楢山節考の紹介:1983年日本映画。深沢七郎原作。「結婚できるのは長男だけ」「70歳を超えた老人は『楢山参り』へ行く」などの厳しい掟がある、貧しい村が舞台。楢山参りに行く年齢になった老女と、その家族や村の人々の物語です。
監督:今村昌平 出演:緒形拳(辰平)、坂本スミ子(おりん)、あき竹城(玉やん)、倉崎青児(けさ吉)、左とん平(利助)、ほか
映画「楢山節考 (1983)」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「楢山節考 (1983)」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「楢山節考 (1983)」解説
この解説記事には映画「楢山節考 (1983)」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
楢山節考のネタバレあらすじ:起
雪深い、貧しい小さな村。家に帰ってきた辰平は、藁で筵を編む母親おりんの傍らでワラジを編み始めます。辰平の長男、けさ吉は69歳になっても歯が丈夫なおりんをからかいます。「長男しか結婚できない」という村の掟で、ヤッコ(農家の下男)として馬屋に住む辰平の弟、利助が、家の田んぼで嬰児の遺体を見つけます。妊婦の嫁がいたおかねの家に文句を言いに行くと、おかねは病で、おかねの長男、欣やんから、おかねの棺桶を作るよう頼まれます。妻を亡くしていた辰平に、再婚話が持ち上がります。辰平が15歳の時、父の利平は失踪しました。それは生まれたばかりの女児を売ったうえに、利平の母親の楢山参りが辛くて逃げたためで、村の恥さらしと言われています。銭家の家では、勝手に鶏を絞めようとした70歳近い父親が、縄で縛られていました。おかねの見舞いに行ったおりんは、病気を愚痴るおかねに、この年で丈夫なのは生き恥さらしと自嘲します。辰平がおかねの棺桶を作って持っていくと、おかねはしらはぎ様(白米)を食べて回復し、元気に働いていました。夏になると、他の村から辰平の後妻、玉やんが来ました。玉やんは図体がでかく健康で、よく働き、気立ても良く、もうすぐ御山に行くと言うおりんに、ゆっくりでいいと言います。
楢山節考のネタバレあらすじ:承
おりんはこっそり臼に当てて歯を折り、もう歯が駄目になったので御山に行くと血だらけの口で笑って言います。新屋敷では、死ぬ間際の親爺がおえいに、先代が夜這いに来たヤッコを殺した為にヤッコの祟りで家が傾いた、罪滅ぼしに村のヤッコを一晩ずつ相手にするように、と言い残します。松やんが、けさ吉の子を妊娠、けさ吉の嫁になりますが、あまり働かないばかりか、ある晩、穀物を盗み、実家に運ぶのが見つかり、辰平にひどく怒られます。この村では食物を盗む事は、重罪でした。子沢山で食料が足りない松やんの実家、雨屋は、度々こっそり食物を盗んでおり、それが村人の知るところとなりました。先代もそうだった、雨屋は泥棒の血筋だと、村のみんなは憤ります。ある日、おりんは松やんに芋を持たせ、泊まってきていいぞと雨屋に帰らせます。松やんが、実家の両親と共に幼い兄弟に喜んで、その芋を食べさせているとことろを村人たちは急襲し、家族全員森の中の大きな穴に放り込み、生き埋めにします。
楢山節考のネタバレあらすじ:転
辰平が帰宅すると、おりんが「この冬おらぁ御山に行くだよ」と言います。玉やんは口が一つ減ったからこの冬くらい越せると言いますが、おりんはねずみっ子(子供)はまたすぐできると答えます。利助はおえいが他のヤッコと消えるのを見て、順番を飛ばされたと、泣いて荒れます。おりんは利助の相手をおかねに頼みます。翌朝、おりんは「明日楢山に行く」と言います。辰平は、おりんに、15歳の時、熊撃ちに行った帰りに、祖母の楢山まいりに消極的な父と喧嘩になり、撃ち殺し、遺体を埋めたと告白します。おりんは、殺したのは山の神様だ、誰にも言うなとくぎを刺します。おりんは玉やんに、秘密の山女魚の釣り場を教えます。夜、楢山まいりの儀式が始まります。「山に入ったらものを言わぬこと」「家を出る時は誰にも見られぬこと」「山から帰る時はけして振り向かぬこと」という決めごとと、どうしても無理なら“馬の背”で帰っても良いと教わります。
楢山節考の結末
夜が明けきらないうちに、おりんは辰平に負ぶわれて家を出ます。辰平は黙々と山道を歩き続けます。ご先祖様もここを通った、あと25年でおらは、けさ吉に背負われて行き、また25年すればけさ吉が行くと笑い、頂上に本当に山の神様がいるなら、楢山節の歌のとおり、雪を降らしてくれりゃいい、と言います。さらに険しい山道を進み、無数の骸骨が散らばる場所に着きます。おりんは、背中から降りようとしますが、辰平がなかなか降ろしません。やっとのことで降ろさせ、何度も押し返す辰平に握り飯の包みを渡します。辰平は泣き、おりんに抱きつきます。なかなか去ろうとしない辰平を、おりんは突き放し、辰平は呆然としたまま振り返らず去ります。辰平が深い谷まで戻ると、又やんと忠やんがいました。すがりついて泣きわめく又やんを、「御山に行ってくれ!」と忠やんは谷底へ突き落とし、忠やんは谷に手を合わせ、逃げ去りました。そしてその時雪が降りました。辰平は、おりんのところへ駆け戻り、きちんと座り目を閉じて手を合わせているおりんに、「おっかあ!雪が降ってきたよぅ!」と叫びます。そして、戻っていきます。辰平が村に戻ると、すでに雪が降り積もっていました。玉やんが食事の支度をする横で、けさ吉の新しい女房が顔を出します。辰平はその女の腹と、玉やんの腹に目をやり、雪の中で手を合わせるおりんを思い出し、ため息をつきます。利助は、楢山まいりの歌を歌っています。
楢山節考は昔の話だと、若いとき思っていました。何という残酷な話な何だろうと思って両親から聞きました。でも、90歳を超えた、認知症の母を施設のお世話に今日からなってみて、昨日から、母は、静かに、寂しいと涙を流してるのを見て本当に現代の楢山節考のようなきがしました。