映画「変身（2002年）」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
変身の紹介：2002年ロシア映画。フランツ・カフカによる不条理文学の傑作『変身』を映画化。ある朝突然巨大な虫に変身した男性の姿を描く。唯一の働き手として家族を養っていたグレーゴルは、不安な夢から目覚めた朝に何故か虫に変身していた。家族はグレーゴルの存在を隠しつつ面倒を見始めるが、次第に苛立ちと憎悪を募らせるようになる。
監督：ワレーリイ・フォーキン 出演者：エヴゲーニイ・ミローノフ（グレーゴル・ザムザ）、イーゴリ・クワシャ（父親）、タチヤナ・ラヴロワ（母親）、ナターリヤ・シヴェツ（グレーテ・ザムザ）ほか
この解説記事には映画「変身（2002年）」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
舞台は1900年代初頭、雨のプラハ。夜、会社員のグレーゴル・ザムザが出張から帰って来ました。グレーゴルは両親と妹グレーテ、メイドのアンナと共に暮らしています。数年前父親の商会が潰れて以来、グレーゴルは唯一の働き手として家族を養っていました。仕事には大いに不満を持っているグレーゴルですが、家族のため、特にグレーテのために一生懸命稼いでいます。グレーゴルはヴァイオリンが得意なグレーテを、音楽学校に入学させてやろうと考えていました。それを伝えるとグレーテはとても喜びます。最愛の妹の笑顔を見たグレーゴルは満足してベッドに入りました。その夜、グレーゴルは酷く不安な夢を見ました。汽車に乗る自分、ヴァイオリンの弓を指揮棒のように振るグレーテ、無言で近付いて来る会社の支配人。やがて夢から醒めてみると、グレーゴルはベッドの中で巨大な虫に変身していました。
虫になったグレーゴルは肘と膝が常に曲がった状態で、寝返りも満足にうてず、手足をガチャガチャと忙しなく動かします。そうこうしている内に、部屋の外が騒がしくなりました。グレーゴルの営業成績を咎めるため、会社の支配人がやって来たのです。両親は慌ててグレーゴルに部屋から出てくるよう言いますが、虫になった彼はドアの鍵を開けられません。その上言葉も話せなくなっていました。グレーゴルが汗だくになってドアを開けると、その場にいた両親と支配人は恐怖に目を見開きます。父に追い立てられたグレーゴルは自室に戻り、ドアには外側から鍵をかけられてしまいました。
グレーゴルはあらゆる点で変わってしまいました。食事は腐りかけの果物などを好んで食べるようになり、やがて壁や天井を這い回るようになります。不気味なグレーゴルから逃れるように、長年勤めていたアンナも辞めてしまいました。憔悴する家族は、グレーゴルを何とか隠そうとします。ドア上部のガラス部分を白いペンキで塗り潰したり、カーテンを縫い合わせたり。ある夜、グレーテは母を連れてグレーゴルの部屋に入りました。壁や天井を這うグレーゴルのために、邪魔な家具を運び出してしまおうと考えたのです。ところが心痛で弱っていた母がグレーゴルを見て気絶。慌てたグレーテが居間に運ぶと、グレーゴルも心配して部屋から這い出て来ます。そんな兄をグレーテは厳しく叱責し、ちょうど帰宅した父に事情を説明しました。激怒した父はグレーゴルに林檎を投げつけます。グレーゴルは慌てて自室に戻りましたが、林檎が背中に当たってしまい、だんだんと弱っていきました。
家族はそれぞれ職に就き、空き部屋も貸して収入を得るようになります。部屋を借りたのは３人の紳士でした。新しく雇った掃除婦は大柄で粗暴な中年女性です。彼女はグレーゴルを全く恐れず、それどころか頻りにちょっかいを出していました。部屋を貸すために邪魔な家具は全てグレーゴルの部屋に押し込まれ、満足に掃除もされないので埃だらけです。ある夜、グレーゴルはグレーテのヴァイオリンの音を聞き、懐かしくなってモゾモゾと動き出しました。それを３人の下宿人に目撃されてしまいます。グレーゴルの存在を知った下宿人達は、こんな家には住めないと逃げるように出て行ってしまいました。グレーテは激怒し、グレーゴルに罵声を浴びせます。そして「本当の兄さんなら――家族が苦しむのを見て――自ら消えるわ」と言い放つのでした。家族からも完全に見放されたグレーゴルは、ついに力尽き死亡してしまいます。
グレーゴルを失ったザムザ家は、数か月ぶりに電車で郊外へ出かけます。ようやくグレーゴルから解放された一家は清々しい笑顔を浮かべていました。両親はグレーテがとても美しく成長していることに気付き、そろそろ良い婿を見つけてやらなければと思います。すっかり明るさを取り戻したグレーテが窓の外を見つめ、この映画は終わりを迎えます。
以上、映画「変身（2002年）」のあらすじと結末でした。
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