風の又三郎 ガラスのマントの紹介:1989年日本映画。冨田勲の音楽と共に野山やサーカスのテントの中を吹き渡る風と共にこの映画は始まる。伊藤俊也監督は宮沢賢治の生涯にその作品を織り交ぜたミュージカル映画を願ったが、実現可能な企画として『風の又三郎』の映画化が選ばれた。ただし、原作にはない少女かりんがこの映画のヒロイン。
監督:伊藤俊也 出演者:早勢美里(かりん)、小林悠(又三郎)、志賀淳一(一郎)、雨笠利幸(嘉助)、檀ふみ(かりんの母)、草刈正雄(又三郎の父/かりんの父)、樹木希林(おたね婆さん)ほか
映画「風の又三郎 ガラスのマント」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「風の又三郎 ガラスのマント」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「風の又三郎 ガラスのマント」解説
この解説記事には映画「風の又三郎 ガラスのマント」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
風の又三郎 ガラスのマントのネタバレあらすじ:転校生又三郎
東北の山村の一軒家に少女かりんはお母さんと二人で暮らしている。今日はお盆。男の子たちは剣舞を披露する日だ。かりんも浴衣を来て提灯を持って出かけるが、剣舞の装束の一郎、嘉助たちにいじめられて帰ってくる。胸を病むお母さんが手の消毒に使う消毒薬の匂いを病院の匂いとからかわれたのだ。家では村の有力者である父方の祖父の使いの男が来ていた。祖父はお母さんを療養所に入れ、かりんを引き取ろうとしている。お母さんと離れるのが嫌なかりんは男の靴の片方を森へもって行って捨ててしまう。そして、その森でかりんは不思議な少年の姿を見た。
新学期、小学校の教室に白い帽子、白いシャツ、白いズボン、白いマントの少年がいる。それはかりんが森で出会った少年に他ならない。少年の名は高田三郎。この土地のモリブデンという鉱石を調べに来たお父さんについて転校してきたという。今日は二百十日。あの子供は二百十日に現れ二百二十日に消える、風の神の子、風の又三郎だと子供たちが言う。
風の又三郎 ガラスのマントのネタバレあらすじ:お父さんの思い出
学校に来ていた又三郎のお父さんの懐中時計を見て、かりんは死んだお父さんを思い出す。祖父の家からこっそり、遺品の動かない懐中時計を持ち出す。祖父の家で働くおたね婆さんがかりんにお父さんの話をしてくれる。放浪癖のあったお父さん。お母さんもよその土地から連れてきた。そのお父さんの狩猟について行ったとき、かりんがお父さんの言いつけを守らないで森を走ったために、お父さんの撃った弾がかりんの左耳をかすってしまった。鼓膜が破れ、それ以来左の耳は聞こえなくなった。懐中時計もその日以来動かなくなった。
風の又三郎 ガラスのマントのネタバレあらすじ:又三郎の家
先生の言いつけを守り子供たちは又三郎と仲良くする。又三郎はいじめられがちなかりんを助けてくれた。消毒薬の匂いはきれいな匂いであることを皆に教えた。靴を返した方がよいとおたね婆さんに言われて、かりんは祖父の使いの男の靴の片方を森の中に探しに行く。その森の中でかりんはチェロの音色を聞く。小屋の中で演奏していたのは又三郎の父だった。かりんは又三郎に小屋に通される。顕微鏡や様々な本がある不思議な家だった。かりんは、彼女の左耳は普通の耳に聞こえない不思議なものを聞くことができることを話す。そして又三郎の父は壊れていた懐中時計を修理してくれた。
風の又三郎 ガラスのマントのネタバレあらすじ:ガラスのマント
又三郎たちは高原の牧場に馬を見に行くが、競争させようと馬を走らせたせいで馬たちは牧場を逃げ出す。嘉助は馬をさがして道に迷い、山の中で妖怪に怯えて大木のほこらに逃げ込む。そこで嘉助が見たのは、樹上でガラスのマントを広げて飛翔する又三郎の姿だった。嘉助が見つかった後、かりんは又三郎から、「ドードド…」という歌を習った。そして祖父の使いの男の靴の片方を又三郎から渡される。だが、かりんは、使いの男とお母さんの話を部屋の外から聞いて、お母さんがとうとう療養所に行くことを知る。靴はやっぱり捨てた。
風の又三郎 ガラスのマントの結末:嵐が吹く
又三郎が空を飛んだという嘉助の話を信じない一郎と嘉助が対立。二グループに分かれて河原で子供たちがけんかすることになり、かりんも見に行く。でも結局どろんこになって取っ組み合ううちに仲直りする。そこで子供たちは又三郎に風を起こさせようとするがなかなか風は吹かない。そこへ専売局の男が近づいてくる。てっきり、数日前にタバコの葉をむしってしまった又三郎を捕まえに来たのだと思った子供たちは、又三郎を囲んで守ろうとする。ところが、いつの間にか又三郎は木の枝に上り、風が吹き始める。風は勢いを増して嵐となった。
かりんは祖父の家で暮らし始める。雨具をつけて一郎や嘉助といっしょに小学校に行く。だが、先生によると又三郎は日曜日のうちにお父さんの会社の都合で引っ越してしまった。かりんは又三郎の家を見に行ったが小屋はもぬけの殻になっていた。村に来てから十日目、二百二十日の日、又三郎は「ドードド…」という歌を子供たちに遺していなくなった。
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