殺人カメラの紹介:1948年イタリア映画。被写体を殺す秘術を得た写真屋が、欲深い悪人を次々消していくコメディ作品。アマルフィ海岸の小さな漁村で写真屋を営むチェレスチノは、気のいい人物で人間の善性を信じている。守護神聖アンドレアの祝日の夜、写真屋に1人の老人が泊めて欲しいとやって来た。快く応じると、老人は既にある写真をカメラで撮影することで、写真の人物を殺すことが出来る秘術をチェレスチノに与える。チェレスチノは老人を聖アンドレアだと考え、善のために悪人と戦う決意をした。目に余る悪人達を次々殺していくが、世の中は一向に良くならない。それどころか殺すべき悪人は増すばかりで、チェレスチノは頭を抱えるのだった。
監督:ロベルト・ロッセリーニ 出演者:ジェンナロ・ピサノ(チェレスチノ)、マリリン・バッファード(アメリカ人の女の子)、ウィリアム・タッブス(アメリカ人の女の子の父親)、ヘレン・タッブス(アメリカ人の女の子の母親)、ジョヴァンニ・アマート(町長)ほか
映画「殺人カメラ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「殺人カメラ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
殺人カメラの予告編 動画
映画「殺人カメラ」解説
この解説記事には映画「殺人カメラ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
殺人カメラのネタバレあらすじ:殺人の秘術
舞台は第二次世界大戦後のイタリア、アマルフィ海岸の小さな漁村。町は守護神聖アンドレアの祝日に沸き立っていました。写真屋を営むチェレスチノは、早速カメラを手に撮影に出かけます。しかし威張り屋の警官アゴスチノの命令で、理不尽に追い払われてしまいました。
その夜、写真屋に1人の老人が訪ねて来ます。旅館がいっぱいなので一晩泊めて欲しいと言う彼を、チェレスチノは快く招き入れました。町の悪い状況を憂うチェレスチノは、この町は聖アンドレアに忘れられているのだと口にします。すると老人は、人間は悪人ばかりなので善人が悪人を殺すべきだと言い出しました。
そこへ慌てた様子で青年がやって来ます。ロメオという名のその青年は、父の商売敵の娘ジュリエッタに恋をしていました。両家に反対されている2人の関係をチェレスチノはこっそり取り持っています。ロメオとジュリエッタは互いの手を取り駆け落ちしました。
老人は昼間チェレスチノがアゴスチノに追い払われたことを持ち出し、彼に仕置をしようと言い出します。アゴスチノの写真を求められたチェレスチノは、制服姿で挙手をしている写真を取り出しました。老人は写真を壁に貼ると、それをカメラで撮影しろと指示します。チェレスチノが不思議に思いながら実行すると、途端に外が騒がしくなりました。
アゴスチノが写真とそっくり同じ格好で亡くなったのです。騒動を確認したチェレスチノが写真屋に帰って来ると、老人の姿はありませんでした。チェレスチノは「あの老人は聖アンドレアだ」と呟き、与えられた恐るべき死の秘術に狼狽えます。
殺人カメラのネタバレあらすじ:補助金を巡って
翌日。町に思わぬ朗報が届きました。請願が受理され、政府から多額の特別補助金が町に出ることになったのです。町は大いに盛り上がり、その使い道について色々な思惑が飛び交いました。チェレスチノは秘術について誰かに相談しようとしますが、皆補助金のことで頭がいっぱいです。
チェレスチノは町役場を訪ね、町長や有力者達の会議をこっそり聞いていました。補助金の使い道について様々な意見が飛び交いますが、各々が自分の利益を最優先にしているため会議は紛糾しています。
一方、低所得層も使い道の決定権は自分達にあると息巻いていました。あまりにも自分勝手な人々にチェレスチノは呆れ返ります。写真屋に帰ると、業突張りな高利貸しアマリアの使いが来ていました。何でもアマリアは補助金で亡き夫の記念碑を建てるつもりらしく、その参考にするために写真を等身大に引き伸ばして欲しいと言うのです。
町中の人がアマリアに金を借りているため、彼女に逆らえる人間は多くありません。チェレスチノが憤慨していると、外が騒がしくなりました。ロメオとジュリエッタが捕まり、双方実家に連れ戻されたようです。
その夜、チェレスチノは預かった写真を壁に貼り、カメラで撮影することにしました。アマリアを殺すつもりはないので、彼女が写っている部分に覆いを被せます。とろこが覆いに穴が空いていたため、アマリアは精神運動麻痺で寝込んでしまいました。
殺人カメラのネタバレあらすじ:度の過ぎる正義
チェレスチノが慌ててアマリアの屋敷に駆けつけると、遺産を狙う親族が集まっています。そしてロメオの父ククルロと、ジュリエッタの父デベコが借金の手形を盗み出そうとしていました。戸棚を漁った2人はアマリアの遺書を発見します。そこには自分の全財産を、町で1番貧しい3人に与えると書かれていました。
ドアの陰から盗み聞きしていたチェレスチノは、何と高潔な意思かと感激しますが、ククルロとデベコはとんでもないと腹を立てます。そしてそのまま遺書を握り潰すことにしました。遺書を持ち去ろうとするククルロをチェレスチノは追いかけますが、殴られて昏倒してしまいます。
チェレスチノはククルロを悪人と判断し、カメラで撮影して殺してしまいました。ククルロの死を知ったデベコは、急いでアマリアの遺書を持ち去ります。チェレスチノは彼のことも追いかけ、遺書を元の場所に戻すよう訴えました。しかしデベコも聞き入れなかったため、チェレスチノは仕方なくカメラを頼ります。
遺書を入手したチェレスチノは、町長に渡しアマリアの意思を尊重して欲しいと言いました。しかし町長も握り潰そうとしたため、チェレスチノは遺書を奪い返してアマリアの屋敷に走ります。彼は悪人と戦ってこそ天国に行けると信じ込み、自身の正義感に取り付かれていました。
殺人カメラのネタバレあらすじ:罰すべき人々
チェレスチノは病床のアマリアに遺書を持って行きます。しかし彼女は自分の金は誰にもやらない、墓に持って行くと騒ぎ始めました。失望したチェレスチノは遺書を戸棚に戻し、写真屋に帰ってアマリアを殺します。その後医師が休憩がてら写真屋に立ち寄りました。最近死者が多いため、彼と司祭は大忙しです。
そこへアマリアの遺産を相続することになった貧乏人3人が喜々としてやって来ました。彼らは各々浮かれたポーズで記念撮影し、思わぬ幸福を喜びます。町には平らな土地が少ないため、死者は伝統的に岩山に一旦置かれた後、墓所となる城に運び込まれていました。しかし町長がホテル建設を計画するアメリカ人に城を売ってしまいます。
城に入れなくなった住人達は、町長が墓所を売ったと憤慨して騒ぎ立てました。チェレスチノは町長を悪人だと判断し、彼の命も奪います。皆のためと信じ、次々悪人を罰していくチェレスチノ。しかし世の中は一向に良くなりません。愛し合っていたロメオとジュリエッタは、互いの父のあとを継いでからすっかり険悪になってしまいました。
アマリアの遺産を相続した3人も決して善人ではなく、むしろアマリアから金を盗んでいた悪人です。それを知ったチェレスチノはすぐに相続人の3人をカメラで殺しました。3人が記念写真と全く同じポーズで死んでいると気付いた医師は、慌てて写真屋へやって来ます。止めようとする医師と揉み合いになったチェレスチノは、うっかり彼を撲殺してしまいました。
殺人カメラのネタバレあらすじ:老人の奇跡
チェレスチノは自分も悪人になってしまったと絶望し、自分で自分を罰しようと決意します。しかしその前に、こんな恐ろしい秘術を授けたあの老人を殺さなければと考えました。実行に移そうとした途端、老人が突然チェレスチノの前に現れます。
チェレスチノが構わず写真を撮ると、老人の正体が明らかになりました。彼は聖アンドレアなどではなく、高齢の悪魔だったのです。下っ端悪魔の彼は功績がなければ地上に戻れないため、このカメラを発明しました。地獄にも能力査定があるそうです。
神はお人好しですぐに罪を許してしまうと聞かされ、チェレスチノは呆気にとられました。チェレスチノは悪魔に、これまで自分が殺してしまった人を生き返らせることは可能かと尋ねます。悪魔は出来ると答えましたが、地獄に帰ってからが面倒だと嫌がりました。
チェレスチノはここに残れば良いと提案し、悪魔に十字の切り方を教えます。すると悪魔の姿は聖アンドレアそっくりに変わりました。外からククルロ達の声が聞こえます。皆元通りになったことでチェレスチノは大喜びし、この映画は終わりを迎えます。
以上、映画「殺人カメラ」のあらすじと結末でした。
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