プロヴァンスの休日の紹介:2014年フランス映画。「レオン」(1994)や「ダ・ヴィンチ・コード」(2006)の名優ジャン・レノ主演による、心あたたまる家族再生の物語。南フランスのプロヴァンスに暮らす寡黙な男が、会ったこともない孫3人をひと夏のあいだ預かる羽目になる。田舎が合わないパリっ子の孫達は、なにかにつけて祖父に反抗的な態度をとるが…。美しいプロヴァンスの自然や風景はもちろんのこと、シーンを彩る懐かしいロック&ポップスの名曲も深く印象に残る作品。
監督:ローズ・ボッシュ 出演者:ジャン・レノ(ポール)、アンナ・ガリエナ(イレーネ)、クロエ・ジュアネ(レア)、ユーゴ・テシウ(アドリアン)、ルーカス・ペリシエ(テオ)、オーレ・アッティカ(マガリ)、トム・リーブ(チアーゴ)、ユーゴ・オーフレー(エリー)、シャルロット・ド・デュルケーム(ローレット)ほか
映画「プロヴァンスの休日」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「プロヴァンスの休日」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
プロヴァンスの休日の予告編 動画
映画「プロヴァンスの休日」解説
この解説記事には映画「プロヴァンスの休日」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
プロヴァンスの休日のネタバレあらすじ:起
パリに住む3兄姉弟、アドリアン(ユーゴ・テシウ)、レア(クロエ・ジュアネ)、テオ(ルーカス・ペリシエ)に長い夏休みがやって来ます。彼らの両親は不仲で、父親はほとんど不在。カナダへ出掛ける用事のある母親エミリーは、長年疎遠だった自分の両親に連絡して子供達の世話を頼みます。祖母のイレーネ(アンナ・ガリエナ)が迎えに来て、3兄姉弟は列車に揺られています。「パリに残りたい」と不機嫌なレア、そして「ゲームがなきゃ死ぬ」と言うアドリアン。都会っ子の彼らにとって、田舎町で過ごす夏休みなど最悪です。おまけに母親と仲の悪い祖父ポール(ジャン・レノン)とは今回が初対面なのです。案の定、アビニョンの駅で待っていたポールは不機嫌そうで、初めて見る孫に笑顔ひとつ見せません。アドリアンとレアもふくれっつらで車に乗り込み、聴覚障害のあるテオが後に続きます。祖父母の家に到着し、さっそく夕食が始まりますが3兄姉弟はここでも文句ばかり。雰囲気はますます悪くなり、祖父と孫達の関係を修復したいイレーネは早くも頭を痛めます。
プロヴァンスの休日のネタバレあらすじ:承
翌日。レアとアドリアンは些細なことでポールと朝からケンカ。うんざりしたイレーネは3
兄姉弟を村の蚤の市へ連れて行きます。アドリアンはスウェーデンから来た旅行者の女の子達をナンパしますが、通りかかった村のマドンナ的存在のマガリ(オーレ・アッティカ)を見るなり一目ぼれしてしまいます。レアの方はピザの屋台で働く美青年チアーゴ(トム・リーブ)に話しかけます。楽しいひとときを過ごして家に帰ったアドリアンとレアでしたが、ポールとの仲は相変わらずです。イレーネに昔話を聞いていたレアは、ポールとイレーネが若い頃にバイクで方々を旅していたと知って驚きます。イレーネが見せてくれた昔の写真には、まるでジョン・レノンとジャニス・ジョプリンのようなポールとイレーネの姿が。そんな日々があったのに今のポールは酒ばかり飲んで家にいます。いたずら心を起こしたアドリアンは、SNSにポールを登録。ワイルドな昔のバイク仲間から連絡が来るかもと期待します。そんなアドリアンやレアとは違い、テオは徐々にポールになついていきます。ポールもテオの愛らしさに打たれ、うさぎを見せたり畑仕事を手伝わせたりして一緒に過ごすようになります。数日後、レアは村の牛追い祭りを見に行き、そこでチアーゴとキスをします。それを見たポールは激怒し、2人を引き離します。恋の邪魔をする祖父に怒りを抱くレア。孫娘を心配するイレーネは「本当に初恋の相手が彼でいいの?」と尋ねます。
プロヴァンスの休日のネタバレあらすじ:転
ある日のこと。バイクに乗った数人の年配男女がポールを訪ねて来ます。彼らはポールとイレーネの昔の旅仲間で、SNSでポールを見つけ懐かしさのあまりやって来たのです。アドリアンのいたずらだと知って怒るポールでしたが、古い親友のエリ―(ユーゴ・オーフレー)やローレット(シャルロット・ド・デュルケーム)との再会を喜び、一晩中飲んで歌い明かします。酔っぱらい、昔亡くした弟を思い出して涙するポール。レアとアドリアンは知らなかった祖父の一面を垣間見ます。翌朝、エリー達はマガリが経営する簡易宿泊所に泊まることにし、彼らを送って行ったアドリアンはマガリとチアーゴが抱き合っている姿を見てしまいます。その話を聞いたレアはカンカン。一方アドリアンはパソコンで父親と会話しますが、愛情のない無責任な態度に失望します。翌日、悲しみを抱えたアドリアンはポールの前で初めて涙を見せ、ポールも優しく孫を抱きしめます。その後、ポールに嬉しい知らせが届きます。彼が20年も作り続けてきたオリーブ油が品評会で優勝したのです。村では優勝の祭りが開かれ、そこでチアーゴは冷たくなったレアに話しかけます。なんとマガリはチアーゴの姉でした。誤解が解けたレアはチアーゴとキスし、それを見たポールはレアの頬を叩いてしまいます。ショックを受けたレアは旅に出るとイレーネに告げ、チアーゴと共に行方不明になります。
プロヴァンスの休日の結末
孫達の存在で心を入れ替えたポールは、酒を断とうと決心してアドリアンと体力トレーニングを開始します。そんな中、チアーゴがピザ屋をやりながらコカインの売人もしていたという話がポールの耳に入ります。アドリアンがGPSでレアの居場所を調べ、ポールとエリー達もバイクでレアの救出に飛び出します。遠く離れた浜辺のテントの中、LSDを飲まされたレアがぐったりしていました。ポールはチアーゴを猟銃で脅し、無事にレアを連れて帰ります。病院のベッドで目覚めたレア。医者はクスリが抜けるまで2~3日かかると言い、警察に通報しないと約束してくれました。ポールは自分の不甲斐なさを責め、チアーゴと引き離されて怒りを感じていたレアも、ポールに心を許していきます。元気になったレアとポールが2人並んで湖を見ています。「もう恋はたくさんよ」と言うレアを見つめるポールは、イレーヌがかつて弟の恋人だったことを打ち明けます。弟の死後、2人は愛し合うようになったのです。「人生は予測がつかん」。そう言ったポールと手をつなぐレア。3兄姉弟の夏休みが終わりました。孫達をつれたポールは、数年振りに娘のエミリーと再会します。立ちつくすポールの前に、テオがエミリーを引っ張ってきます。「うちへ来い」と言うポール。とまどうエミリーでしたが、長年の親子のわだかまりが少しづつとけていきます。
いつもはフレンドリーなジャン・レノが、気難しい田舎のおじいさんを演じた作品。言葉の話せない、小さな孫との交流が温かいです。二人とも、言葉ということでは不器用だから、通じる部分があるのでしょうか。兄妹と、現地の人たちとの恋、おじいさんの過去の悪友たちが現れたりと、エピソード満載で、ただのほっこりプロヴァンスムービーではなく、ピリリとスパイスがきいています。