ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂの紹介:2007年日本映画。第5回角川学園小説大賞特別賞を受賞した小説家・滝本竜彦のデビュー作を実写映画化した異色の青春ドラマです。代わり映えのない日常を送っていた男子高生が、正体不明のチェーンソー男と戦う女子高生との出会い頭をきっかけに日常を大きく変えていく様を描きます。
監督:北村拓司 出演:市原隼人(山本陽介)、関めぐみ(雪崎絵里)、浅利陽介(渡辺)、三浦春馬(能登)、野波麻帆(裕美)、板尾創路(加藤先生)、堀井茶渡(C組の港)、坂田直貴(D組の鳥越)、佐藤佐吉(市場の肉屋・店長)、木口亜矢(ファミレスのウェイトレス)、赤嶺星奈(少女時代の雪崎絵里)、新上博巳(チェーンソー男)ほか
映画「ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂの予告編 動画
映画「ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ」解説
この解説記事には映画「ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂのネタバレあらすじ:起
寝静まったように静かだった夜の町。そこに黒いフードで顔を隠し、チェーンソーを構えた謎の男(新上博巳)が現れました。そんなチェーンソー男の前に立ちはだかったのは、謎の女子高生・雪崎絵里(関めぐみ)でした…。
平凡な男子高生・山本陽介(市原隼人)は、学校の帰り道に立ち寄った市場で肉屋の肉を万引きしました。山本は追っ手を振り切り、とある公園に辿り着いた頃には既に夜になっていました。満月の下、山本は公園の池の付近で一人佇む女子高生・絵里を見つけ、思わず声をかけてみました。
すると、絵里は「私に関わらないで。関わると、死ぬよ」と突き放しました。すると山本の目の前にはチェーンソーを持った謎の男が現れ、絵里は木刀を手にチェーンソー男と闘い始めました。
絵里は驚異的な身体能力を見せつけ、チェーンソー男相手に互角の闘いを繰り広げました。最初は自分も殺されるかと怯えていた山本でしたが、絵里を助けようと万引きした肉をチェーンソー男の顔めがけて投げつけました。絵里は隠し持っていた手裏剣を男の胸元へ投げつけ、チェーンソー男は闘いを放棄していずこへと去っていきました。
山本は警察に通報しようとしましたが、絵里はチェーンソー男のことなど誰も信じてくれないと制しました。学生寮に戻った山本は親友の渡辺(浅利陽介)に絵里の話をしましたが、やはり渡辺も信じようとはしませんでした。
それでも山本は渡辺に「女のために命を懸けるっていいんじゃないか。それが能登を超えるってことだよな」と語りかけました。山本の脳裏には、バイク事故で命を落とした親友の能登(三浦春馬)の姿が浮かんでいました。
ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂのネタバレあらすじ:承
山本と渡辺、そして能登はいつも一緒につるみ、一緒にバンド「俺さまーズ」を組んで活動していました。生前の能登は普段はクールに決め込んでいましたが、いざとなると熱血漢へと早変わりする男でした。生きる意味を見出せず、何をやっても中途半端で長続きしなかった山本にとっては能登は憧れの存在でした。
能登が死んでからはますます生きる意味を見失っていた山本でしたが、絵里との出会いを通じて山本の中で何かが変わり始めていました。
山本は意を決して、絵里と共にチェーンソー男と闘う決心をしました。山本は絵里の通う学校で待ち伏せしました。最初のうちは絵里は山本のなれなれしい態度に不信感を抱いていましたが、仕方なくチェーンソー男と初めて対峙した時のことを語り始めました。
それは1ヶ月前のこと。絵里が一人で夜の産業道路にいたところ、突然チェーンソー男が現れました。男の出現と共になぜか絵里の身体能力もひらりと宙を舞える程に向上しており、絵里は逃げるどころか自分がこのチェーンソー男を倒すのだという使命感に駆られました。
それからというもの、絵里は毎晩のようにチェーンソー男と闘い続けてきたのですが、山本はそんな絵里の表情がどこか悲しげであることに気付きました。
山本は絵里に、自分もチェーンソー男との闘いに協力させてほしいと懇願しました。当初は山本を信用していなかった絵里でしたが、仕方なく山本を同行させることにしました。その日の夜から、山本は早速絵里と共にチェーンソー男と対峙しましたが、何もできずにただ震え上がるだけでした。
しかし、山本は産業道路、飛び込み台のあるプール、遊園地と場所を変えながらチェーンソー男と闘う絵里についていき、絵里もまた毎日の学校帰りに迎えに来てくれる山本に対して少しづつ心を開いていくようになっていきました。
絵里の誕生日の日、山本は絵里に昔のくノ一(女忍者)が身にまとうような鎖かたびらをプレゼントしました。その夜も山本は絵里の闘いに同行し、なぜそこまでして自分と付き合ってくれるのかと問う絵里に対して「能登を越えたいからだ」と明かしました。
ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂのネタバレあらすじ:転
山本は毎日のように門限破りをしていることを寮長の裕美(野波麻帆)に咎められました。しかし、裕美は山本の心境の変化に気付いており、「気をつけなさい。楽しい時はあっという間に終わるから浮かれ過ぎないように」と忠告しました。
そんなある日、山本は絵里から家で一緒に夕食を食べないかと誘われましたが、彼女の家族に悪いと思って断ってしまいました。その直後、山本の元に札幌で働いている父から電話があり、事業が軌道に乗ったので山本も札幌で暮らさないかと持ち掛けられました。山本は身勝手な父の言い分に反発しましたが、どうすることもできませんでした。
翌日、山本は絵里に、札幌に引っ越すことを伝えました。絵里は気持ちを押し殺し、もうチェーンソー男もだいぶ弱くなっているので山本がいなくても大丈夫だと強がりました。その夜、絵里と山本は江戸の町並みを再現したテーマパークでチェーンソー男と対峙しました。ところが、チェーンソー男は弱くなっているどころかますます強くなっており、さすがの絵里も苦戦を強いられました。
その時、山本の心の中には、自分もチェーンソー男と闘って華々しく死ねば能登を追い越すことができるという思いがより一層強くなっていました。山本は意を決してチェーンソー男に立ち向かいましたが、寸前で絵里に蹴られて気絶してしまいました。
意識を取り戻した山本は、自分がまだ生きていることに気がつきました。絵里は山本が死んでしまっては意味がないと、山本を止めた理由を語ると、自分一人でチェーンソー男と闘い続ける決意を新たにしました。
絵里は山本を初めて自宅に招き入れました。実は絵里の家族は彼女を残して全員交通事故死しており、絵里は天涯孤独の身となっていたのです。チェーンソー男が現れたのはその頃からであり、男と対決した場所はいずれも家族との思い出の場所ばかりでした。チェーンソー男はまさしく絵里の心の中に芽生えた闇を象徴しているかのようであり、絵里は自分が悲しめば悲しむほどチェーンソー男は強さを増していき、チェーンソー男を倒さない限り自分の悲しみは消えることはないと語りました。
絵里の家を後にした山本は能登が事故を起こした現場のカーブに花を手向け、明け方近くに寮に戻りました。
ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂの結末
この日はいよいよ山本が札幌へと旅立つ日であり、既に荷支度は済んでいました。渡辺は能登や山本と一緒に作っていた曲「根性なし」を完成されていました。「それでいいのか? 諦めちまった自分が嫌じゃねえのか? この根性なしが!」―――この曲の歌詞を書いたのは能登でした。これまで能登と一緒に過ごした日々を振り返った山本は能登の想いを受け止め、絵里に別れを告げるため彼女が通う学校へと向かいました。
しかし、その日は絵里は学校を休んでおり、山本は絵里の家に行ってみました。そこには絵里の残した書き置きがあり、山本への想いと共にチェーンソー男と今度こそ決着をつけるという強い意志が綴られていました。
山本は学校の担任の加藤先生(板尾創路)からバイクを借り、絵里と初めて出会った場所である公園へと急ぎました。その途中、山本の背後からバイクに乗った能登の幻影が近づき、山本はしばしの間能登と一緒に走りました。能登は「俺は最後まで逃げなかった」と告げると山本を追い越していき、自分も決して逃げないことを誓った山本は能登の事故現場のカーブを駆け抜けていきました。
夜になり、山本が公園に辿り着くと、絵里はチェーンソー男の前に絶体絶命のピンチに陥っていました。チェーンソー男は満身創痍の絵里にとどめを刺すべく彼女の胸元をチェーンソーで抉り、思い切り突き飛ばしました。「絵里ちゃんを助けて俺は死ぬ。それが最高のエンディングだ」―――山本はバイクのアクセルを吹かし、「今すぐ俺を殺してくれ!」とバイクでチェーンソー男に突撃していきました。
バイクは破壊され、山本はチェーンソー男に首を絞められましたが、チェーンソー男は「お前の望みは叶えない」と呟き、山本から手を放しました。次の瞬間、チェーンソー男の心臓が急激に脈打ち始め、チェーンソー男の体は大爆発を起こして粉々に砕け散りました―――。
―――意識を失った山本は、バイクに乗って走り去る能登の幻影を見ていました。能登は去り際に、山本に「お前は俺を永遠に追い越せない。お前はあの娘とダラダラと、幸せに生き続けていくんだ」と言い残しました―――。
―――意識の戻った山本が絵里の元に駆け寄ると、絵里は中に山本がプレゼントした鎖かたびらを着ており、一命を取り留めていました。山本は絵里を抱きかかえると、「俺は絵里ちゃんとダラダラ楽しく生き続けてやるよ。 生きてる俺が羨ましいだろ?」と能登に語りかけるように思いを口にしました。
山本は加藤先生にボロボロになったバイクを返し、札幌行きを取りやめることにしました。山本は絵里と夕日の海辺を歩きながら、「チェーンソー男がいなくなっても、きっと悲しいことはなくならない。でも、それがどうした?とも思う」と絵里と一緒に生きていく決意を新たにしていました。
以上、映画「ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ」のあらすじと結末でした。
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