神のゆらぎの紹介:2014年カナダ映画。エホバの証人の信者として生きる1人の女性の視点から、信仰とは、人間の命とは何かを問いかける問題作。カナダで起こった飛行機事故と、それに乗り合わせた人々の人生を絡めた群像劇で描く。「トム・アット・ザ・ファーム」や「Mommy /マミー」ほかで数々の映画賞を受賞し、俳優、監督、脚本家として才能を発揮するグザヴィエ・ドランが、病に苦しむ青年を演じている。
監督:ダニエル・グラヴ 出演者:グザヴィエ・ドラン(エティエンヌ)、マリリン・キャストング(ジュリー)、アンヌ・ドルヴァル(エヴァリン)、ロビン・オベール(マーティン)、サリアン・コーミエ(キム)、ヴィオレッテ・ショヴォー(マデリーン)ほか
映画「神のゆらぎ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「神のゆらぎ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
神のゆらぎの予告編 動画
映画「神のゆらぎ」解説
この解説記事には映画「神のゆらぎ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
神のゆらぎのネタバレあらすじ:起
カナダの病院で働く看護師のジュリー。彼女はエホバの証人の信者で、彼女のフィアンセであるエティエンヌもまたエホバの信者です。ある日、エティエンヌが倒れ、彼の両親は息子の体調を心配します。母親が病院へ行けと言いますが、エティエンヌは従いません。実は彼は白血病に侵されていて、その事実をジュリーだけに打ち明けていました。エホバの証人では、輸血を禁じています。エティエンヌは、信仰のために治療を拒否しているのです。ジュリーも敬虔な信者でしたが、苦しむ恋人の姿を目の当たりにして悩んでいました。深夜、ジュリーは病院に呼び出されます。旅客機の墜落事故が起こり、犠牲者たちが病院に運ばれていたのです。そしてここから、物語は墜落事故の前に遡っていきます。
神のゆらぎのネタバレあらすじ:承
ベネズエラから、ドラッグの運び屋として帰国したシモン。売人のキムと共に取引き先のホテルに急ぎます。トイレで力み、体内に隠したドラッグを出そうとするのですがうまくいかず、痛みのあまり倒れてしまいます。ホテルのカジノでは、ギャンブル依存症のマーティンが、妻のエヴァリンに電話をかけています。裕福な2人は、今夜キューバへバカンスに出掛ける約束をしていました。エヴァリンはアルコール依存症で、キューバ行きを楽しみにしていながらも、情緒不安定に陥っていました。カジノでバーテンをしているレイモンドは、既婚者であるにもかかわらず、クロークで働くルイーズを本気で愛しています。レイモンドはルイーズに、「今夜の便で、一緒にキューバへ逃げよう」と言います。
神のゆらぎのネタバレあらすじ:転
シモンの部屋に、取引きを聞きつけた警察が乗り込んできます。キムは逮捕されますが、シモンはどさくさにまぎれて逃走します。マーティンは、ギャンブルに夢中になってしまい中断することができません。エヴァリンに電話をかけると、明らかに様子が変です。エヴァリンは再び、お酒に手を出していました。酔っぱらったまま町に出た彼女は、ブティックの試着室で泣き出したり、ドラッグストアで商品をぶちまけたりと奇行を繰り返しています。マーティンは失望し、電話を切ります。キューバ行きの荷物を持ったレイモンドは、ルイーズのアパートを訪ねます。しかしルイーズは外出中で、出てきたのは彼女の夫でした。意外なことに、夫は穏やかにレイモンドを迎え入れ、葉巻まですすめます。帰宅したルイーズは2人を見て驚きますが、夫は妻を責めることなく「どうするか決めるのは君だ」と言って部屋を出て行きます。
神のゆらぎの結末
シモンは、姪のカリーヌを訪ね、ドラッグで得た大金を渡します。彼らは、過去に過ちを犯しており、シモンはその償いのために運び屋でお金を得たのです。マーティンとエヴァリンは空港に行きますが、しらふに戻ったエヴァリンは、マーティンに別れを告げて去って行きます。ルイーズは夫と別れ、レイモンドと空港へやって来ます。シモン、マーティン、そしてレイモンドとルイーズ。彼らはその夜、同じキューバ行きの飛行機に搭乗。機は炎上して乗客たちは死亡します。ただ1人の生存者であるマーティンだけが、瀕死の状態で病院に搬送されます。彼の治療に携わったジュリーは、マーティンと同じ血液型だったため医師から輸血を依頼されます。悩んだ末、輸血に応じたジュリーは、信仰に背いたとされ教会を追われます。エティエンヌにも拒絶され、彼女はエホバの証人と完全に決別しました。ある日、バスで乗り合わせた信者の女性が、ジュリーに一言つぶやきます。「エティエンヌがきのう死んだわ」。ショックを受けるジュリーの脳裏に、ある男性の記憶がよみがえります。その男性は、シモーヌの夫でした。飛行機事故の直後、ジュリーは、エホバの証人信者として彼の家を訪問していました。神を語るジュリーに、シモーヌの夫は言います。「飛行機が落ちるのは、全能の神がいないからだ」。
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