを可愛く思い、年の差を乗り越えて妻にしたのです。話をしながら酒を呑むユハとシェメイッカ。しかしシェメイッカは呑む振りをして全て捨てていました。
狙い通りユハは先に酔い潰れて寝てしまい、シェメイッカはマルヤに近付きます。慌てて寝室に逃げ込んだマルヤは、呑気に寝ているユハを無言で見下ろしました。シェメイッカと比べると、ユハはとても野暮ったく見えます。マルヤは未知の煌きをシェメイッカに感じ、どうしようもなく彼に惹かれ始めていました。
翌日。車を修理しているユハの目を盗んで、シェメイッカは羊の世話をしていたマルヤに近付きます。そして必ず迎えに来ると囁いてマルヤを抱き寄せました。こんな田舎では老け込むだけだと言われ、マルヤは呆然と座り込みます。シェメイッカはユハに礼を言い、直った車で去っていきました。
白い花びらのネタバレあらすじ:逃避行
シェメイッカが去った後もマルヤは熱に浮かされた様子で、仕事も家事も手につきません。数週間後、マルヤは化粧やおしゃれに目覚め、どんどん派手になっていきました。我慢の限界にきたユハが怒り出すと、彼の寝具を出して寝室から締め出してしまう始末です。
そんなある日、シェメイッカが再び家を訪れました。彼はこの前の礼にと、ユハに酒、マルヤにスカーフをプレゼントします。約束通り迎えに来てくれたシェメイッカと、美しいプレゼントにうっとりするマルヤ。シェメイッカから改めて街へ行こうと誘われた彼女は、ついに彼の手を取る決意をしました。
マルヤは「シェメイッカと出ていきます ここは息苦しくて――心まで しなびてしまうの」と書置きを残し、家を出て行きます。車で走り続けたマルヤとシェメイッカは川辺で休憩し、そこで結ばれました。
起きてきたユハは書置きを見つけ激怒しますが、彼には連れ戻す術もありません。警察にも相談しましたが、本人の意志で行ったなら警察は動けないと言われてしまいました。
白い花びらのネタバレあらすじ:シェメイッカ本性
街に到着したマルヤとシェメイッカ。マルヤは導かれるまま高級ホテルに泊まり、田舎では考えられないような贅沢な一夜を過ごします。翌朝マルヤが起きると、シェメイッカの姿がありませんでした。彼女は残されていた「ここで待て」というメモにさえ胸をときめかせてしまいます。
しかし夜になってもシェメイッカは戻って来ません。不安を感じるマルヤを迎えにきたのは、シェメイッカの代理という見知らぬ男でした。世間知らずのマルヤは疑いもせず男について行ってしまいます。到着したのは、数人の女達と用心棒の男達がたむろしているところでした。ここはシェメイッカが女達を使って客に接待するためのアジト。シェメイッカは純朴なマルヤを騙し、夜の女にしようとしていたのです。
しかしマルヤは卑劣な裏切りに気付かず、取り仕切るシェメイッカの姉に会って無邪気に喜んでいました。姉も他の女達もマルヤを品定めするように見下ろし、シェメイッカも女を纏わりつかせて笑っています。
白い花びらのネタバレあらすじ:突きつけられた現実
シェメイッカはマルヤに新しい服を買ってやり、ナイトクラブに出しました。プレゼントだと思い込み嬉しくなるマルヤでしたが、客の男にキスをされそうになり強く拒絶してしまいます。立ち去ろうとするマルヤでしたが用心棒がそれを許さず、シェメイッカに泣きつくと頬を叩かれてしまいました。
小部屋に閉じ込められたマルヤは、ようやく騙されたことに気付きます。その脳裏に浮かぶのは、ユハと挙げた幸せな結婚式の思い出でした。接客を拒否するマルヤは掃除などの下働きを強要されます。
隙を突いて逃げ出したマルヤでしたが、列車に乗り込む寸前で突然倒れてしまいました。彼女はシェメイッカの子どもを妊娠していたのです。マルヤは冬に出産し、アジトに連れ戻されました。
白い花びらの結末:復讐と許し
雪解けを迎えた頃、荒んだ生活を送っていたユハはついに復讐を決意しました。念入りに研いだ手斧をリュックに入れ、スーツに身を包んで街へ向かいます。シェメイッカのアジトに乗り込んだ彼の気迫たるや凄まじく、用心棒の男達も恐れをなして簡単になぎ倒されていきました。
マルヤを見つけたユハは、怒りのまま赤ん坊を窓から捨てようとします。しかしマルヤに止められ思いとどまりました。ついにシェメイッカと対峙するユハ。シェメイッカはユハの怒りに怯えて銃を突きつけます。しかしユハは睨みつけたまま微動だにしません。シェメイッカが発砲し、胸に2発被弾しながらもユハは倒れませんでした。
そして逃げるシェメイッカを追い詰め、手斧で殺害します。ユハはよろけながらマルヤの元に戻って見つめ合い、彼女と赤ん坊をタクシーに乗せ逃がしてやりました。駅に着いたマルヤは、赤ん坊をしっかりと抱いて雑踏とは反対の方向へ歩き始めます。
1人歩き続けたユハはゴミの集積場にたどり着きました。限界を迎えた彼はそのまま仰向けに倒れます。ユハの絶命と共に、この映画も終わりを迎えます。
以上、映画「白い花びら」のあらすじと結末でした。
この映画の感想を投稿する