こころ(別題:夏目漱石のこころ)の紹介:1955年日本映画。夏目漱石の代表作のひとつを、名匠市川崑が映画化。ストーリーは原作に忠実で、完成度の高い作品に仕上がっている。実際に京大出身のインテリである森雅之が、罪悪感に苛まれる高等遊民を好演。脚色は猪俣勝人と長谷部慶次が担当している。
監督:市川崑 出演:森雅之(野渕)、新珠三千代(野渕の妻)、安井昌二(日置)、三橋達也(梶)、鶴丸睦彦(日置の父)、北林谷栄(日置の母)、ほか
映画「こころ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「こころ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
こころの予告編 動画
映画「こころ」解説
この解説記事には映画「こころ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
こころのネタバレあらすじ:起
大学生の日置は、人気のない海岸で日光浴をしていましたが、沖に出た男を見かけ、てっきり自殺者だと思って自分も泳いでいきます。ところが助けようと近づいてみると男は日置の方に泳いできました。男は単に泳ぎの達人で、自殺というのは日置の勘違いだったのです。
これがその男、野渕と日置が知り合うきっかけでした。話をするうちに野渕が大変なインテリであることが分かり、日置は彼に心服します。そして野渕のことを「先生」と呼んで、家に度々通うようになります。
こころのネタバレあらすじ:承
野渕は学士であるにもかかわらず、仕事もせずにブラブラしている高等遊民で、奥さんと女中3人でひっそりと暮らしていました。野渕にはどこか暗い影があり、そこにも何か事情があるようです。
野渕と親しくなった日置はその事情を知ろうと直接訊いてみるのですが、野渕は答えてくれません。やがて日置は大学を卒業しますが、すぐには就職せずに一旦故郷に戻ります。その時に病床にあった父親の容態が急変。「父親が生きているうちに仕事に就くように」と母親が日置に懇願するため、彼は野渕に仕事の世話を頼むため手紙を送ります。
やがて野渕からの返信が届きますが、思った以上の分厚い手紙です。嫌な予感を覚えながら日置はその文面を読み始めます。野渕は自分の半生を細かく綴っていました。
こころのネタバレあらすじ:転
彼は十代で両親を亡くしたのですが、叔父の世話で不自由なく暮らしていました。ところが野渕に残された財産をその叔父が勝手に使っていた事を知り、人間そのものへの不信感をいだき始めます。そしてその後、ある出来事が起こり、野渕の人生観を決定的に変えてしまいます。
それは言ってみれば単純な男女の三角関係でした。野渕が暮らしていた下宿に親友の梶が越してきたのですが、彼が下宿の年頃の娘に惚れてしまいます。野渕はそれを梶から打ち明けられるのですが、実は野渕もその娘に恋愛感情を抱いていました。
野渕はどうしてもその娘と結婚したいと思い、梶に内緒でその母親と話をつけ、結婚の約束を結んでしまうのです。
こころの結末
元々人生への諦観を抱いていた梶はそれを知り、手刀を使って自殺します。それを発見したのは野渕でした。野渕は望み通りに娘と結婚します。しかし、親友を騙して自殺させてしまったという思いはずっと心の底に淀み、明るく人生をおくることが更なる梶への裏切りに感じられ、ずっと隠者のような生活を送ってきたのでした。
手紙には自殺をほのめかす一文があったため、日置は危篤状態の父を置いて、東京へ飛んで帰ります。野渕の家に着くと、案の定「忌中」の紙が貼ってあり、放心した様子の奥さんだけが日置を迎えます。
以上、映画「こころ」のあらすじと結末でした。
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