ナポレオンの紹介:2023年アメリカ映画。『エイリアン』『ブレードランナー』『グラディエーター』などで知られるリドリー・スコット監督が、ファンだというスタンリー・キューブリック監督が果たせなかった悲願であるナポレオンの人生を映画化。ナポレオン役には『ジョーカー』で第92回アカデミー賞主演男優賞に輝いたホアキン・フェニックス。その妻ジョゼフィーヌには『ミッション:インポッシブル』シリーズでホワイト・ウィドウを演じるバネッサ・カービーが挑んだ。
監督: リドリー・スコット 出演:ホアキン・フェニックス(ナポレオン)、バネッサ・カービー(ジョゼフィーヌ)、タハール・ラヒム(ポール・バラス)、マーク・ボナー(ジャン=アンドシュ・ジュノー)、ユーセフ・カーコア(ルイ=ニコラ・ダヴー元帥)、ベン・マイルズ(アルマン・ド・コランクール)、リュディヴィーヌ・サニエ(テレーズ・カバリュス(タリアン夫人))、ジョン・ホリングワース(ミシェル・ネイ元帥)、マシュー・ニーダム(リュシアン・ボナパルト)、エドゥアール・フィリポナ(アレクサンドル1世)、ポール・リス(タレーラン)、フィル・コーンウェル(処刑人・サンソン)、イアン・マクニース(ルイ18世)、キャサリン・ウォーカー(マリー・アントワネット)、アンナ・マウン(マリー・ルイーズ)、スコット・ハンディ(ベルティエ元帥)、ギャビン・スポーク(ムーラン将軍)、ダヴィデ・トゥッチ(ルイ=ラザール・オッシュ)、サム・クレーン(画家・ジャック=ルイ・ダヴィッド)、ルパート・エベレット(ウェリントン公爵)、ジュリアン・リンド=タット(シェイエス)ほか
映画「ナポレオン(2023年)」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ナポレオン(2023年)」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「ナポレオン(2023年)」解説
この解説記事には映画「ナポレオン(2023年)」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ナポレオンのネタバレあらすじ:起
1789年。フランス革命が始まり王妃マリー・アントワネットは公開処刑されました。一介の軍人だったナポレオンは、国民公会の議員ポール・バラスの命を受け南フランスの港湾都市トゥーロンの奪還に向かいます。ナポレオンは夜、敵のイギリス・スペイン軍が酔って油断している隙をついて奇襲を仕掛け、砦の上の大砲を奪い沖合に停泊していたイギリス海軍の艦隊を砲撃して大勝利をおさめます。
一方パリでは公安委員会のロベスピエールが議会で人々を煽り、不満分子を不当逮捕して処刑する恐怖政治をおこなっています。バラスらはロベスピエールを糾弾して逮捕し、処刑台に送って恐怖政治を終わらせました。
パーティーで美しいひとりの女性に惹かれたナポレオン。後日彼女の方から接触があり、子どもがふたりいる未亡人ジョゼフィーヌだということがわかります。ナポレオンは彼女に誘われて有頂天になり、たちまち魅了されてしまいます。
1795年10月5日。パリでは王党派の反乱がおきますが、国内司令官に任命されたバラスの副官となっていたナポレオンは大砲を使ってこれを鎮圧し名を上げます。
晴れてジョゼフィーヌと結婚したナポレオンは妻に夢中ですが、奔放な彼女は以前と変わらず男性と親密そうに話しています。
1798年7月。イタリアを攻略したナポレオンはエジプトに遠征します。彼は愛しい妻にせっせと手紙を書きますが返事は来ません。妻が浮気をしていると知らされたナポレオンは急遽フランスに帰国します。ナポレオンの手紙は敵に奪われて流出、妻の浮気とともに新聞のネタになってしまい彼は怒り心頭です。
ナポレオンは屋敷に戻り妻の荷物を外に放り出してジョゼフィーヌを閉め出します。泣いて謝るジョゼフィーヌを屋敷に入れたナポレオンは、自分は他の男と違うと言います。ジョゼフィーヌも自分の魅力や人脈という武器を自覚しており、私がいなければあなたはただの男だとナポレオンに返します。そして翌朝、「許さなくてもいいからそばに置いて」とすがるジョゼフィーヌをナポレオンは受け入れます。
ナポレオンのネタバレあらすじ:承
許可なくエジプトから戻ってきたナポレオンを総裁政府メンバーは「敵前逃亡だ」と非難しますが、逆にフランス国内の惨状を指摘され誰も反論できません。
総裁のシェイエスにそそのかされたナポレオンはクーデターを起こし、かつての上官バラスやムーランらを更迭します。それまで彼ら五人の総裁で治めていた体制を三人に減らし、弟リュシアンが議長をつとめる五百人議会で武力を用いて新体制を認めさせました。そして第一統領となったナポレオンはジョゼフィーヌとともにリュクサンブール宮殿に住まいを移します。
列強の動きが気になるナポレオンは外交官のコランクールに命じてロシア皇帝について探りを入れます。外務大臣のタレーランは密かにーストリアに接触し和平を持ち掛けますが、ナポレオン自ら和平を申し入れたイギリスからは返事が来ず、やってきた駐仏大使に暴言を吐いてしまいます。タレーランに「あなたが王になるべきだ」と進言されたナポレオンはそれについて考え始めます。そんな中、ジョゼフィーヌにいつまで経っても子どもができないことを気にしていたナポレオンは彼女を責め、そしてすぐにまた抱きしめるのでした。
1804年7月12日、ノートルダム大聖堂にてナポレオンの戴冠式が執り行われました。ナポレオンはローマ教皇から王冠を奪い取ると自らそれを頭に乗せ、ジョゼフィーヌにも自分で皇后の冠を被せます。そうして彼はフランスの皇帝となりました。
しかしその後もジョゼフィーヌには子どもができず、母親にけしかけられたナポレオンは「今夜子どもを授からなければ離婚する」と宣言してしまいますがそれでも事態は変わりません。
1805年12月2日。ロシアとオーストリアの連合軍と闘っていたナポレオン率いるフランス軍はアウステルリッツにて敵を待ち受けます。平地を囲む山中に半数の軍勢を潜ませたナポレオン。敵軍は平地に野営するフランス軍に向け進軍しますが、潜んでいた残りの軍勢に側面から攻撃され劣勢に。たたみかけるようにナポレオンが砲撃すると、なんと平地だと思われたその場所は凍った湖の上で、砲弾によって氷が割れ人馬もろとも凍てつく湖に飲み込まれてしまいました。この勝利によってナポレオンはオーストリアに不利な条件で講和条約を結ぶのでした。
ナポレオンのネタバレあらすじ:転
ナポレオンの母親は彼に18歳の愛人をあてがいます。その娘が妊娠し、いよいよジョゼフィーヌの立場は危うくなりますが、ナポレオンは妻の子ということにできないかと思いつめてしまいます。しかしそんな思いもむなしくふたりは婚姻解消の儀式を行うことに。不本意ながらジョゼフィーヌは離婚を受け入れマルメゾン城へと居を移します。
離婚後もナポレオンは寂しくなるとマルメゾン城を訪れ、元妻と過ごしていました。
そんな中、彼は自らの地位を盤石なものとするために由緒正しい家柄の女性との再婚を望むようになります。側近のタレーランが白羽の矢を立てたのがかつての敵国オーストリア皇帝フランツ1世の長女マリー・ルイーズでした。結婚したマリーはその後息子を生み、ナポレオンはその子を見せにマルメゾン城へとやってきますが、ジョゼフィーヌはその子を抱きながら複雑な表情を浮かべるのでした。
1812年6月、ナポレオンはロシア遠征を開始しますが、後方支援が滞りがちなフランス軍は物資不足と現地の抵抗勢力に悩まされ苦戦を強いられます。9月のボロジノの戦いでロシア軍を戦略的撤退に追い込んだもののフランス軍も離脱者が後を絶たず、ナポレオン自ら士気を高めながらようやく首都モスクワへとたどり着きました。しかしそこに人影はなく、敵が火を放ったため首都は焼失。あてにしていた物資も得られず冬のモスクワに取り残されたナポレオンは敵に追撃されながら逃げ帰り、ロシア遠征は大失敗に終わりました。
1814年5月。責任を取って退位させられたナポレオンはイタリアのエルバ島領主としてフランスを追放されます。そこで歓迎を受けるナポレオンでしたが、いまだに愛してやまないジョゼフィーヌのもとへロシア皇帝アレクサンドル1世がやってきたという新聞記事を読み激怒。フランスに戻る決心をします。
抵抗する意思のない船乗りに命じてフランスへ上陸し、伏して砂浜にキスをするナポレオン。しかしそのころジョゼフィーヌは胸のむくみと喉の痛みに悩まされ、病に伏していました。
ナポレオンの結末
かつてのカリスマ皇帝ナポレオンに従う者は多く、次第に勢力を増しながらマルメゾン城へと向かうナポレオン。立ちはだかる軍に堂々と立ち向かうナポレオンに寝返るものも多く、あっという間に大きなナポレオン軍が出来上がります。
しかし、愛しい妻のいるマルメゾン城に着いたナポレオンを迎えたのは、母の死を告げるジョゼフィーヌの娘オルタンスだけでした。
1815年3月、ウィーン会議でイギリスのウェリントン公爵は各国と協力してナポレオンを討つことを確認。一方のナポレオンはワーテルローを決戦の地に選び、作戦を立てます。
雨の降りしきる中、ナポレオンはプロイセンが合流する前に決着をつけようと目論んでいました。草原を隔ててにらみ合うナポレオンとウェリントン。雨があがりナポレオンは砲撃を開始します。隊列を乱さないように前進するナポレオン軍と砲撃でそれを崩そうとするイギリス軍。プロイセンの合流を前にナポレオンは騎兵隊での突撃を指示しますが、その顔に覇気はありません。
対するイギリス軍は歩兵隊を前進させると方陣をつくり、周りを回るナポレオンの騎兵隊を銃撃します。苦戦を強いられるナポレオンは歩兵隊に銃剣攻撃を指示します。戦況を物憂げな表情で見ていたナポレオンが馬にまたがったそのとき、プロイセン軍合流の情報がもたらされました。ウンザリしたような顔で戦場に出たナポレオンは「降伏はしない」と言いながらもまともに戦えず、トレードマークの帽子に銃弾を受け、結局降参しました。
1815年7月。イギリス海軍のベレロフォン号に乗せられたナポレオンは、ウェリントン公から亡命を断られ、セントヘレナ島への流刑を告げられます。同年10月、数人の監視付きでセントヘレナ島へ流されたナポレオンは、ジョゼフィーヌを思いながらその6年後に亡くなりました。
彼が率いた戦いで戦死した兵士の数、300万人以上。そんな彼の最期の言葉は「フランス…、陸軍…、ジョゼフィーヌ」でした。
以上、映画「ナポレオン」のあらすじと結末でした。
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