美しき運命の傷痕の紹介:2005年フランス,イタリア,ベルギー,日本映画。悲劇の事故から父を失いトラウマを抱え続ける三姉妹の心の葛藤を静かに描き出した人間ドラマ。ポーランドの巨匠クシシュトフ・キエシロフスキ監督の遺稿を「ノー・マンズ・ランド」のダニス・タノヴィッチ監督が映画化した作品です。
監督:ダニス・タノヴィッチ 出演:エマニュエル・ベアール(ソフィ)、カリン・ヴィアール(セリーヌ)、マリー・ジラン(アンヌ)、キャロル・ブーケ(母)、ジャック・ペラン(フレデリック)、ジャック・ガンブラン(ピエール)、ジャン・ロシュフォール(ルイ)、ミキ・マノイロヴィッチ(父)、ほか
映画「美しき運命の傷痕」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「美しき運命の傷痕」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
美しき運命の傷痕の予告編 動画
映画「美しき運命の傷痕」解説
この解説記事には映画「美しき運命の傷痕」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
美しき運命の傷痕のネタバレあらすじ:起
中年女性のセリーヌが年老いた母を車椅子に乗せて病院のまわりを散歩をしています。水辺のほとりで休憩するとセリーヌは母が食べやすいようにミルクチョコレートを砕いてあげます。セリーヌは持参したギネスブックを読み上げ始め、言葉を発することのできない母は静かにパズルを始めます。セリーヌにはソフィという姉とアンヌという妹がいますが、二人とは疎遠で連絡を取り合うことはほとんどありません。ソフィはカメラマンの夫ピエールの浮気を疑っていて、夫婦の生活は破綻しかけています。一方アンヌは友人の父であり大学教授のフレデリックと不倫していますが、別れを言い渡されてしまいます。嫉妬に狂うソフィは夫を尾行し始め、愛に飢えるアンヌはフレデリックに執拗に付きまとい始めます。セリーヌもまた独り身で、不眠症に悩まされる孤独な日々を過ごしているのでした。
美しき運命の傷痕のネタバレあらすじ:承
ある日道を歩いていたセリーヌは一人の青年に話しかけられます。青年の名はセバスチャン、彼はソフィやアンヌからセリーヌの住む場所を聞き出し訪ねてきたのですが、セリーヌは素性の分からぬ青年を警戒します。あくる日セリーヌがカフェに入ると、そこには彼女を待っていたかのようにセバスチャンが座っていました。セバスチャンはセリーヌのために詩を朗読します。セリーヌは突然話しかけられて困惑したことを打ち明け非礼を詫びますが、セバスチャンが自分の名前を知っていたことに再び困惑してしまいます。セリーヌから何故自分の名前を知っているのかと尋ねられたセバスチャンは名を名乗ることもなく慌てて去っていくのでした。フレデリックの子を身籠っているアンヌは彼の自宅まで押しかけていき、既婚者との恋愛に悩んでいることをフレデリックの娘である友人や妻に告白します。やがて帰宅したフレデリックはアンヌの予期せぬ来訪に激しく動揺しますが、アンヌはそんな彼をなじるように見つめ、家を後にします。ピエールは愛人のジュリーから別れ話を切り出されます。ソフィに二人の不倫がバレたことが原因でした。ソフィは夫を深く愛しているものの、ピエールの浮気を許すことはできませんでした。大喧嘩の末ソフィに家を出ていくよう告げられたピエールは妻と離婚することをジュリーに伝えますが、彼女にはヨリを戻す気はありません。そして子供がいることを隠していたピエールに自分しか愛せない身勝手な男だと痛烈な一言を浴びせるのでした。
美しき運命の傷痕のネタバレあらすじ:転
セリーヌは再びセバスチャンと再会します。少しずつセバスチャンに好意を寄せていくセリーヌでしたが、セバスチャンはある告白をするためセリーヌに会いにきたのでした。それはセリーヌにとって悲しい過去を呼び起こさせていきます。セバスチャンは教師をしていたセリーヌの父の生徒でした。かねてから父に好意を寄せていたセバスチャンはある日研究室で父に愛を告白し、裸になって迫り始めます。父は興奮するセバスチャンを落ち着かせようとしていましたが、その光景を研究室を訪ねてきたセリーヌと母が運悪く目撃してしまったのでした。母は父が生徒の少年にわいせつな行為をしたと思い込み、セリーヌを連れて帰ります。そして弁解しようとする父を拒絶し、家から締め出してしまうのでした。娘達とも会わせてもらえないことを悲観した父は、家の窓から身を投げて自殺してしまうのでした。セバスチャンは父を死に追いやる原因を作り、セリーヌ達家族を苦しめたことにずっと胸を痛めていました。セバスチャンから謝罪されたセリーヌは彼を責めることもできず、複雑な思いを抱えたまま帰っていくのでした。
美しき運命の傷痕の結末
診察のため産婦人科にやってきたアンヌは新聞でフレデリックが事故死したことを知ります。悲しみを抱えたままフレデリックの家を訪ねたアンヌでしたが、友人はアンヌと父が不倫していたことに気づいてしまいます。アンヌは友人からもう二度と家に来ないで欲しいと告げられるのでした。ソフィのもとを訪ねたセリーヌは話したいことがあるのでアンヌも呼び寄せてほしいと頼みます。そして久しぶりに三姉妹揃って母の病院を訪ねます。母は見舞いに来てくれた娘たちを歓迎し、愛を感じると紙に書き綴ります。セリーヌはセバスチャンが一方的に父に好意を寄せていたことを話し始め、父は潔白だったのだと母に強く訴えかけます。しかし母はそれでも自分のしたことを後悔などしていないと綴ります。頑なに心を閉ざした母にはどんな言葉も響かないことを悟ったセリーヌはそれ以上何も話すことができなくなってしまうのでした。
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