丹下左膳餘話 百萬兩の壺(たんげさぜんよわ ひゃくまんりょうのつぼ)の紹介:1935年日本映画。百萬兩の壺を巡って展開される男女の機微、笑いと人情を描いた1935年の日活作品。浪人の丹下左膳が作品の背後から市井社会に係わって物語を盛り上げていく。監督・山中貞雄は当時26歳。それまでのニヒルな侍・丹下左膳をコミカルに描いて秀悦な人物像に仕上げている。
監督:山中貞雄 出演者:大河内傳次郎(丹下左膳)、喜代三(お藤)、沢村国太郎(柳生源三郎)、山本礼三郎(興吉)、鬼頭善一郎(高大之進)、阪東勝太郎(柳生対馬守)、花井蘭子(萩野)ほか
映画「丹下左膳餘話 百萬兩の壺」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「丹下左膳餘話 百萬兩の壺」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「丹下左膳餘話 百萬兩の壺」解説
この解説記事には映画「丹下左膳餘話 百萬兩の壺」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
丹下左膳餘話 百萬兩の壺のネタバレあらすじ:起
さる小藩の藩主の屋敷です。先祖伝来の古びた茶壷が百萬兩の値打ちだとわかります。藩主が青ざめています。壺はもう屋敷にありません。江戸の道場へ婿養子に入った弟の結婚祝いにと、すでに差し出してしまっていたからです。弟に壺の値打ちが知れる前に取り返せ、と藩主・対馬守の厳命です。
弟の源三郎は、昔から兄を快く思っていません。両親や家来たちの寵愛を一心に受けて育った兄と自分とでは、待遇が違い過ぎたと愚痴をこぼしています。今度の結婚でも、兄の引出物は古びた茶壷ひとつだけだと腹を立てています。新婦・萩乃に「三文の値打ちもない」とけなされたこともあって壺はクズ屋へと売り払われます。
丹下左膳餘話 百萬兩の壺のネタバレあらすじ:承
壺は裏長屋のクズ屋の家へ運ばれてきます。壺はすぐに隣の子、安坊の手に渡り、金魚の住み家になりました。安坊の父親、やもめの七兵衛はいま、夜ごと矢場(娯楽場)へ通っています。その店の居候兼用心棒が丹下左膳です。七兵衛はある夜、辻斬りに遭い店へ運ばれてきます。「ヤスをお願いします」と言って絶命しますが、左膳に背中を押された店の女将、お藤が安坊を引き取ることになりました。
一方で、源三郎は壺を探して江戸市中を歩き回っています。百萬兩の値打ちのある壺だと聞かされた彼は、ことの重大さに慌てながらも、毎朝、どこか楽しげに屋敷の門を出て行きます。壺探しもさることながら、矢場の女中、お久に惹かれて通っているからです。
丹下左膳餘話 百萬兩の壺のネタバレあらすじ:転
安坊の壺は金魚と共にお藤の店へやって来ます。金魚は、安坊の大事な友だちです。安坊は一日中、壺を抱いて家の中を連れ歩いています。お藤も左膳も、安坊に夢中です。渡世の裏街道を歩くふたりに、突然、降って湧いた小さな異物は、目の中に入れても痛くない存在です。
お久を目当てに、お藤の店へ通っていた源三郎は、妻・萩乃に浮気現場を目撃されます。それ以降、源三郎は屋敷に足止めを食わされます。夜更け、お久恋しさに屋敷を脱け出ようとしますが、道場の門弟たちに、いともあっさり叩き伏せられてしまいました。柳生新陰流の実力者だと鳴り物入りの婿入りでしたが、道場の下男からも陰口をたたかれる始末になりました。
丹下左膳餘話 百萬兩の壺の結末
安坊が往来で金を盗まれます。小判60兩です。何としてでも翌日には金を調達しなければなりません。左膳は、道場破りに出かけます。源三郎の道場だとは知らぬ左膳は暴れまわります。勝ち目がないとみた道場では、最後の砦とばかりに源三郎を立てます。腑抜けた主は、何とか仮病を使ってこの場から逃れようとしますが、相手がふと矢場の浪人、左膳だと気づきます。「なんだ、お主だったのか」。
左膳も驚きますが、試合がはじまります。誰もが源三郎に勝ち目がないことを知っています。しかし、試合の最中にふたりが損得勘定をぶつけ合っています。この場は源三郎の顔を立てる。「しかし、いくら払う」と。問答の末の60兩です。源三郎は左膳の刀を打ち払い、見事勝利します。道場主としての面目躍如です。源三郎は、ふたたび外出が許可されることになりました。安坊の壺が「百萬兩の壺」だと分かりましたが、誰にも話す気はありません。壺探しを理由に外出し、お久のもとへ通うことができるからです。
以上、映画「丹下左膳餘話 百萬兩の壺」のあらすじと結末でした。
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