影武者の紹介:1980年日本映画。「どですかでん」以来、10年ぶりに日本で撮影された黒澤明作品。ほとんどの出演者を公開オーディションで募集したことでも話題となった。カンヌ国際映画祭でパルム・ドール(最優秀作品賞)を受賞。
監督:黒澤明 出演:仲代達矢(武田信玄/影武者)、山崎努(武田信廉)、萩原健一(諏訪勝頼)、根津甚八(土屋宗八郎)、隆大介(織田信長)ほか
映画「影武者」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「影武者」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「影武者」解説
この解説記事には映画「影武者」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
影武者のネタバレあらすじ:起
16世紀後半、日本は戦国時代でした。各地に割拠した群雄は京都へ上がろうとお互いにその情勢をうかがっています。京都を制するものが日本の支配者となれるのです。多くの武士がいるなか、覇権に最も近いと見なされていたのは、武田信玄、織田信長、徳川家康の3人。中でも戦上手として知られる信玄は、他の大名にとって最も油断ならない存在でした。
影武者のネタバレあらすじ:承
信長と家康が同盟を結んだせいで、信玄の軍勢が家康の城の1つである野田城を包囲。落城は目前でしたが、ある夜、城からの銃弾が信玄に当たってしまいます。命はとりとめましたが、戦場に出ることはかなわず、信玄の弟・信廉が信玄のフリをして家康や信長を欺きます。やがて信玄は傷が元で息を引き取ってしまい、信廉たちは緊急に対処策を講じる必要に迫られます。実はそれ以前から信玄そっくりな泥棒を捕えており、いずれ折を見て影武者として役立てるつもりでした。戦況の緊迫した今こそ、その機会なのです。泥棒は信玄の健在ぶりをアピールするため、準備不足のまま人前に出されます。何しろ緊急事態なので、色々とボロが出そうになりますが、仕方ありません。一旦”信玄”となった以上、泥棒は信玄と全く同じ生活を強いられます。信玄と身近に接していた孫や側室からは疑いをかけられ、影武者であることがバレそうになりますが、何とか誤魔化します。
影武者のネタバレあらすじ:転
やがて信長と家康の軍勢に動きが見られたため、影武者を交えて軍議が開かれます。彼の正体を知っている勝頼はわざと影武者に恥をかかそうとしますが、信玄の真似をしようと熱心な泥棒は威厳たっぷりに意見を述べ、かえって部下たちを感心させます。怒った勝頼は自分勝手に出陣。高天神城を攻めようとしたため、信玄たちも加勢せざるを得なくなります。そして戦場でも影武者は堂々たる風格を示し、戦いに勝利。影武者としては得意の絶頂でした。
影武者の結末
しかし好事魔多し。肩口の刀傷がないことから味方の将兵に正体がバレてしまい、影武者は追放処分に。勝頼は攻められる前に信長と家康へ戦いを挑みますが、信玄のいなくなった軍勢は士気上がらず、大敗を喫します。その様子を見ていた元影武者の泥棒は傍観するのに耐えかね、自らも戦場へ。そして、銃弾を受けそのまま死を迎えてしまうのです。
カンヌ映画祭でパルムドールを受賞した
、黒澤映画初のカラーの時代劇。「羅生門」、「七人の侍」、「用心棒」、「椿三十郎」などなど白黒フィルムの作品でも傑作を生み出してきた黒澤が満を持して発表したのがコレ。冒頭の「…ふーむ、よく似ている…」という仲代達也の武田信玄と、それを縮こまって聞いている影武者の仲代達也(二役)のコントラストからもう引き込まれてしまう。しかもこの場面はワンショット。その後続くのはひたすら走る足軽越しにオープニングクレジット。…もう映画のお手本です。最後までエンターテイメントと芸術が融合した傑作です!