この広い空のどこかにの紹介:1954年日本映画。木下恵介の実妹である楠田芳子が書いたオリジナルシナリオを松山善三が脚色。同じ木下門下生である小林正樹が演出した作品。代表作である「人間の條件」「切腹」と違い、いかにも松竹らしいホームドラマとなっている。
監督:小林正樹 出演:佐田啓二(良一)、久我美子(ひろ子)、高峰秀子(泰子)、石濱朗(登)、浦辺粂子(しげ)
映画「この広い空のどこかに」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「この広い空のどこかに」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「この広い空のどこかに」解説
この解説記事には映画「この広い空のどこかに」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
この広い空のどこかにのネタバレあらすじ:起
森田一家は戦前から川崎で酒屋を営んでいます。若い店主の良一はまだ新婚3ヶ月。妻のひろ子と店番をしているときなど、自然に甘いムードが漂います。ただ、ひろ子も戦後派の女性なので、古風な姑のしげとは少し気が合いません。良一の弟の登はまだ大学生ですが、ひろ子の嫁としての立場に同情し、何かと肩を持ってくれます。
この広い空のどこかにのネタバレあらすじ:承
また一家には泰子という28歳の小姑もいます。泰子は戦争中に防空壕で怪我をしたために片足が不自由になり、気持ちもいじけています。気が向いた時に生花や琴のお稽古ごとに通っていますが、結婚相手はなかなか見つかりません。最近では「死んでおけばよかった」が口癖で、自暴自棄な気持ちで近くの競輪場に足を運んでは、ギャンブルでウサを晴らすことも多いのです。
この広い空のどこかにのネタバレあらすじ:転
やがて、ひろ子の幼馴染の遠藤という男が信州から仕事を探しに出てきます。彼が何度か店を訪ねてくるため、泰子は2人の仲を邪推し、しげとともにひろ子の悪口を言います。そのせいでひろ子は泣き出してしまい、遠藤とともに外へ。泰子としげの意地悪な態度に登が腹を立て、口喧嘩をしているところへ組合の相談に行っていた良一が帰ってきます。良一がひろ子を探しに行くと、彼女と遠藤は駅前のベンチに座っていました。確かに遠藤は徴兵前、ひろ子に好意を持っていたのですが、もうその恋心は消え、その幸せを願うだけになっています。そのまま田舎に帰るという遠藤を2人は見送ります。
この広い空のどこかにの結末
他人の幸せに対して妬みが募っていた泰子ですが、その生活にも転機が訪れます。森田酒屋の奉公人だった俊という男がシベリア抑留から帰ってきて、故郷の山奥から上京してきたのです。最初は自分の姿を見られまいという気持ちから会うのを拒んでいた泰子ですが、彼が帰った後に気が変わり、そのあとを追ってその故郷へ。そしてそこに住み着く気持ちになります。その生活の様子を確認するために、しげと登が出かけていきます。そして、その夜、良一とひろ子は久しぶりに夫婦水入らずで時を過ごすのです。
この映画の感想を投稿する