モモの紹介:1986年西ドイツ,イタリア映画。ミヒャエル・エンデの同名児童文学を映画化。盗まれた時間を取り戻そうとする少女の勇気を描くファンタジー作品。町の円形劇場跡に住み着いた少女モモは、人の話を聞くことが大の得意だった。モモに相談するとどんな厄介事も解決し、気付けば彼女は町中から愛されるようになる。ところがある日、「灰色の男」が現れ人々から時間を盗んでしまった。人々は時間に追われ、心の余裕を無くしてしまう。モモは皆を助けるため、時間の管理者マイスター・ホラのもとを訪れ不思議な世界に触れるのだった。
監督:ヨハネス・シャーフ 出演者:ラドスト・ボーケル(モモ)、ジョン・ヒューストン(マイスター・ホラ)、ブルーノ・ストリ(ジジ)、レオポルド・トリエステ(ベッポ)、マリオ・アドルフ(ニコラ)ほか
映画「モモ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「モモ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
モモの予告編 動画
映画「モモ」解説
この解説記事には映画「モモ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
モモのネタバレあらすじ:不思議な少女と灰色の男
舞台はとある都会のはずれ、町の円形劇場跡。ある日、そこに1人の少女が住み着きました。彼女の名前はモモ。養護院を抜け出した孤児で、町の人々は皆で世話をしてやることにします。モモは人の話を聞くことがとても得意な、不思議な女の子でした。モモは具体的に命令や指示を出す訳ではありません。ただ彼女に話を聞いて貰うと、迷いや悩みがたちどころに晴れていくのです。モモは次第に人々から頼られるようになり、モモも皆を大好きになりました。特に道路掃除夫のベッポと、観光ガイドのジジとは大の仲良しです。
貧しくても賑やかで笑顔の絶えない町に、ある日「灰色の男」が現れました。彼らは灰色の帽子にスーツを着て、底冷えするような冷気を放ち、いつも葉巻を吸っています。時間貯蓄銀行からやって来たという彼らは、町の至る所で時間の無駄遣いを指摘しました。畳み掛けるような口調で時間の節約を促された町の人々は、つい残りの時間を灰色の男に預けてしまいます。すると灰色の男に会った記憶はすっかり無くなり、人々は「時は金なり」を口癖に働き始めました。
モモのネタバレあらすじ:灰色の男の正体
時間に追われる人々は心の余裕が無くなり、とても怒りっぽくなります。そんな彼らも、モモに会うことで元通りになりました。面白くないのは灰色の男達です。灰色の男の1人、エージェントBLW/553Xがモモのところへやって来て素敵な人形をたくさん与えました。おもちゃで気を引き、モモを友人達から引き離す魂胆です。しかしモモはプレゼントを拒否し、「誰にも愛されてないの?」とエージェントBLW/553Xを気遣いました。途端にエージェントBLW/553Xはうろたえ始め、自分達の秘密を全て喋ってしまいます。灰色の男の正体は、人々から時間をむしり取る時間泥棒。人間が節約した時間を吸い上げ食べることで存在しているのです。
秘密を話してしまったエージェントBLW/553Xは慌ててモモの前から逃げ出しました。モモは灰色の男達の企みを警告するため、ベッポや子ども達と一緒にプラカードを掲げて行進し注意を促します。しかし大人達は信じてくれませんでした。ベッポやジジも新しい仕事に追われ、モモは1人ぼっちになってしまいます。灰色の男達は真夜中に裁判を開き、エージェントBLW/553Xに罰を与えました。時間貯蓄銀行議長の命令で葉巻を取り上げられたエージェントBLW/553Xは、煙のように消えてしまいます。灰色の男達は秘密を知ったモモを捕まえようと、町中を探し始めました。
モモのネタバレあらすじ:<どこにもない家>のマイスター・ホラ
一方、モモのもとには1頭の亀が訪れていました。カシオペイアという名前の亀は、甲羅に文字を浮き上がらせることでモモとコミュニケーションを取ります。「ついておいで」と文字が浮かび、モモはゆっくり歩き始めました。やって来たのは<さかさまの通り>という真っ白い道です。カシオペイアの指示に従い後ろ向きに歩いていくと、<どこにもない家>に到着しました。ドアを開けると、マイスター・ホラと名乗る老人がモモを待っています。ホラが言うには、カシオペイアは30分先の未来が見えるので、灰色の男達から逃げることも可能なのでした。あらゆる人間の時間はこの<どこにもない家>で作られ、ホラはそれを1人1人に配達しているそうです。ホラは恐れが消えれば時間を盗まれることはないとモモに教えました。モモは時間が生まれるところを見せて貰います。時間を具現化した<時間の花>が開く美しい様子を、モモは言葉もなく凝視しました。
<どこにもない家>で1日を過ごしたモモが円形劇場跡で目を覚ますと、周囲には誰もいません。なんと外の世界では1年と1日もの時間が過ぎていたのです。1年経った町はすっかり様変わりしていました。灰色の建物が並び、人々は時間に追われ苛々しながら生きています。子ども達は灰色の男達に管理され、誰もモモの相手をしてくれませんでした。灰色の男達は、長年ホラのところへ行く道を探していました。そこでモモの友人を奪い、彼女の心が折れた頃案内させようと目論んでいたのです。
モモのネタバレあらすじ:時間奪還作戦
灰色の男達は、カシオペイアの案内で再びホラのところへ行くモモを尾行しました。しかし<さかさまの通り>で消滅してしまいます。盗んだ時間で出来ている彼らは、時間が逆に流れる<さかさまの通り>では体から時間が抜けて消えてしまうのです。モモとホラは、盗まれた時間を取り戻すための作戦に出ました。ホラが眠ると全ての時間が止まるので、灰色の男達は時間を盗むことが出来なくなります。モモがその隙に灰色の男達を消し去り、彼らが奪った時間を解放する予定でした。モモは<時間の花>を1輪受け取ります。タイムリミットは花が枯れるまでの1時間。ホラが眠りに就くと、あらゆるものが氷のように固まりました。時間が止まったのだと気付いた灰色の男達は慌てます。彼らの命を繋ぐ葉巻は、<時間の花>の花弁を乾燥させて作ったもの。時間を吸えなくなると灰色の男達は消失してしまいます。彼らは葉巻が尽きる前にと、慌てて時間貯蓄銀行に走っていきました。
モモはカシオペイアを連れ、その後をこっそりついていきます。銀行の地下に侵入すると、議長を中心に灰色の男達が会議を開いていました。彼らは葉巻を守るため、人数を減らす作戦に出たようです。議長の後ろには大きな倉庫があり、ドアが開いている状態でした。その向こうに、人間から奪った<時間の花>が保管されているはずです。モモは隙を見てドアに走り、ホラから渡された<時間の花>を使ってドアを閉めてしまいました。これで新しく葉巻を作ることは出来なくなります。灰色の男達は動揺し、葉巻の奪い合いが始まります。1人、また1人と消えていき、ついに灰色の男達は全員煙になって消えてしまいました。
モモの結末:取り戻した時間と友人達
モモの次の仕事は、<時間の花>を解放することです。モモは<時間の花>を使って倉庫のドアを開け放ちました。するとカシオペイアの甲羅に「うちへ飛んでお帰り」と文字が浮かび上がります。モモの体が浮き上がり、解放された<時間の花>の花弁と共に空へ飛んでいきました。モモは円形劇場跡に帰って来ます。そこにはベッポ達が氷のように固まったまま立っていました。
花びらが降り注ぐと、彼らは時間を取り戻して動き始めます。時間と共に豊かな心を取り戻した彼らは、モモを囲んで歓声を上げました。大好きな友人に囲まれ、モモも笑顔を浮かべます。<どこにもない家>では、目を覚ましたホラがカシオペイアを膝に乗せていました。彼が「これでいい 結構」と満足そうに笑い、この物語は終幕を迎えます。
以上、映画「モモ」のあらすじと結末でした。
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