カンフーくんの紹介:2007年日本映画。「燃えよ“ちっちゃな”ドラゴン!!」「この強さハンパじゃねー!!!」のキャッチで、中国からやって来た少年が、日本を揺るがす陰謀に立ち向かう姿を驚きの映像で見せるカンフーアクション娯楽劇です。監督・VFXは『笑う大天使』(2006年)の小田一生で、第5回インドネシア国際児童映画祭観客賞(グランプリ)受賞作です。
監督:小田一生 出演:チャン・チュワン(カンフーくん)、泉ピン子(泉ちゃん)、藤本七海(レイコちゃん)、藤田ライアン(イケメンくん)、矢口真里(さゆり)、佐藤めぐみ(優香先生)、川平慈英(文部省潜入捜査課課長)、上野樹里(回転寿司の店員)、古田新太(CMタレント)、堤下敦(ボスバーガーの父)、桜塚やっくん(嵐の三匹 風神)、金剛地武志(嵐の三匹 雷神)、武田真治(嵐の三匹 龍神)、伊武雅刀(レイコのおじいちゃん)、笹野高史(黒校長)、佐田真由美(黒女教師)、西村雅彦(黒文部大臣)、ほか
映画「カンフーくん」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「カンフーくん」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
カンフーくんの予告編 動画
映画「カンフーくん」解説
この解説記事には映画「カンフーくん」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
カンフーくんのネタバレあらすじ:伝説
「はるか昔のこと、それはそれは恐ろしい姿をした魔物が、王の体を乗っ取って中国全土に大いなる災いをもたらしていたそうな。ある時、少林寺より訪れた一人の僧侶が、王の体より魔物を追い出し、その悪しき魂を封印の壺に封じ込めたのじゃった。人の心を惑わすとされたその封印の壺は、僧侶の弟子たちの手によって海を渡り、ある島国の小さな村に隠されたそうじゃ。その後、壺がどうなったか知る者は誰もいないそうな。ただ一人、あの僧侶を除いては…」
カンフーくんのネタバレあらすじ:「強くなりたい!」
中国少林寺の武術学校で、三十六房の試練が行われようとしていました。挑戦するのは、わずか7歳のカンフーくんでした。立ちはだかる大人たちをカンフーくんは軽々となぎ倒していきました。そのずば抜けた強さを知ったピン・コー師匠(泉ピン子ではない!)は、「確かに技は秀でているのかもしれん。だが…」と長い顎鬚をさすり呟きました。
その時、カンフーくんは三十五房まで勝ち抜いていました。「あと一人で制覇だ!」と有頂天になるカンフーくんの前に最後に立ちはだかったのは、なんとコー師匠でした。「一番強くなりたい」と言うカンフーくんに、コー師匠は「お前は本当の強さが分かっていないようじゃ」と言うと、カンフーくんに怒涛の突きを繰り出しました。カンフーくんも負けじと応戦しますが、指一本で動きを封じられてしまいました。「そなたの相手はわしではない!」とコー師匠は言うと、カンフーくんの右腕に「封印の鈴」をつけました。「そなたの最後の相手はこの国にあらず!ハッー!」コー師匠はカンフーくんに秘奥義・気功波を放ちました。空の彼方へとカンフーくんは吹き飛ばされました。
カンフーくんは流星のように空を飛んでいました。「カンフーよ。最後の相手はサムライの国・日本にいる!そなたが相手に近づいたとき、腕につけた鈴がなるはずじゃ。間違った相手に拳を使うと、きついお仕置きを待っておるぞ。…本当の強さは決して簡単に手に入るものではない。自分の力を信じて見つけるのじゃ!!」という師匠の声が聞こえてきました。あっという間に、カンフーくんは日本上空に到着しました。
カンフーくんのネタバレあらすじ:「戦う相手はどこ!?」
日本上空でカンフーくんは強烈な空腹に襲われ、突然、落下していきました。そこに待っていたのは、東京の下町で中華料理店「ニュー幸楽」(『渡る世間は鬼ばかり』とは全く無関係!)を切り盛りする泉ちゃんでした。太極拳の達人である泉ちゃんは、空から降ってきたカンフーくんを見事に受け止めました。そして、お腹がすいて満足に動けないカンフーくんを家に連れ帰り、面倒を見ることにしました。
日本で知り合いなどいないカンフーくんは、泉ちゃんの家でお世話になることになりました。孫娘で小学6年生のレイコちゃんの弟として、くりくり頭の可愛いカンフーくんは瞬く間に人気者になりました。カンフーくんは、レイコちゃんの友達に得意のカンフーを教えるようになりました。
次第に日本の生活にも慣れてきたカンフーくんですが、「一番強くなりたい」という夢は忘れていません。「ぼくの戦う相手はどこ!?」とカンフーくんは「封印の鈴」の音を頼りに最後の相手を探しますが、なかなか見つかりませんでした。そんな頃、ガキ大将のボスバーガーが父親を連れて仕返しにやって来ました。「お前が最後の相手か!?」カンフーくんは父親をカンフーでやっつけようとしました。その時、泉ちゃんが間に入りました。泉ちゃんはカンフーくんのくりくり頭をはたきました。「悪いのはアイツじゃないか!」カンフーくんは納得いきませんでした。
その夜、一人悩むカンフーくんに泉ちゃんは語りかけました。それは泉ちゃんの夫、つまりレイコのおじいちゃんの話でした。レイコのおじいちゃんはカンフーの達人であるがゆえに、むやみやたらに手をだしたりしませんでした。どんな悪者でも、力づくで解決するのは間違いだと考えていたのでした。しかし、レイコの父はそれに我慢ができず、力で解決しようとして、逆に愛する妻・レイコの母を亡くすという悲劇を招いてしまったのでした。悲劇はこれで終わりませんでした。生来真面目で優しかったレイコの父は、すっかり変わり、ある夜、先祖代々封印さえていた壺を開けてしまったのでした。その夜以来、レイコの父は行方不明となっていました。
泉ちゃんは静かに優しく語りました。「何かを守るために戦う。それが生きるということだよ。戦う必要があるのか、なぜ自分が戦うのか、その意味をよく考えて。それが本当の強さだよ」とカンフーくんに諭しました。
カンフーくんのネタバレあらすじ:黒文部の野望
その頃、日本ではブラックゲーム社という企業が、その力を強大化しつつありました。表向きはゲーム会社のこの会社は、またの名を「黒文部省」と名乗っていました。総帥・黒文部大臣(くろもんべひろおみ)は、独自のゲーム機で日本中をゆとり教育漬けにし、残り一部のエリート層たちによる日本国の支配を目論んでしました。まず黒文部はレイコの学校を標的にすえ、側近の黒女教師を送り込みました。既に黒校長が送り込まれていた学校は、黒女教師の指導で次第に黒文部省の色に染まっていきました。更に黒文部はテレビCMを流し、その力を加速させようとしました。
そんなある日、カンフーくんの「封印の鈴」が鳴りました。それはブラックゲーム社のCMが原因でした。「お前が最後の相手か!見つけた!」カンフーくんはTV画面に向かって叫びました。カンフーくんはその日以来、TVの前にかじりつきました。カンフーくんのおかしな様子やゲームにばかり興じる子供たちの様子に、レイコや泉ちゃんは異変を感じ始めます。冷静なレイコはついに目をつけられ、校長室に呼び出されました。
そこで待っていたのは、黒文部でした。「我が娘・レイコよ」黒文部の言葉にレイコは驚きました。なんと黒文部は行方不明になっていたレイコの父でした。「お前の母親はこの社会に殺されたのだ。だからこそ、私は自らの手でこの国を変える。私と共に勝ち組になるのだ」と語る父の目には、社会への復讐と怒りの念に満ちていました。
学校の異変には、イケメンくんや通訳くんたちも違和感を募らせていました。そして、意外な人物が正体を明かします。それはギャル系のさゆりっぺでした。実は彼女・川崎さゆりは25歳の文部省潜入捜査官で、黒文部省の野望を阻止するために送られていたのでした。「おとなしくお縄を頂戴しなさい!」かっこよく啖呵を切ったさゆりっぺでしたが、多勢に無勢でアッという間に逆に捕らえられてしまいました。
異変を察知したカンフーくんは学校へと急ぎました。カンフーくんはまず、捕らえられたさゆりっぺたちを助け出しました。次にカンフーくんはレイコの姿を追いました。レイコは黒文部によって連れ去られようとしていました。追うカンフーくんの前に、空から謎の男が現れました。それは黒文部省・嵐の三匹の龍神でした。大きな三角定規を自在に操り、龍神は立ちはだかりました。その時、麺棒が飛んできました。泉ちゃんでした。「これが父ちゃんが愛した麺棒さ!あんたの相手は私だよ!」と泉ちゃんは、龍神に戦いを挑みました。泉ちゃんはカンフーくんにレイコの事を託し、激闘の末、龍神を打ち倒しました。
カンフーくんのネタバレあらすじ:本当の強さ
黒文部省のアジト・ブラックゲーム社に乗り込んだカンフーくんを待っていたのは、嵐の三匹の風神と雷神でした。二人は怒涛の攻撃を仕掛けますが、カンフーくんの敵ではありませんでした。カンフーくんの圧倒的な強さの前に、二人はあっけなく倒れます。「あの坊や、なかなかやりますね」黒文部は呟き、レイコを連れて屋上へと向かいました。
カンフーくんはレイコを助け出すため、黒文部の前に立ちはだかりました。「封印の鈴」を見た黒文部は、カンフーくんに少林寺三十六房の免許皆伝の試練のために来たのかと尋ねました。カンフーくんは「そんなんじゃない!」と否定しました。その時、さゆりっぺやイケメンくんたちが駆けつけました。自分を助けるために駆けつけてくれた友達の姿を見て、レイコは喜びました。そんなイケメンくんたちの前に黒文部省の手練れが現れました。イケメンくんたちは、学んだカンフーを駆使して手練れたちを倒していきました。そして、さゆりっぺは側近・黒女教師に戦いを挑みました。激闘の末、さゆりっぺは勝利します。
カンフーくんはついに最後の相手・黒文部と対峙しました。果敢に挑むカンフーくんでしたが、黒文部の力は強大でした。「坊やの拳は勝つことしか知りませんね。ただのやんちゃなお遊びです」とほくそ笑む黒文部の前に、カンフーくんは倒れました。「負けちゃった…」と号泣するカンフーくんのもとに、イケメンくんたちが駆けつけました。イケメンくんたちは敵わないと思いながらも、レイコを助けるために黒文部に立ち向かいました。そんな友たちの勇敢な姿を見て、カンフーくんはコー師匠や泉ちゃんの言葉を思い出します。
「ただ強いだけじゃ、ダメなんだ!ぼくはみんなのために戦うんだ!」本当の強さを知り、カンフーくんは立ち上がりました。すると「封印の鈴」が眩い光が放ちました。カンフーくんの体は光に包まれ、みるみる新たな生気がカンフーくんにみなぎってきました。カンフーくんは再び、黒文部に戦いを挑みました。二人は死闘を繰り広げます。次第に鬼の形相に変わっていく黒文部に、カンフーくんは奥義「少林★稲妻クロウ」を繰り出します。カンフーくんの拳の前に、黒文部は倒れます。
しかし、まだ戦いは終わっていませんでした。なんと黒文部の体から怪しい妖気が抜け出ると、それは巨大な魔物へと変わりました。「もう終わりだ!」荒ぶる魔物から娘・レイコを守るため、黒文部は身を挺しました。その時、泉ちゃんが封印の壺を持って駆けつけました。「いくよ!カンフー!」二人は力を合わせ、強烈な気功波を魔物に放ちました。魔物の姿は崩壊し、壺の中へと吸い込まれました。カンフーくんの活躍で再び、悪しき魂は封印されました。
カンフーくんの結末:再見!カンフーくん!
黒文部省の野望は潰えました。駆けつけた文部省潜入捜査課課長によって連行される父の後ろ姿に、レイコは戸惑います。そんなレイコの背中をカンフーくんは力強く押しました。黒文部はレイコにペンダントを差し出しました。それには幼い頃のレイコや亡き母の写真が入っていました。父がずっと家族のことを愛してくれていた事を悟り、レイコの心は氷解しました。泣きながら父と娘は抱き合いました。その姿に泉ちゃんも涙を止められませんでした。
「よくやった。勇気と友情を己の力として、よくぞ最後まで戦い抜いた」カンフーくんが中国へ帰る別れの時がきました。「ありがとう。みんなに会えてよかった。再見(サイチェン)」封印の壺を抱え、カンフーくんはレイコたちに別れを告げ、美しい星空へと飛んでいきました。
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