高原の駅よさようならの紹介:1951年日本映画。野村俊雄は、大学の先輩の池島を訪ねて高原の療養所へやってきます。そこで彼は若い看護師の泉ユキに出会います。互いに相手を好ましく思うふたりは愛し合うようになりますが、野村にはかつての恩師の娘・啓子が東京で彼の帰りを待っています。大ヒット歌謡『高原の駅よさようなら』を主題歌に、若い男女の切ない恋を描きます。
監督:伏水修 出演者:水島道太郎(野村俊雄)、香川京子(泉 ユキ)、柳 永二郎(池島良寛)、南篠秋子(伊福部啓子)、相馬千恵子(三神 梢)ほか
映画「高原の駅よさようなら」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「高原の駅よさようなら」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「高原の駅よさようなら」解説
この解説記事には映画「高原の駅よさようなら」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
高原の駅よさようならのネタバレあらすじ:起
馬車に揺られて若い男がひとり、高原の療養所を訪ねてきます。医師の池島を頼って現れたのは、大学の後輩の野村俊雄です。植物研究家の野村は、大学の恩師の娘・啓子との縁談を一時棚上げにしようと考えてここへやってきました。先輩の池島は、東京からはるばるやってきた野村に、まぁ、ゆっくりしていけよと、旅の労をねぎらいます。
療養所では、地元出身の若い看護師たちが元気に働いています。その中に泉ユキがいます。美しく可憐なユキを見た野村は、思わず笑みをたたえます。ユキもまた飾らない人柄の野村に、親近感を抱きます。ユキは滞在期間中の野村の助手となり、植物採取に向かう野村の案内役に指名されました。
ある日、高原へ出かけると豪雨です。林で雷雨に遭ったふたりは、濡れた身体を互いに抱き寄せ、求め合って唇を重ねます。
高原の駅よさようならのネタバレあらすじ:承
ユキは野村を愛しています。しかし、そのことがかえってユキを苦しめます。野村は、あと数日だけ、療養所へ留まる人です。どれほど思いを募らせても、彼はすぐにまた東京へ帰ってしまいます。真剣であればなおさら、また冷静でいようすれば、さらに心の痛みが増してきます。
ユキと出かけた植物採取の最中、高原で大ケガを負った野村は、療養のために滞在日数が伸びています。ケガを理由に帰京を延期して喜ぶ反面、ユキとの間を巡るこれからを考えて野村も困惑しています。
東京では恩師の娘・啓子が待っています。そこへユキを連れて帰れば、間違いなく波乱が生まれます。このままではユキと啓子、ふたりの心を弄ぶ結果になってしまいます。
高原の駅よさようならのネタバレあらすじ:転
野村の退院を間近に控えて、東京の啓子が野村の見舞いにやって来ます。啓子は一泊二日の予定で滞在し、野村を連れて帰るつもりです。しかし療養所の女医・三神から、野村とユキとの間に起きている真摯な恋愛が明かされます。
事実を知った啓子の心に、野村を強く愛することへの戸惑い、そしてユキへの敗北から、身を引く覚悟が芽生え始めます。
ユキも同様に、事実を知って驚きます。まさか野村に婚約者がいたとは。ユキの心が大きく揺れ動きます。そこへ医師・池島が諭しに現れます。恩師である啓子の父親が両親のない野村に物心両面の援助を惜しまなかったことを。その恩師がいま、娘と野村の結婚を誰よりも強く望んでいることを。賢明なユキには、池島の言っていることがよく理解できます。そのために途方もない罪悪感に陥ります。
高原の駅よさようならの結末
池島はまた、強い口調で野村を諭します。貴様の選ぶ道はひとつだ、恩師に感謝して恩に報いること。それ以外のことでは、一切ないと。
しかし、恋愛経験のない池島には、野村の心をどう解こうと理解できません。野村は、心豊かで自然を愛する素朴な女性こそ、自分にふさわしい相手だと決めています。
ユキは、野村から身を引くことを決め、病院を辞めて土地から離れる覚悟です。しかし、そのユキを女医・三神が諭します。目の前にある幸せを棒に振れば女は一生後悔することになる、「彼を信じて自信を持ちなさい」。その一言でユキは決心します。
男性医師・池島が突きつけた過酷な要求ではなく、三神の、女性らしい暖かな励ましで、ユキは愛されている女の誇りを思い出します。
高原の駅から野村を見送ったユキの前方を、汽車の煙が「さようなら。でもまた、すぐに迎えに帰るから」と棚引きながら告げています。
以上、映画「高原の駅よさようなら」のあらすじと結末でした。
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