金閣寺の紹介:1976年日本映画。三島由紀夫の『金閣寺』の2度目の映画化。前作(市川崑監督『炎上』)と違って低予算の映画だが、高林監督の美意識が全編に行き渡り、見応えのある佳作になっている。美術監督として有名な西岡善信が製作も担当。
監督:高林陽一 出演:篠田三郎(溝口)、市原悦子(母)、柴俊夫(鶴川)、横光勝彦(柏木)、島村佳江(有為子)、内田朝雄(老師)、加賀まり子(生け花の師匠)、水原ゆう紀(洋館の令嬢)、テレサ野田(まり子)、ダン・ケニー(アメリカ兵)、ほか
映画「金閣寺」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「金閣寺」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「金閣寺」解説
この解説記事には映画「金閣寺」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
金閣寺のネタバレあらすじ:起
年老いた父親に連れられて、溝口という少年が京都の金閣寺を訪れます。目的は住職の田山道詮和尚と会い、僧侶見習いとして寺に住み込むことでした。
父親は辺鄙な岬の寺の住職をやっていましたが、肺患が進み、もはや死も間近でした。息子の将来のために禅堂における友だった田山和尚を頼り、そこで修行させようと思ったのです。
和尚は快く父親の頼みを聞き入れ、溝口は金閣寺で寝起きする生活を始めます。彼は吃音のせいで内気でしたが、鶴川というよい友だちもできます。
金閣寺のネタバレあらすじ:承
父親はやがて死に、母親が時折溝口を訪ねてきます。父親の目を盗んで下宿人と関係していた母親に対して溝口はいい感情を持っていません。いや母親だけでなく、女性一般に対して彼は憎しみに近い気持を抱いていました。
ただ男としてその美しさに憧れるところもあり、心中は複雑でした。そして美しさといえば父親の感化もあって、金閣寺こそ溝口の心中で美の頂点に位置していました。
米軍の空襲によって金閣寺もろとも自分が焼け死ぬ事が望みでしたが、終戦によってその希望は絶たれてしまいます。
金閣寺のネタバレあらすじ:転
溝口は大学生となり、柏木という男と出会います。片足が不自由だというのに女たらしのニヒリストで、溝口は彼の導きで女性と付き合います。
ところが、いざ性交に及ぼうとすると不能になってしまいます。それはこの世のものとは思えない金閣寺の美しさのためでした。その美が肉欲を阻み、女性との結びつきを完遂させないのです。
溝口はさらに戦時中に見かけた生花の先生とも交渉を持とうとしますが、同じ理由で童貞を失うことができません。また柏木との付き合いに没頭する余り、出席日数は足りず、試験の成績も振るわなくなりました。
自分の行為を戒めてくれた鶴川も交通事故で他界してしまいます。
金閣寺の結末
田山和尚も自分に対して冷たくなり、溝口の心は鬱屈します。初めて花街に行ったり、柏木から金を借りて寺に無断で旅行に行ったりしますが気持ちは晴れません。
やがて攻撃的な思いが美の象徴である金閣寺に向けられます。夜中密かに寺の中に入り、足利義満の像に傷をつけて目玉をくり抜いた後、溝口はマッチで火をつけます。たちまち火は燃え広がり、室内は煙で充満しました。
溝口は炎に焼かれて死ぬつもりでしたが、煙に咳き込んでしまい、気を変えます。外へ逃げ出した彼は座り込み、焼け落ちる金閣寺を見ながら煙草を吸います。罪の意識はなく、その心を占めているのは過去の女性のことでした。
以上、映画「金閣寺」のあらすじと結末でした。
この映画の感想を投稿する