この首一万石の紹介:1963年日本映画。武士の娘に恋心を抱き、自らも武士になりたいと願った日雇い人足の男が、二つの藩の“伝説の名槍”を巡る抗争に巻き込まれていく悲劇を、武士社会の理不尽さを含めて描いた時代劇です。
監督:伊藤大輔 出演者:大川橋蔵(槍の権三)、江利チエミ(千鶴/ちづる(二役))、平幹二朗(御所内)、東野英治郎(凡河内典膳)、水原弘(山添志津馬)ほか
映画「この首一万石」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「この首一万石」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「この首一万石」解説
この解説記事には映画「この首一万石」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
この首一万石のネタバレあらすじ:起
大名の参勤交代行列を請け負う江戸の人入れ稼業・井筒屋の日雇い人足・権三(大川橋蔵)は浪人・凡河内典膳(東野英治郎)の一人娘・千鶴(江利チエミ)と惹かれ合っていました。しかし、貧しい長屋暮らしながらもプライドだけは高い典膳は武士以外の者には決して娘を嫁がせないと頑なに決めており、千鶴への想いを捨て切れない権三は武士になりたいと本気で願うようになりました。そんなある日、井筒屋に九州の小大名・小此木藩から国許へ戻るための人足を雇いたいとの依頼が舞い込み、槍持ちを命ぜられた権三は仲間の助十(大坂志郎)たちと共に大名行列に加わり、東海道を西へと進んでいきました。
この首一万石のネタバレあらすじ:承
千鶴への変わらぬ愛情を貫く権三は決して浮気などしないと心に固く誓い、途中の宿で仲間たちから女遊びを誘われても断り続け、小此木藩の家臣・山添志津馬(水原弘)を感心させました。旅を続ける権三は道中で足の爪が剥がれる怪我を負ってしまい、行列から離れて独り三島の宿に流れ着きました。権三は宿場で千鶴と瓜二つの女郎・ちづる(江利チエミ(二役))に惚れ込んでしまいました。すっかり舞い上がった権三は急いで本陣に合流、槍を本陣に立てて務めを終えると、ちづるのいる遊女屋へ引き返していきました。
この首一万石のネタバレあらすじ:転
小此木藩の宿泊する本陣に大大名の渡会藩の行列が到来し、本陣を明け渡すよう要求してきました。1万石の小此木藩に対して渡会藩は49万石、しかし武士の面子にかけても譲れない小此木藩は、権三が預かる槍は東照神君由来の名槍・阿茶羅丸であると嘘をついて退けようとしましたが、金に物を言わせる渡会藩の賄賂攻勢にあっさり降参し、本陣を明け渡して脇本陣へと移っていきました。ところが、渡会藩は阿茶羅丸だという槍が権三が本陣に立て掛けたまま放置されているのを発見、調べてみると何の変哲もないただの槍であることを見抜きました。小此木藩の嘘を見破った渡会藩は、事を穏便に収めたければ責任者を切腹させて誠意を示すよう要求してきました。
この首一万石の結末
恐れをなした小此木藩の重臣たちは、かねてから武士への憧れを口にしていた権三に目をつけ、身代りに仕立ててその首を差し出し逃げ切ろうと考えました。遊女屋にいた権三は武士に取り立ててやると言われて大喜び、何も知らぬまま武士の姿に整えられていきました。しかし権三が連れて行かれた先は、今にもその首を取ろうと待ち構える小此木藩の家臣たちでした。権三は仲間の人足たちが渡会藩から取り戻してきた槍を手にし、必死の形相で抵抗を試みましたが奮戦むなしく追い詰められ、そして事態収拾に出向いた代官所が銃口を向け、かばおうとしたちづるが撃たれ、権三も非情の銃弾に倒れました。翌日、大名行列は何事もなかったように東海道を進んでいました。
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