神々の山嶺の紹介:2021年フランス, ルクセンブルク映画。カメラマンの深町誠は、ネパールで消息不明となっていた登山家羽生丈二を見かけます。羽生はかつてエベレストに挑戦し行方不明となった登山家マロリーのカメラらしきものを所持していました。マロニーが世界で初めてエベレスト登頂に成功したかどうかはいまだ解明されておらず、カメラはその手掛かりとなるため、深町は羽生の行方を捜しました。羽生は若い頃から将来を嘱望された登山家でしたが、山に対するストイックな性格から周りから孤立し、さらに仲間の死もあり、やがて姿を消したのでした。羽生を取材するうちに次第に羽生に惹かれて行った深町は、羽生を探し出し、羽生が目指す世界で初めての冬季エベレスト南西壁無酸素単独登頂に同行することになりました。
監督:パトリック・インバート 原作:夢枕獏、谷口ジロー 声優:深町誠(堀内賢雄)、羽生丈二(大塚明夫)、岸文太郎(逢坂良太)、岸涼子(今井麻美)、ほか
映画「神々の山嶺」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「神々の山嶺」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「神々の山嶺」解説
この解説記事には映画「神々の山嶺」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
神々の山嶺のネタバレあらすじ:起
カメラマンの深町誠は、日本の登山隊に同行しエベレスト南西壁に来ていました。目的は雑誌の取材で登山隊の様子を撮影するためでしたが、予定より遅れたためエベレスト登頂は途中で断念されました。
酒場で日本に電話しているところにネパール人が深町のもとにやってきて、登山家マロリーのカメラとされるものを売りに来ますが、電話に気を取られていた深町はネパール人を追い払ってしまいます。店を出たとき、深町はそのネパール人から男がカメラを奪い取った現場を目撃します。
会話から元々そのカメラはその男の物だったことがわかりましたが、深町はその男が消息不明となっていた登山家羽生丈二だと気付き驚きました。マロニーは1926年にエベレスト登頂に挑戦したまま行方不明となっていました。
公式のエベレスト初登頂が1953年となっていたので、もし、マロニーが成功していれば、初登頂の歴史が変わります。マロニーの登頂を証明するものとして、マロニーが登頂時に持って行ったカメラがあり、もし、羽生が持っているカメラが本当にマロニーのカメラならば、大スクープとなります。
それ以来深町は羽生の行方を捜すこととなりました。羽生は若いころから将来を嘱望された登山家でした。パートナーと一緒に谷川岳の難関コースである冬の鬼スラを登り有名となりますが、一方で羽生の山に対するストイックな姿勢から周りから浮くようになっていきました。
そんな羽生に長谷恒夫という登山家が声をかけてきますが、長谷も羽生同様に将来有望な登山家として名前が知られるようになっていました。長谷は羽生から鬼スラのことを色々聞きますが、のちに長谷は、冬の鬼スラの単独登頂を初めて成功させるなど、羽生のライバル的存在になっていきます。
神々の山嶺のネタバレあらすじ:承
羽生は次第に孤立していきますが、羽生に憧れる駆け出しの登山家である岸文太郎に懇願され、文太郎をパートナーに穂高岳屏風岩を登ることになりました。しかし、その途中で不注意から文太郎が崖から滑落してしまいます。腰につけたザイルのため崖下までの落下は免れたものの、宙づりの状態になり身動きすることができません。
羽生はザイルを手繰って文太郎を引き上げようとしますが、ザイルと岩がこすれ切れそうになったため、それ以上動かすことが出来なくなりました。どうすることもできないまま夕方となり、羽生は文太郎を励まし続けますが、文太郎は自らザイルを切断し落下してしまいました。
文太郎は死亡し、羽生はそれ以来文太郎の姉である涼子にお金を送り続けていましたが、3年前のネパールからの手紙を最後にそれも途絶えていました。羽生はそれからも登山家として山を登り続け、当時の登山家にとって最大のチャレンジであるアルプスの3つの北壁、アイガー、マッターホルン、グランド・ジョラスに挑んでいました。
しかし、その時ライバルである長谷も同じく3つの北壁にチャレンジしていました。羽生は3つの北壁のうちアイガー、マッターホルンを征するなど、長谷よりかなり優位に進んでいましたが、最後のグランド・ジョラスで滑落し、命はとりとめたものの左腕を負傷、岩肌に取り残されてしまいました。
そこで羽生は3日間過ごし、長谷が要請した救助隊により救助されました。その長谷は、3つの北壁の登頂に成功し、一躍時の人となっていました。しかし、長谷はその後冬季エベレスト南西壁無酸素単独登頂に挑んだものの、雪崩に巻き込まれ命を失ってしまいました。
神々の山嶺のネタバレあらすじ:転
深町は、羽生がネパールにいるのは、長谷が失敗した冬季エベレスト南西壁無酸素単独登頂に挑むため、と考えました。そして、涼子から羽生の手がかりを聞いた深町は、エベレストの傍の町であるナムチェバザールに向かいました。そして、深町は、街から離れた小屋を探し出し、そこでようやく羽生と再会できました。
深町は、羽生が挑戦する南西壁登頂への同行を願い出ますが、羽生は登山はやめたといって深町を追い返してしまいました。しかし、諦めきれない深町は、羽生にベースキャンプで待っているというと、一人ベースキャンプに向かいました。
登山家は、誰が山に最初に上るかの競争を行っていました。しかし、誰かが最初に登頂を成し遂げても、ルートの難しさ、速さ、単独登頂、無酸素登頂、とその後も競争は終わりませんでした。そんなことを想いながら深町はベースキャンプで過ごしていると、そこにシェルパと共に深町がやってきました。
羽生は深町の同行を認めますが、単独登頂のため、お互いの不干渉を求め深町も同意しました。シェルパは、羽生は8年前にナムチェバザールにきて、南西壁登頂の準備をしていたと話しました。また、シェルパは、無酸素で行けば7,500mで頭痛が出て、そこから先に進むのは至難の業となると言って、深町に無理はしないようアドバイスしてくれました。
深町は、長谷もおらず競争もないのに、なぜ危険な山に挑むのか羽生に尋ねたところ、羽生は一度山を覚えたら憑りつかれるからだ、と答えました。そして、天候が回復し、ついに羽生による冬季エベレスト南西壁無酸素単独登頂が始まりました。
深町は、クレパスを渡ったり絶壁を登ったり雪崩に巻き込まれたりと危険な目に会いながらも先行する羽生を追っていき、1日目は終わりました。2日目も天候は良く、順調に進んでいきますが、深町は次第に頭痛に悩まされるようになります。
神々の山嶺の結末
絶壁を登っているときに、シェルパから嵐が向かっているとの連絡があり、深町は安全な場所まで行こうと急ぎ登りますが間に合わず、絶壁に体を固定してやり過ごそうとしました。その時強烈な頭痛が深町に襲い掛かり、視界全部が赤く染まりました。そして、深町は気を失いそうになりますが、そこに先行していた羽生が深町のところまで下りてきて救助してくれました。
そして、羽生はテントが張れる場所まで登るとそこにテントを張り、中で深町と嵐をやりすごすことにしました。羽生は予定よりかなり遅れており、資材も足りなくなっていることから、登頂をやめるといいました。実は、羽生はこれまで何度も南西壁に挑んでいて、昨年挑んだときに偶然遭難したマロニーを発見し、カメラを回収したのでした。
天候は回復し、深町は下山しますが、羽生は深町と別れて登り続けると、ついに登頂に成功しました。ベースキャンプにたどり着いた深町は羽生の帰りを待ち続けますが、羽生はとうとう帰って来ませんでした。そして、ベースキャンプを引き払い下山する日、シェルパは、羽生から預かったという手紙にくるまれたマロニーのカメラを深町に渡しました。
手紙には、この手紙を読んでいるということは俺は戻っていない、と記載され、さらに、フィルムを現像することによりマロニーの真相はわかるかもしれないが、マロニーや俺がエベレストに登った理由はわからないだろう、俺は最期まで登り続けることに後悔はない、とも記載されていました。
その後、フィルムを現像することによりマロニーの真相はわかりましたが、深町には羽生が書いたように、なぜマロニーが初登頂に挑んだのかはわかりませんでした。しかし、深町はその後も登山を続けることにより、ある者にとっては、山の頂上は通過点に過ぎず、登り切っても歩き続けるだけだ、と気付きました。
以上、映画「神々の山嶺」のあらすじと結末でした。
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