ローラの紹介:1961年フランス,イタリア映画。『シェルブールの雨傘』等のジャック・ドゥミの長篇第一作。息子を育てながら初恋の男の帰りを待ち続けるダンサーのローラ。彼女に思いを寄せる男たち。それぞれの旅立ちにいたる三日間の物語。ドゥミと音楽担当のミシェル・ルグランの長い友情が始まった映画。
監督:ジャック・ドゥミ 出演者:アヌーク・エーメ(ローラ/セシル)、マルク・ミシェル(ローラン・カサール)、アラン・スコット(フランキー)、エリナ・ラブールデット(デノワイエ夫人)、アニー・デュペルー(セシル)
映画「ローラ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ローラ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「ローラ」解説
この解説記事には映画「ローラ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ローラのネタバレあらすじ:1日目:出会い
白いジャケット、白いテンガロンハットの男がスピードを上げて運転する白い自動車が白い制服のアメリカの水兵たちとすれ違い、水平たちは「カウボーイ」と文句を言う。水兵たちが向かうのは南フランスの港町ナントにあるキャバレー、エルドラドだ。アメリカ人水兵の一人、フランキーのお目当てはダンサーのローラだった。一度寝たことのあるローラのアパートへ二人で行く。ローラは息子イヴォンと二人で暮らしていた。
一方、同じ町でローラン・カサールは今日も寝過ごしてしまい、アパートの建物の一階のカフェで、この町は全部嫌だ、旅に出たいと不平を言ってから出勤。とうとうクビになる。カフェの女主人から紹介されて行った理容院で、あるカバンを海外にもっていく仕事を頼まれるが、どうも怪しい仕事である。でも、とにかく旅のきっかけができた。
ローランは書店でデノワイエ夫人と娘のセシルと知り合う。使わなくなった仏英辞典をセシルにあげることになる。ローランには同じセシルという名の幼なじみがいたが、戦争が終わってから会ったことはなかった。
ところがその日、街でそのセシルと偶然再会する。幼なじみは今やダンサーのローラとなっていた。仏英辞典をデノワイエ夫人の家にもっていってから、ローランとローラは待ち合わせて二人で時を過ごす。ローラは、彼女が妊娠したことを知りながら7年前に財産をこしらえるためにナントから姿を消した初恋の男ミシェルの帰りを今も待ち続けながら、短期契約のダンサーとして各地を転々と移動して働いてきたことをうちあける。
ローラのネタバレあらすじ:2日目:初恋
朝、仕事を終えたローラはフランキーに頼まれて、彼をアパートに連れて行く。フランキーはイヴォンへのおみやげのトランペットを用意していた。ローランは二人がアパートにいっしょに上がるのを見て嫉妬心を起こす。フランキーが寝ている間にローラがイヴォンを学校に送っていくのをローランはつける。イヴォンが学校に入った後、ローランはカフェでローラに愛を打ち明ける。彼は旅に出るのをやめてこの町でローラと結婚する気になっていた。ローラはローランをあきらめさせるために、フランキーと旅に出ると嘘をつき、ローランは腹を立てて出て行ってしまう。
少女セシルは学校を出たところで、続き物の「メテオ」という漫画が一冊しか店になかったのを前の日譲ってくれたフランキーと再会する。今日はセシルの14歳の誕生日。お祝いに二人は祭見物に出かけ、遊具に乗って楽しんでから別れる。フランキーがセシルの初恋の対象だった。フランキーたち水兵はナントを出て翌日シェルブールに移る。そしてフランキーは間もなく故郷のシカゴに帰るだろう。
その晩、ローランは前日招かれたセシルの誕生祝いに行く。ローランもまた明日旅立たなければならない。デノワイエ夫人はせっかく友達になったばかりのローランとの別れを惜しむ。
ローラの結末:3日目:出発
ローランを雇った理容院の店主がダイヤモンド密売で逮捕され店の前は大騒ぎになる。その群衆の中でローラとローランは再会する。けんか別れしたくなかったローラはローランを探していたのだった。ローラはフランキーと旅に出る話は嘘であることを話して二人は仲直りする。
ローランはセシルの同級生からセシルが家出をしたことをきく。デノワイエ夫人は、娘はシェルブールの伯父の元に行くつもりだとローランに言う。父親は死んだことにしていたが、実は伯父がセシルの実父だった。夫人も娘を追ってシェルブールに旅立つことになる。
白い自動車、白いジャケットの男がローランのアパートの一階のカフェに姿を現す。それがミシェルだった。カフェで絵を描いている彼の母は驚きで気絶してしまう。海外で大金持ちになったミシェルはローラと息子と暮らすために故郷に帰ってきたのだった。エルドラドへ向けてミシェルが出かけると入れ違いにローランがカフェに入ってきた。
エルドラドの同僚たちに祝福されて、ローラとイヴォンはミシェルの自動車に乗って去っていった。その自動車の中からローラはローランが歩いているのを見る。雇い主が逮捕されてしまったものの、ローランも港から旅立とうとしていた。
シェルブールの雨傘の前日談です。カトリーヌ・ドヌーヴと結婚するお金持ちの青年が昔好きだった女性が、ローラ。そういう繋がりを考えると面白いです。自由奔放なローラにこりたのか、お金持ちの青年が結婚したのは、清楚で素朴な町娘のドヌーヴでした。ローラには後日談があって、ジャック・ドュミのミュージカル三部作の二作目、「ロシュフォールの恋人たち」ではローラは殺人事件に巻き込まれてバラバラに切り刻まれてしまいます。恋多き女の末路でしょうか。哀れです。そんな絡みも交えてドュミ作品を観ても楽しいと思います。