ムーンライズ・キングダムの紹介:2012年アメリカ映画。大人の仕切る世界から脱走したサムとスージーは入り江に二人だけの王国を作る。彼らの純真さが少しずつ大人たちを変えていく。
監督:ウェス・アンダーソン 出演:ジャレッド・ギルマン、カーラ・ヘイワード、ブルース・ウィリス、エドワード・ノートン、ビル・マーレイ、フランシス・マクドーマンド、ティルダ・スウィントンほか
映画「ムーンライズ・キングダム」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ムーンライズ・キングダム」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「ムーンライズ・キングダム」解説
この解説記事には映画「ムーンライズ・キングダム」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ムーンライズ・キングダムのネタバレあらすじ:脱走したスカウト隊員を探せ!
とある島の海辺の家。両親と三人の弟と暮らすスージーは、学校でキレたため現在停学中、楽しみは自分宛に来る手紙を待つ事。彼女は双眼鏡で遠くを見、自分の母親がこの島の警部と不倫関係にあることも知っていた。
発端は台風が直撃する三日前の事。その島のボーイスカウトのキャンプから、少年サムが逃亡した。責任者のウォード隊長は他の子供たちにサムを探させるが、仲間内で嫌われ者だったサムの捜索に子供たちはやる気を出さない。ウォードは島の警察のウォード警部に行方不明者の捜索願いを出し、サムの両親にも連絡する。すると、両親からはサムを家に戻さないでくれと言われる。スカウトの書類には書いていなかったが、サムは孤児院から養子に貰ったのだが、精神を病んでいて自分たちのほかの子供たちに悪影響があるというのが言い分だった。
逃亡したサムはスカウトで培ったサバイバル術でカヌーを操り順調に逃亡。彼の目的は、スージーと駆け落ちする事だった。彼らの出会いは一年前。教会で行われた聖書の演劇会で楽屋に迷い込んだサムがスージーと出会い、文通を始め、それはいつしか互いの逃亡計画になっていた。
ムーンライズ・キングダムのネタバレあらすじ:サムとスージーの国
手紙で約束を日、約束をした草原でサムとスージーは再会し、逃亡を始める。ここでもスカウトでの経験を生かし、順調に逃亡を続ける二人。テント暮らしもお手の物、夜はスージーがお気に入りの本を読み聞かせしていた。しかしそこにスカウトの子供たちによる捜索が及ぶ。徒歩の二人、武器らしいものはサムがスカウトから持ち出した空気銃のみに対して追っ手の子供たちはバイクに弓にナイフ、彼らはサムに容赦なく襲い掛かった。連れていた猟犬のスヌーピーは弓に射抜かれ、迫るバイクにスージーは鞄の中のハサミで応戦し、乗っていた子供の背中に刺さった。サムはスージーに正当防衛だといって慰める。子供たちは二人そっちのけでウォード隊長に報告し、怪我をした隊員は、別のキャンプにある救護所へと連れて行かれることになった。港で警察と話していると、スージーの両親もやってきて、娘がいなくなったと相談に訪れ、スージーが子供をハサミで刺した事を知る。いい争いを始めるスカウトの隊長とスージーの両親。そこへ、一人の老人がやってきて、優秀なサムは昔この島の地図を作っていて、彼が行きそうな場所を教えた。それは島の潮流口の入り江、誰もいないその場所を、二人は自分たちの国と言って、幸せな時間を送り始める。サムは釣り針と虫でピアスを作り、スージーの耳に穴を開けた。彼女は、サムが孤児院育ちと言うのが物語の主人公みたいだと羨ましがったが、サムは彼女の父は彼女を愛していると返した。翌日、二人はあっさり見付けられ引き離されてしまう。
ムーンライズ・キングダムのネタバレあらすじ:子供たちによる救出大作戦開始
サムは里親から戻ってくることを拒まれていて、スカウトの隊員でもなくなってしまった彼の処遇を福祉局に尋ねると、孤児院と言えば多少聞こえはましだが、その実、少年収容所に収容されると言われた。サムは福祉局が迎えに車で、シャープ刑事が預っていた。スージーと駆け落ちしたかったと零すサムは、収容されてしまったら彼女とは二度と会えなくなってしまう。孤児院とは名ばかりの収容所に入れることで、サムに同情的になった警部。そして彼らを追っていた子供たちも、サムの境遇を知るや、今まで嫌っていたサムを今度は助けようと行動を始める。警部の家からサムを逃がそうとすると、スージーと一緒じゃ無いと嫌だという彼に、すでに自宅から抜け出していたスージーが煙突を覗き込み手を振った。サムとスージーとスカウトの子供たちは別の島にあるスカウトのキャンプに向かった。そこには礼拝所があり神父様がいた。目的は二人の結婚式。ところが神父お休み。司法書士の資格を持つ隊員の下で、親の許可は無いが心に重みを持たせるためと称して式を挙げる。そして、カニ漁船に二人を紛れ込ませて逃がすことを計画する。途中、スージーの双眼鏡を探しにキャンプに戻ったサムは、救護所運ばれていた事の次第を知らない仲間に双眼鏡を取られ再び脱走者として追われることになってしまう。嵐の迫る中、サムは地雷原に駆け出し旗を掲げ自分に落雷させ追っ手をひるませる事に成功。スージーたちと嵐から避難することにする。
子供たちがいなくなったと気がついたウォード隊長は急いで救護所のある大きなキャンプに報告しに行く。そこでは、すでに嵐による決壊に備えて避難する準備が行われていた。監督不行き届きで一度は隊長の任を解かれてしまったウォードだが、ダムが決壊し、隊長室で落雷による火事に見舞われた上司を助けると、そのまま子供たちを率いて高台の教会へ向かう。
ムーンライズ・キングダムのネタバレあらすじ:嵐の迫る夜に交わされた約束
嵐の中、サムを収容しに来た福祉局員は嵐のため避難した教会でスカウトの子供たちや島の人々に出会う。彼らは、逃亡したサムとスージー、またそれを助けたほかのスカウト隊員を探していた。すると、教会のパイプオルガンのあるオルガン席に被り物を被った一団を見つける。サムたちは先にここに避難していた。見つけられてしまったところで教会の電気が落ちる。暗闇の中、サムとスージーは教会の屋根をつたい、塔に登る。それを追うシャープ警部はサムを引き取る事が出来ないか、トランシーバーで福祉局員と交渉し成立。塔から嵐の海へ飛び込もうとする二人を止めに行った。
嵐が過ぎ、被害のニュースが流れる。教会の塔は崩れ落ち、スカウトのキャンプは滅茶苦茶になっていた。その代わり恵みの雨か、その年は豊作でもあった。
スージーは三人の弟と子供室でいつものように過ごしていた。以前と違うのはそこに、絵を描くサムがいる事。スージー達は母親にご飯だと声をかけられる。サムもまた、迎えに来たシャープ警部の車に乗り込んだ。
最後にサムの描いた絵が映る。それはスージーと過ごした潮流口の入り江の絵だった。
以上、ムーンライズ・キングダムのネタバレあらすじと結末でした。
ムーンライズ・キングダムのレビュー・感想:作品の中の二つの嵐
この作品には二つの嵐が出てくる。一つは彼らの暮らしていた島を襲う嵐。そして、サムとスージーの駆け落ちによって様変わりしていく人間関係。嵐の後、滅茶苦茶になったものは、修復される。それと同じように、スージーの両親も、子供たちのために妻の不貞を許す仮面夫婦を辞める。キャンプの子供たちも滅茶苦茶になってしまったキャンプを自分たちの手で復旧させる。嵐によって失われたもの、変わる事を余儀なくされたものはあったが、嵐が豊作を呼んだように、登場人物たちの中に新しく生まれたつながりを強く感じさせてくれる。
ウェス・アンダーソン監督の得意なかわいらしい色彩にストーリーもテンポよく進む映画です。のどかな島で起きる子供たちの突然の駆け落ちに島民達が巻き込まれていくのですが、1960年代当時を思わせるようなアイテムがちりばめられていて、登場人物たちも個性的でどこか不器用で目が離せません。
キャストもカーラ・ヘイワード、ビル・マーレイ、ブルース・ウィリスなどとても豪華で奇妙な大人たちを好演しています。