告発の紹介:1995年アメリカ映画。実話を元に製作された作品で、かつて史上最悪の刑務所として恐れられたアルカトラズ連邦刑務所で行われていた凄惨な虐待と、それを告発に動いた一人の囚人の物語です。
監督:マーク・ロッコ 出演者:ケヴィン・ベーコン(ヘンリー・ヤング)、クリスチャン・スレイター(ジェームズ・スタンフィル)、ゲイリー・オールドマン(ミルトン・グレン)、エンベス・デイヴィッツ(メアリー)、ウィリアム・H・メイシー(ウィリアム・マクニール)ほか
映画「告発」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「告発」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「告発」解説
この解説記事には映画「告発」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
告発のネタバレあらすじ:起
アメリカ・カリフォルニア州サンフランシスコの沖に浮かぶ難攻不落の孤島、アルカトラズ島。そこにあるアルカトラズ連邦刑務所は史上最悪といわれ、誰一人脱出したものはいないとされてきました。貧しい青年ヘンリー・ヤング(ケヴィン・ベーコン)は、妹のためにわずか5ドルを盗んだ罪で懲役25年の実刑判決を受け、アルカトラズに収監されました。彼にとってはアルカトラズは生き地獄という言葉すら生温いものでした。過酷で劣悪な環境と看守の度重なる虐待に耐え兼ね、ヘンリーは脱獄を試みますが仲間の裏切りにあい失敗、3年半もの間、日の光も届かない独房に閉じ込められていました。
告発のネタバレあらすじ:承
独房を出てからもヘンリーに対する看守の虐待は続き、冷酷残忍な副刑務所長グレン(ゲイリー・オールドマン)からは脱走防止と称されてアキレス腱を切られてしまいます。ある日、食堂でかつて裏切った仲間を見つけたヘンリーは、手にしていたスプーンで衝動的に相手の首をメッタ刺しにして殺害してしまい、裁判にかけられることになります。ヘンリーの弁護を担当するのは新人の弁護士ジェームズ・スタンフィル(クリスチャン・スレイター)です。最初は心を頑なに閉ざしていたヘンリーでしたが、ジェームズの真摯な対応に少しずつ心を開いていきました。
告発のネタバレあらすじ:転
ヘンリーの証言から浮かび上がったのは、アルカトラズの壮絶な実態の数々でした。正義感の強いジェームズとヘンリーの間に次第に友情が芽生え、ジェームズはヘンリーのためにこの裁判を闘い抜く決意を固めます。しかし、アルカトラズを相手にすることはアメリカそのものを敵に回すということでした。全米が裁判の行方に騒然となる中、ジェームズには度重なる妨害や圧力がかかります。ジェームズの兄で弁護士のバイロン(ブラッド・ダリフ)は彼と距離を置き、そしてジェームズの恋人だったメアリー(エンベス・デイヴィッツ)も彼の元を離れていきました。
告発の結末
それでもジェームズは諦めず、最初はヘンリーは死刑になる見通しだったのが少しずつ流れが変わり、量刑の軽い過失致死罪が適用される見通しになってきました。ところが、ヘンリーは突如裁判に勝ちたくない、死刑にしてほしいと言い出します。迎えた公判最終日、どうしてもヘンリーを助けたいジェームズは、最後の手段としてヘンリー本人を証言台に立たせます。そしてヘンリーは「あそこに戻るくらいなら死んだほうがましだ」と絶叫します。ヘンリーの心の叫びは裁判官を動かし、判決は過失致死罪となり、事実上ヘンリーとジェームズの勝訴に終わります。判決から3日後、ヘンリーは独房に「VICTORY」と書き残して自ら命を絶ちます。この裁判がきっかけとなり、1963年にアルカトラズ刑務所は閉鎖に追い込まれました。
刑務所内での囚人とその弁護士との友情を描いた感動作です。ケヴィン・ベーコンの演技力にも圧倒されます。ラストで主人公は亡くなってしまいますが、「人生は勝つことだけが全てではない」という監督のメッセージが見て取れます。自分のこれからの人生の生き方を考えさせられる心に残る作品です。まさに涙を流す前に拍手を送りたくなる、素晴らしい映画です。