百万円と苦虫女の紹介:2008年日本映画。主人公の鈴子(蒼井優)がひょんなことから前科持ちになってしまい、実家を離れて誰も知らないところで暮らしたいと実家を離れる。そして100万円が貯まる度に次の土地へと渡り歩く姿を描いた青春ロードムービー。
監督:タナダユキ 出演者:蒼井優(佐藤鈴子)、森山未來(中島亮平)、ピエール瀧(藤井春夫)、竹財輝之助(ユウキ)、齋藤隆成(佐藤拓也)、笹野高史(白石)、佐々木すみ江(藤井絹)、ほか
映画「百万円と苦虫女」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「百万円と苦虫女」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
百万円と苦虫女の予告編 動画
映画「百万円と苦虫女」解説
この解説記事には映画「百万円と苦虫女」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
百万円と苦虫女のネタバレあらすじ:起
佐藤鈴子(蒼井優)は短大卒業後、就職に失敗し、レストランでバイトをする日々を送っていました。ある日、友人のリコ(平岩紙)からルームシェアを持ちかけられ、鈴子は実家を出てリコとともに暮らす事になります。しかしリコは鈴子に黙って彼氏(弓削智久)も同居させると言い始め、リコの彼氏は転居先に先に引っ越すことになると告げるのでした。
引っ越す日を迎えた鈴子ですが、なんと直前になってリコとその彼氏が別れてしまい、リコとは一緒に住めなくなったことが判明します。転居先には鈴子とリコの元彼氏だけが残される形となり、ひとりでは家賃を払えないと言うその男と鈴子はしばらく同居することになります。
ある日、鈴子が道端に捨てられていた子猫を拾って飼って帰ると、同居していた男は鈴子の留守中に子猫を捨ててしまいます。怒った鈴子は男の荷物を無断で廃棄し、それを警察沙汰にされたことで拘置所へ送られてしまうのでした。
出所後、鈴子は実家の団地に戻りますが、ご馳走が並べられたテーブルで腫れ物に触るように接する両親と、頭が良く私立中学校を目指している弟(齋藤隆成)から前科者として疎ましく思われてしまったことで居心地が悪くなり、「100万円貯まったら出て行きます!」と宣言するのでした。
百万円と苦虫女のネタバレあらすじ:承
鈴子は仕事を掛け持ちして100万円を貯めると、海辺の町へ引っ越すことに決めます。最低限の荷物だけを持って引越しをした鈴子は部屋に自作のカーテンを取り付けると、近くの浜辺にある海の家でのバイトを始めるのでした。海の家でのバイトは初めてでしたが、鈴子はカキ氷作りの才能を店主(斎藤歩)から認められ、順調に仕事をこなすようになっていました。
ある日、海に遊びに来た地元の青年ユウキ(竹財輝之助)に声をかけられ、気乗りしないままパーティに参加する鈴子にユウキはアプローチをします。しかし100万円を貯めたら次の場所に引っ越すと決めていた鈴子は、そのまま海辺の街を後にするのでした。
鈴子が次にたどり着いたのは、山間部のとある村でした。ふらっと寄った喫茶店のマスター(笹野高史)に桃農家を紹介され、住み込みで働く事になった鈴子は、女性慣れはしてないが心優しい晴夫(ピエール瀧)と、同じく優しい母親(佐々木すみ江)に迎えられ、農家のお手伝いとして住み込みのアルバイトを始めるのでした。
鈴子は桃の扱いを褒められ、仕事も順調でした。しかし、仕事を紹介してくれた喫茶店のマスターから、村興しのための“桃娘”を頼まれてしまい、鈴子の意思とは関係なくどんどん話が進んでしまいます。鈴子は改めて桃娘を辞退したいと伝えますが、村人からよそ者として非難されてしまうのでした。
鈴子はたまらず自分が前科者である事を村人に告げて、その場から去っていきます。村に居づらくなった鈴子は晴夫や農家の人に挨拶をして、村を後にするのでした。
百万円と苦虫女のネタバレあらすじ:転
次に鈴子がたどり着いたのは、東京からほど近い地方都市でした。ホームセンターのガーデニングコーナーで働き始めた鈴子は先輩店員の中島亮平(森山未來)と出会い、同い年で大学生だという彼から仕事について教わります。
控えめで真面目な青年である中島に自然と心を開くようになっていった鈴子は、一緒にお茶を飲んだ際にひょんなことから自分が前科者になってしまったこと、自分から逃げるために100万円を貯めては別の場所に引っ越しをしている事を打ち明けるのでした。話しているうちにいたたまれなくなり、逃げるように喫茶店をあとにする鈴子を中島は慌てて追いかけていきます。
前科者であることを話したことで軽蔑されるのではと恐れていた鈴子ですが、中島はそのようなことはなく、鈴子を引き留めると「好きです」と自分の想いを伝えるのでした。鈴子は中島の家へ行き、彼のために夕食を作ることになります。
ほどなく二人は付き合い始め、幸せな日々が過ぎていくのでした。
百万円と苦虫女の結末
二人が付き合い始めてしばらくすると、ガーデニングコーナーに新しいアルバイトが入って来ます。中島と同じ大学の学生だという女性アルバイト(悠城早矢)で、彼女が中島から指導を受けているのを鈴子は気になっている様子でした。また、いつの間にか中島は鈴子に金の無心をするようになり、鈴子は不信感を募らせていきます。
ある日、鈴子は中島に自分のことが好きなのかと問い、お金があるから付き合っているのではないかと話し、中島に別れを告げるのでした。
鈴子は学校でいじめを受けているという弟からの手紙を読んで、彼がいじめっ子に立ち向かったことや、環境を変えながらも変われていない自分に涙します。鈴子は自らを奮い立たせ、新しい環境で地に足をつけて生きていくことを決意するのでした。
バイト先で挨拶を済ませ、去って行こうとする鈴子に、中島は借りていたお金を返します。中島は鈴子がこの街から去ってしまわないように、わざとお金を借りていたのでした。そのことを告げることなく見送ってしまった中島は、自転車を走らせて駅まで鈴子を追いかけていきます。
鈴子の姿は見当たらず、あきらめて帰ろうとする中島の近くには、荷物を抱えて駅の階段を上がっている鈴子の姿がありました。彼の存在を感じて一瞬振り返る鈴子でしたが、すぐに前を向きなおし、次の目的地へと歩いていくのでした。
以上、映画「百万円と苦虫女」のあらすじと結末でした。
「百万円と苦虫女」感想・レビュー
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百万円貯まるごとに知らない町に引っ越すという、なかなか興味深い設定です。時間の経過がわからないため、あっという間に百万円ためているようにも感じてしまいましたが、重いテーマの中にも淡い恋があり素敵な映画だと思います。最後のシーンの蒼井優さんがとにかく可愛かったです。
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蒼井優さんの、いろんな意味でのスッピン感が際立ってます。
ロードムービー的な位置づけになるのかな。
途中、やっと居場所を見つけたかのように思われる町で、森山未來さんの不器用さにムズムズハラハラします。
見終わった後、明日から何か頑張ろうと思わせてくれる映画です。 -
蒼井優がかわいい!けど、ストーリーは世間で生きづらさを感じる女の子の苦しさが描かれていて、涙が止まらなくなります。
冒頭、知人の身勝手に振り回され大胆な行動に出た結果、主人公は前科持ちの犯罪者になってしまいます。要領よく世渡りできるタイプの人だったら回避できるようなトラブルだと思う。運も要領の良さも持ち合わせていない主人公がある種自分探し(?)をする話なので、自分が行き詰ったときもう一度見たくなる作品です。 -
蒼井優さんの物静かながらに感情表現の豊かさに魅入ってしまいました。不器用な生き方、自身の中での葛藤と向き合って行く姿に勇気づけられました。頑張ろうと思える作品でした。最後の一言を発した時の鈴子は、言葉では難しいですがとても素敵でした!
バイトで百万円貯めるという目標を達成しつつ、移動してそれぞれの土地で頑張る鈴子。そんなしがらみの少ない生活に憧れる人も多いのではないでしょうか。もちろん苦労も多いのですが‥‥蒼井優さんに見とれてしまいながらも、ロードムービーの良い雰囲気も楽しめると映画だと思います。