KIDS(キッズ)の紹介:2007年日本映画。心と体に傷を負った若者達が織り成すヒューマン・ドラマ。寂れた町で暮らす孤独な青年タケオは、ある日不思議な青年アサトの超能力を目撃する。物体だけではなく傷も移動させられるアサト。彼はその能力を使い、他人の傷を次々自分の体に移動させるようになっていく。原作は乙一の短編小説「傷 -KIZ/KIDS-」。
監督:荻島達也 出演者:小池徹平(アサト)、玉木宏(タケオ)、栗山千明(シホ)、泉谷しげる(神田幸助)、斉藤由貴(小野響子)ほか
映画「KIDS」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「KIDS」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「KIDS」解説
この解説記事には映画「KIDS」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
KIDS(キッズ)のネタバレあらすじ:移動させる力
舞台は現代日本のとある田舎町。特色も無く寂れた町に暮らすタケオは、不良達との喧嘩に明け暮れるなど殺伐とした日々を送っていました。いつも通っているダイナーに入るタケオ。店では常時マスクで口元を隠している女性シホが働いていました。タケオはふと、店内で見慣れない顔を見つけます。彼は先週越してきたばかりの青年アサト。タケオはアサトが塩の瓶を超能力で引き寄せた瞬間を目撃し、興味を持ちます。話しかけられたアサトは乱暴なタケオを警戒しますが、不良に絡まれているところを助けてもらい、悪い人間ではないと認識を改めます。アサトがタケオの手を取り念じると、喧嘩中に負った傷が浅くなり、その分の傷がアサトの手に現れます。アサトの超能力は物体だけでなく、傷も移動させられるのです。「傷の痛みも深さも半分ずつ。2人で割って半分だね」とアサトは微笑みました。
KIDS(キッズ)のネタバレあらすじ:それぞれの過去
その夜、タケオの家に神田幸助が訪ねて来ました。彼はタケオが以前傷害事件を起こした際に担当についた保護司で、現在はアサトを担当していると言います。アサトは小学生の頃母親小野響子が父親を刺殺した現場に遭遇し、その際響子を刺していました。響子はこの町の刑務所に入っていて、アサトは彼女に会うために越してきたのです。事情を知ったタケオはアサトと親しくなっていきました。シホも加えた3人で放置されていた公園を綺麗にし、集まる子ども達を笑顔で見守ります。その後自分の前科を気にするアサトに、タケオは身の上話を始めました。タケオには父親から虐待された過去がありました。その際に出来た大きな火傷の痕が今も肩に残っています。話を聞いたアサトは火傷の痕を勝手に自分の体に移し、更に公園で怪我をした子ども達の傷まで取るようになりました。アサトの能力を偶然知ったシホは強い関心を抱きます。
KIDS(キッズ)のネタバレあらすじ:傷の捨て場所
ある日、タケオは以前喧嘩をした不良の1人に襲撃され、怪我を負ってしまいます。そこに現れたアサトはタケオの傷を自分の体に移動させ、更に不良の体に移します。自分の傷も他人に移せると思い出したアサト。父が刺殺された日、実はアサトも響子に刺されていました。そして無意識に能力を発動させ、傷を響子に移してしまったのです。タケオはアサトを自分の父親の元へ連れて行きました。タケオの父は数年前くも膜下出血で倒れ、ずっと意識が無い状態で入院しています。今後取った傷は父親の体に捨てろと言うタケオ。アサトはためらいますが、結局タケオの意見を受け入れ度々病室を訪れては傷を移すようになります。父を憎むタケオは「ざまあみろ」と笑いました。
KIDS(キッズ)のネタバレあらすじ:裏切り
アサトは次第にシホに惹かれていきました。そんな折、タケオとアサトはシホがいつもマスクをしている理由を知ります。彼女は昔学校でいじめられ、同級生から暴力を受けた際口元に大きな傷を負ってしまったのです。数年の時を経ても尚、その醜い傷はシホの美しい顔に残っています。タケオの忠告を聞かず、シホの傷を自分の体に移したアサト。傷が消えたシホは明るさと自信を取り戻し、ある日突然町を出て行ってしまいました。複雑な思いを抱くアサトの元へ、響子から面会を求める手紙が届きます。期待と不安の中面会に向かったアサトに、響子は「生まれてこなければよかったのよ」と憎しみをぶつけます。一方、タケオは父親の病室を訪ねていました。そして父の体に傷が無いと気付き、アサトが移す振りをして全て自分で抱えていたのだと知ります。慌てて病院を出たタケオはすぐ近くの橋の上で大きな交通事故が発生したと聞き、事故現場を目指して走ります。
KIDS(キッズ)の結末:2人で割って半分
事故現場では負傷した人々が大勢苦しんでいました。その中に、ボロボロになりながら傷を自分の体に移すアサトの姿がありました。タケオの制止を聞かず次々傷を取るアサト。「もう楽になりたいよ」と言って死を望む彼に、タケオは「辛けりゃ友達に頼れ」「お前1人くらい俺が支えてやる」と叫びます。瀕死のアサトの手を握り、傷を半分寄越せと言うタケオ。必死な眼差しに応えるようにアサトは傷を移動させ、やがて2人は救助されます。手を差し伸べたのはアサトが傷を取って救った人々でした。その後入院したアサトの元へ、傷を返して欲しいとシホがやって来ます。気まずそうな彼女に、アサトは笑顔で「おかえり」と言いました。一方、同じく入院したタケオは未だ意識の戻らない父親を見舞い、屋上へ向かいます。アサトとシホも現れ、3人は町を見下ろしました。しばらくして退院したタケオとアサト。シホも元の店で働き始めました。アサトが再び響子との面会へ向かい、この映画は終わりを迎えます。
以上、映画KIDSのあらすじと結末でした。
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