絹代の初戀の紹介:1940年日本映画。松竹の大幹部、田中絹代が主演した小品です。撮影時の田中絹代は31歳。『初戀』を謳う年齢には些か無理がありますが、しかしその年齢がこの映画の隠し味になっています。東京の下町でせんべい屋を営む絹代は、幼なじみのおのぶと連れ立って芝居見物に出かけますが、あいにく当日券が売り切れです。そこへ見知らぬ男が2枚のチケットを差し出します。「よかったら、どうぞ」。男はそう言って去って行きました。「いい男ね」と囁くおのぶの脇で、絹代の恋はすでにはじまっています。はたして絹代の恋のゆくえは、というのがこの映画の見所です。
監督: 野村浩将 出演者:田中絹代(絹代)、河村黎吉(父 六達)、河野 敏子 (妹 光代)、 佐分利 信 (桐山昌一郎)、三枡豊(桐山誠之助)、葛城文子(妻)、 水戸光子(おのぶ)、吉川満子(おのぶの母)、坪内 美子 (房江)ほか