ふくろうの叫びの紹介:1987年イタリア, フランス映画。パトリシア・ハイスミスの同名小説を映画化。男女の愛と嫉妬が交錯し、悲劇へと誘うサスペンス作品。冷酷な妻ヴェロニクが原因で精神を病んだロベールの癒しは、郊外の屋敷に住むジュリエットを覗き見ることだった。彼女は婚約者パトリックと仲睦まじい様子で、ロベールは幸せな光景に慰められる。そんなある日、姿を見せたロベールにジュリエットは急速に惹かれていった。パトリックよりもロベールを愛するようになった彼女は、婚約を解消してしまう。嫉妬に狂ったパトリックは夜道でロベールに襲いかかり、そのまま行方不明になった。周囲の人々はロベールが殺害したのではないかと疑うが、実は裏でヴェロニクが糸を引いていたのだった。別題は「ふくろうの叫び/偏愛殺人」。
監督:クロード・シャブロル 出演者:ヴィルジニー・テヴネ(ヴェロニク)、クリストフ・マラヴォワ(ロベール)、マチルダ・メイ(ジュリエット)、ジャック・プノー(パトリック)、ジャン=ピエール・カルフォン(警視)ほか
映画「ふくろうの叫び」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ふくろうの叫び」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「ふくろうの叫び」解説
この解説記事には映画「ふくろうの叫び」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ふくろうの叫びのネタバレあらすじ:覗き見生活
舞台は1980年代のフランス、ヴィシー。孤独な男ロベールは、離婚調停中の妻ヴェロニクのことで頭を悩ませていました。冷酷なヴェロニクによって心を傷つけられたロベールは、精神的に不安定になってしまいます。
ヴェロニクから逃げるようにパリを離れ、ヴィシーに引っ越したロベールの慰めは、郊外の家に1人で住むジュリエットの生活を覗き見ることでした。若く美しい彼女は、定期的に訪れる婚約者パトリックと仲睦まじい様子です。幸せそうなジュリエットの生活を覗き見ると、ロベールの心には安らぎが訪れました。
そんなある日、ロベールはジュリエットの前に姿を現し、覗いていたことを告白します。話を聞いたジュリエットは、警戒しながらもロベールを家の中に招きました。色々と語り合ってみると、ジュリエットが本当は結婚に不安を抱いていることが明らかになります。彼女はパトリックよりも、運命的な出会いを果たしたロベールに急速に惹かれていきました。
ふくろうの叫びのネタバレあらすじ:パトリックの嫉妬
翌日から、ジュリエットは積極的にロベールにアプローチを仕掛けます。パトリックに別れを告げたと言い出すジュリエットに、ロベールは戸惑いを隠せませんでした。ジュリエットの家にやって来たパトリックは、嫉妬を剥き出しにしてロベールに詰め寄ります。
ロベールは二度とジュリエットに会わないと約束しますが、ジュリエットにその気はありませんでした。愛を告げるジュリエットに、自分とでは幸せになれないと突き放すロベール。それでもジュリエットの愛は冷めません。パトリックはヴェロニクに連絡を取り、ロベールとジュリエットの関係を教えます。
面白がったヴェロニクは、パトリックにあることないこと吹き込みました。パトリックがジュリエットを取り戻そうとすればするほど、彼女の心は離れていきます。苛立ったパトリックは、夜レストランに向かうロベールの車を無理やり停止させました。そして猛然と襲い掛かり、取っ組み合いの喧嘩になります。
ロベールは川に突っ伏したパトリックを岸に引き上げ、ジュリエットに会いに行きました。流血しているロベールにジュリエットは仰天します。事情を説明したロベールは、仕事が一段落したらパリに戻ると話しました。一緒に行くというジュリエットをやんわり断ります。ところがその夜以降、パトリックは行方不明になってしまいました。
ふくろうの叫びのネタバレあらすじ:ジュリエットの死
ロベールは面倒なことになる前にと、パトリックとの諍いを警察に説明します。しかし警察も周囲の人間も、ロベールが恋仇であるパトリックを殺害し、どこかに遺体を隠したと疑っていました。事件を担当する警視もヴェロニクに連絡を取り、悪意ある情報を掴まされます。
周囲から疑いの目で見られるロベールは、ヴェロニクがパトリックを匿っているのではないかと考えました。彼女に直接問いただしてみましたが、正直に教える女ではありません。事実、パトリックはヴェロニクの援助を受けながら、パリのホテルに身を潜めていました。
ヴェロニクの愛人マルチェロは、2人の行動に憤りを覚えます。マルチェロは密かにパトリックの潜伏先をロベールに教えました。喜んだロベールは早速警察に通報しますが、まともに取り合って貰えません。ロベールと距離を置いたジュリエットもまた、彼の犯行を疑っている1人でした。
ジュリエットはロベールへの愛と疑いに押し潰され、ついに自ら命を絶ってしまいます。ロベールはパトリックを殺害し、ジュリエットを自殺に追い込んだ人物として、更に厳しい目で見られるようになりました。
ふくろうの叫びのネタバレあらすじ:向けられた悪意
夜。自宅にいたロベールは、突然何者かに外から銃撃されます。幸い怪我はありませんでしたが、警察にパトリックの仕業だと訴えても受け入れて貰えませんでした。しかも川からパトリックと思われる遺体が発見され、ますます疑われてしまいます。
次の夜も狙われたロベールは、今度は腕を負傷しました。治療を担当した医師は、危険だからとロベールを自宅に連れていきます。ところが深夜、医師宅までも襲われました。被弾した医師が瀕死の重傷を負ってしまいます。警察署に連行されたロベールは、心身ともに疲弊していました。
警視は川から発見された遺体がパトリックではなかったと説明しつつも、ロベールの疑いは晴れていないと言います。しかしその直後、事態は思わぬ展開を迎えました。パトリックが姿を現し、警察に捕まったのです。
ロベールを帰宅させた警視は、パトリックの尋問を始めました。パトリックはロベールを追い詰めるため死んだように見せかけたこと、ヴェロニクの援助を受けていたこと、彼女と肉体関係を結んだことまで全て告白します。警視は撃たれた医師が死亡した場合、パトリックは殺人罪に問われるだろうと言いました。
ふくろうの叫びの結末:誘惑
パトリックは父親に泣きつき、すぐに保釈して貰います。ヴェロニクを頼りましたが、彼女はパトリックが全て告白したことでマルチェロに捨てられており、とても怒っていました。ヴェロニクは一緒にヴィシーへ行ってロベールに会い、全ての決着をつけようと笑います。
ヴェロニクとパトリックは、引越準備をしているロベールの自宅に押しかけ大暴れしました。するとそこへ、医師の死を伝える電話がかかって来ます。殺人罪に問われると絶望したパトリックは、ナイフを手に崩れ落ちました。そのナイフを奪おうとしたヴェロニクは誤って首を切ってしまいます。
ロベールが慌てて止血しますが、ヴェロニクはそのまま死亡しました。倒れたままのパトリックの胸に耳を当ててみると、どうやら彼も絶命したようです。ロベールは血まみれの手で友人に電話し、医師を呼んで貰いました。ロベールは強烈な誘惑に駆られ、落ちたナイフに手を伸ばします。彼の手がナイフに触れる直前、この映画は終わりを迎えます。
以上、映画「ふくろうの叫び」のあらすじと結末でした。
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