MINAMATA―ミナマタ―の紹介:2020年アメリカ映画。1970年代、日本・熊本県水俣市を中心に社会問題となった公害病「水俣病」を克明に追い続けたアメリカの写真家ユージン・スミスの実話を基に映画化したドラマです。ジョニー・デップが製作・主演を務め、坂本龍一が音楽を手掛けています。
監督:アンドリュー・レヴィタス 出演者:ジョニー・デップ(ユージン・スミス)、真田広之(ヤマザキ・ミツオ)、美波(アイリーン)、國村隼(ノジマ・ジュンイチ)、加瀬亮(キヨシ)、浅野忠信(マツムラ・タツオ)、岩瀬晶子(マツムラ・マサコ)、ビル・ナイ(ロバート・“ボブ”・ヘイズ)ほか
映画「MINAMATA ミナマタ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「MINAMATA ミナマタ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
MINAMATA―ミナマタ―の予告編 動画
映画「MINAMATA ミナマタ」解説
この解説記事には映画「MINAMATA ミナマタ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
MINAMATA ミナマタのネタバレあらすじ:起
1971年、アメリカ・ニューヨーク。かつて第二次世界大戦の戦場を克明に記録し、高い評価を受けてきた写真家のユージン・スミス(ジョニー・デップ)。しかし、スミスは今やすっかり酒浸りの日々を送るなど落ちぶれ、離婚した妻や子供たちからも見放される次第でした。
ある日、スミスはかつて数々のフォトエッセイを掲載した雑誌「ライフ」の編集長ロバート・“ボブ”・ヘイズ(ビル・ナイ)の元を訪れました。スミスが金に困っていることを知っていたボブは小切手を握らせようとしましたが、スミスはこれを拒絶しました。
そんなある日、スミスの元に日本人通訳のアイリーン(美波)がやってきました。日本のフィルム会社のCM用のインタビューが主な目的でしたが、アイリーンはスミスにある依頼をしてきました。
それは、日本の熊本県水俣市で起こっている公害問題でした。スミスはかつて太平洋戦争の沖縄戦を取材した際に重傷を負い、凄惨な光景にPTSDを発症した苦い経験から断ろうとしましたが、アイリーンはスミスに「水俣病」に関する資料を渡してきました。
その資料に強い衝撃を受けたスミスはボブに水俣病の取材をさせてくれるよう申し入れ、アイリーンと共に水俣へ向かいました。
MINAMATA ミナマタのネタバレあらすじ:承
水俣では化学製品を取り扱う「株式会社チッソ」の工場が水俣湾に水銀を含んだ廃水を垂れ流しており、汚染された魚を食べた地元住民が重度の水銀中毒を患っていたのです。しかし、チッソも日本政府も事実を認めようとはしませんでした。
水俣に着いたスミスとアイリーンは、チッソで働くトラック運転手のマツムラ・タツオ(浅野忠信)とマサコ(岩瀬晶子)夫妻の家に泊まることになりました。マツムラ夫妻の長女アキコは胎児の頃から重度の脳神経障害を患っており、目も口も開けないほどの麻痺を負っていました。
スミスはアキコの写真を撮らせて欲しいと頼みましたが、タツオはそれだけは勘弁してほしいと断りました。
翌日、スミスはたまたま出会った地元の麻痺を患う青年にカメラを託し、地元の市井に生きる人々の写真を撮らせました。地元の人々は風評被害を恐れてスミスに協力しようとしませんでしたが、自身や子供も中毒に苦しむキヨシ(加瀬亮)やチッソに立ち向かう地元住民代表のヤマザキ・ミツオ(真田広之)らがスミスに協力してくれることになりました。
キヨシら住民はスミスに撮影機材と作業場としての空き家を提供し、スミスはチッソの前で座り込む住民たちをカメラに収めていきました。
MINAMATA ミナマタのネタバレあらすじ:転
チッソの株主総会までに多くの証拠を集めようと決心したスミスとアイリーン、キヨシは水俣病患者たちが多く入院している病院に潜入しました。患者たちと交流を深めたスミスたちは立ち入り禁止とされている研究施設にも乗り込み、そこでチッソが廃水が有害であることを知りながら15年もの間海に垂れ流し続けていた証拠の資料を見つけて憤りを感じました。
そんなある日、スミスはチッソの社長ノジマ・ジュンイチ(國村隼)に呼び出されました。ノジマは工場からの廃水は安全で無害だと主張して水俣病との因果関係を完全否定、スミスに5万ドルをやるからこの件から手を引けと要求しましたが、スミスは断固として拒否しました。
その直後から、ヤマザキの自宅にチッソとグルになっている地元警察が家宅捜査と称して立ち入り、部屋を勝手に荒らし回るといった嫌がらせをしてくるようになりました。
スミスは先日カメラを託した青年と交流を持ちながら取材を続けていましたが、株主総会を目前に控えたある夜、スミスの留守を見計らったかのように資料やフィルムを保管していた空き家が火事で全焼するという事件が発生しました。それでもスミスは真摯に地元住民への協力を求め、住民たちもスミスの思いを受け止めました。
そして株主総会の日、スミスとアイリーンは会場に乗り込んだヤマザキ率いる住民たち500人もの姿をカメラに収めましたが、住民たちが汚染された小魚をチッソ社員に投げつけたことにより会場は発煙筒や投石が飛び交う大混乱の場と化してしまいました。スミスはチッソ社員たちから凄惨な暴力を受けて重傷を負い、病院に搬送されました。
その後、ヤマザキやキヨシらはノジマや重役たちと交渉の席を持ち、住民の置かれた現状を必死で訴えました。ノジマは一応謝罪こそしたものの住民らが求める補償金の支払いを拒絶、交渉は紛糾してしまいました。激昂したキヨシはガラスを割り、破片で手首を切って倒れ込んでしまいました。
MINAMATA ミナマタの結末
スミスは片目を失明し、脊椎と腕の骨を折られる重傷でした。さすがに心が折れてしまったスミスはニューヨークのボブに電話をかけて取材を断念すると伝えましたが、ボブは「ライフ」はスミスの写真を待っていると叱咤激励しました。
スミスが入院する病院に、ひとりのチッソ社員が訪れてきました。社員の母は以前スミスたちが病院に潜入した際に交流を持った水俣病患者のひとりであり、社員はスミスに暴行のことを謝罪すると火災で失われたと思われていたフィルムや写真を渡しました。
退院したスミスはひとりでカメラのシャッターを押すことが困難なほどの障害が残っていましたが、それでもアイリーンと共に再びマツムラ夫妻の元を訪れ、今度こそアキコの写真を撮らせてほしいと懇願しました。マツムラ夫妻は許可し、スミスはアイリーンの助力を得てマサコの介助を得ながら入浴するアキコの姿を撮影しました。
スミスから送られてきた写真を受け取ったボブは深い感銘を受け、早速「ライフ」で水俣病の特集を組みました。水俣の現状は瞬く間に世界中に広く知られることとなり、チッソ側も遂に公害を認めざるを得ませんでした。そして住民たちがチッソを相手取った裁判でチッソの過失責任が認められ、住民たちの勝訴が確定しました。
スミスはアイリーンと再婚しましたが、数年後の1978年にスミスはこの世を去りました。そして現在もなお住民たちの苦しみは続いているのです。
以上、映画「MINAMATA―ミナマタ―」のあらすじと結末でした。
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