なごり雪の紹介:2002年日本映画。大分県臼杵を舞台に、親友から「妻の雪子が事故で死にそうだ、帰って来てくれ」という電話を受け、28年ぶりに臼杵の帰った50歳になる祐作のほろ苦い思い出をつづったドラマです。伊勢正三の名曲「なごり雪」をモチーフにし、途中のセリフに歌詞が挿入されているという作品です。
監督:大林宣彦 出演者:三浦友和(梶村祐作)、須藤温子(雪子)、細山田隆人(祐作・過去)、反田孝幸(水田・過去)、長澤まさみ(水田夏帆)、田中幸太朗(杉田良一)、斉藤梨沙(新谷由梨絵)、日高真弓(槙弘美)、小形雄二(弘美の父)、左時枝(梶村道子)ほか
映画「なごり雪」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「なごり雪」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「なごり雪」解説
この解説記事には映画「なごり雪」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
なごり雪のネタバレあらすじ:起
50歳になる祐作(三浦友和)が目覚めると、妻のとし子が置手紙を置いて家を出ていました。意味もなく遺言を書いていた祐作に電話がかかります。高校時代まで住んでいた大分県臼杵の同級生だった水田(ベンガル)です。水田は「妻の雪子が交通事故で運ばれた。あと少ししか持たないと言われている。帰って来てくれないか?」と言います。翌朝、祐作は列車に乗って28年ぶりに臼杵に向かいます。走る列車の中で祐作は高校時代を思い出します…。
・・・祐作(山田隆人)と水田(反田孝幸)はいつも一緒で、下校中に出くわす中学生の女子に気を魅かれていました。母の道子が手芸店を営む店に、その中学生と友人がやって来ます。留守番をしていた祐作が応対すると、友達の弘美(日高真弓)が雪子(須藤温子)を紹介して祐作に引き合わせます。買い物をする雪子と祐作はお互い自己紹介をし、二人は普通に話すようになります。祐作17歳、雪子が13歳でした。
やがて祐作、水田、雪子、弘美は4人で行動するようになりますが、弘美の家が北海道に引っ越すことになり、4人は駅のホームで別れを惜しみます。そのころ、学校で一番頭が良くて、テニス部のエースが由梨絵(斎藤梨沙)に片思いしていましたが、由梨絵は祐作の事が好きでした。
このことで杉田が祐作に決闘を申し込んできます。由梨絵に対して好意を持っていなかった祐作ですが、水田に煽られて決闘し、ことごとく負けてしまいます。そのことを由梨絵に「私はモノじゃない」と責められ、由梨絵は離れて行きました・・・。
なごり雪のネタバレあらすじ:承
28年ぶりに臼杵駅に着いた祐作を待っていたのは水田でした。車に乗ると水田が「雪子はミニバイクで転倒して病院に運ばれた。時間が少ないので会ってやってくれ」と言って病室に入ります。その病院は杉田病院で、あの決闘した杉田が院長で由梨絵が夫人でした。中には水田と雪子の娘の夏帆(長澤まさみ)がいました。雪子は包帯でぐるぐる巻きで顔は見えませんでした。
・・・祐作が臼杵を離れる日、雪子は見送りに来ていませんでした。前夜、カミソリ自殺しようとした雪子を水田が見つけて止めに入っていました。そんなこともあり、別れぎわ水田が「オレが雪子を守る」と言います。祐作の横には、後に妻になるとし子(宝生舞)もいました・・・。
祐作は雪子の姿を見ながらそんなことを思い出していました。
・・・雪子の15歳の誕生日、雪子の高校進学と祐作の大学合格祝いも兼ねて、祐作の家でパーティーが開かれます。雪子には、いっぱい写真を撮って貼りつけてとアルバムを、祐作には雪子に手紙を書いてと万年筆が贈られました。夜遅くなり、祐作と水田が雪子を家まで送ります。雪子は「部屋の前で待ってて」と言います。しばらくすると「雪が降ると私にいいことがあるんだ」と言って、発泡ビーズを雪に見立てて、思いっきり降らせます。
大学で東京に行った祐作が、夏休みに帰って来ます。水田と雪子が出迎えますが、母は暑いからと来ていませんでした。この日、祐作は東京とのギャップを感じ、母の体の具合を懸念し始めていました・・・。
なごり雪のネタバレあらすじ:転
水田の家で泊まった翌朝、祐作が病室に行くと、水田から雪子のアルバムを渡されます。中を見ると祐作の映った写真が全て剥がされていました。
・・・夏休みの終わり近く、雪子が祐作に「私も祐作を追いかけて東京の大学に行きたい。でも家族が反対するから普通に結婚しようかな?水田君ならもらってくれるかな?」と精いっぱいの告白をしますが、祐作は何も言えませんでした。
祐作が東京に帰る日、雪子が「冬に東京に3日間会いに行く。1日目は祐作の大学に行って、2日目は私の手料理、3日目の帰りは雪が降る駅で私を見送ってほしい」と言いました。そう言っていた冬に雪子は東京に行かず、祐作は冬も春も帰って来ませんでした。
その夏、祐作が帰って来ました。出迎えた水田と雪子の前にとし子が降り立ちます。祐作はゼミで一緒に勉強するとし子さんだ。臼杵の歴史に触れたいというから、一緒に来た」と言います。水田と雪子は凍りつきます。
妹のような存在だと雪子の事をとし子に話していたこともあり、とし子は雪子に普通に接します。しかし雪子には二人は恋人同士にしか見えませんでした。水田は祐作に「なんであんなことをしたんだ、雪子は祐作に恋し、オレは雪子に恋している。わかるんだ」と責めますが、祐作は何も言いませんでした。
4人で海に泳ぎに行った日、とし子が「冬と春も一緒にゼミをすることになっている」と話したことから、その場は静まり返ります。祐作が東京に帰る日、雪子は「冬はあきらめた、夏は帰って来て。去年よりきれいになっているから」と言って見送りました・・・・。
なごり雪の結末
水田は祐作を、道子がやっていた手芸店に連れて行きます。店は水田が買い取り、雪子が発泡ビーズを使った『雪枕』を作っていました。祐作は「雪子はこの発泡ビーズをあの日に降らせたんだ」とつぶやきます。
・・・とし子とゼミに行く予定の冬、水田から祐作に「お前のお母さんが倒れた」と電話が入ります。急いで帰ってきた祐作でしたが、すでに母は死んでいました。葬儀の日、とし子がやって来ます。とし子は雪子の前で「お母さんは私にとっても大切な人だった」と言います。
夜遅くなり、雪子を家まで送るため、4人は夜道を歩きました。雪子は空を見上げてながら一言もしゃべらず、泣きながら家に入ります。嫌な予感がした水田が家に入ると、雪子がカミソリを持っていました。水田が止めに入り騒動をおさめていると、祐作もやって来ます。雪子は「違う、違う」と言いながら飛び出します。翌日、祐作ととし子が帰る日、雪子は来ませんでした、水田は「オレが雪子を守る」と言うと、祐作は「頼む」と言いました・・・。
水田の家で、祐作はあの日、雪子の発泡ビーズの枕に血が付いていた事を思い出し、「雪子は自殺じゃない、枕を切って発泡ビーズで雪を降らそうとしていたんだ」と言います。二人の前にあの日の雪子が現れます。祐作と水田に「そう雪を降らそうとしていたの」と言います。
その時、夏帆から電話が入り、雪子は消えました。病室へ入るとすでに雪子は息を引き取っていました。水田は雪子の枕を『雪の枕』に入れ替えて泣きました。
葬儀が終わり東京へ帰る祐作を水田が見送ります。祐作は「28年前の夏、雪子と春に戻ってくる約束をしていた。その時に春が来て君は綺麗になった、去年より綺麗になったと言うつもりだった」話すのでした。
以上、映画「なごり雪」のあらすじと結末でした。
この映画の感想を投稿する