ニトラム/NITRAMの紹介:2021年オーストラリア映画。1996年4月28日にオーストラリア・タスマニア島のポート・アーサーで実際に発生した銃乱射による無差別大量殺人事件を、事件の犯人であるマーティン・ブライアントの生い立ちを絡めて描いた実録犯罪映画です。
監督:ジャスティン・カーゼル 出演者:ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ(マーティン・ニトラム・ブライアント)、ジュディ・デイヴィス(マーティンの母)、エッシー・デイヴィス(ヘレン)、アンソニー・ラパーリア(マーティンの父)、ショーン・キーナン(ジェイミー)、リック・ジェームス(武器屋の店主)ほか
映画「ニトラム/NITRAM」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ニトラム/NITRAM」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「ニトラム/NITRAM」解説
この解説記事には映画「ニトラム/NITRAM」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ニトラム/NITRAMのネタバレあらすじ:起
1996年4月28日、オーストラリア・タスマニア島のポート・アーサーで無差別銃乱射事件が発生しました。死者35人、負傷者15人となった大惨事の犯人は一件ごく普通の若者であるマーティン・ブライアント。ただし、マーティンは知的障害を患っていました。
マーティンのあだ名は“ニトラム(Nitram)。名前のマーティン(Martin)を逆さ読みしたものです。それは知的障害を患うマーティンをバカにするクラスメイトたちがからかいの意味を込めて名付けたものでした。
マーティンは厳格な母のもとで厳しく育てられました。マーティンの父は我が子の知的障害のことを誰にも打ち明けられず、ひとりで抱え込んでいました。少年時代、マーティンは友人と花火をしていました。マーティンは火傷を負ってしまい、友人はもう嫌だと言い出しましたが、マーティンだけは華々しく燃えては散る花火に深く魅せられていました。
その後、病院で手当てを受けたマーティンは医師からもう花火はしないのかと尋ねられると、火傷は嫌だけど花火はするときっぱりと答えました。
時が流れ、青年になったマーティンは未だに打ち上げ花火の虜になっていました。隣人はうるさいと文句を言いましたが、マーティンの両親は我が子には全くの無関心でした。マーティンは非常にこだわりの強い性格であり、花火を買う金を稼ごうと、芝刈り機を手に近所の家々を回っては芝刈りをさせてくれと言っていました。
追い返されてもなお食い下がるマーティンに、呆れた母はこれ以上恥をかかせるなと忠告しました。この頃、マーティンは同世代のサーファーであるジェイミーと知り合っていました。
ニトラム/NITRAMのネタバレあらすじ:承
そんなある日、マーティンはいつものように芝刈り機を手に近所を回っていました。そんな時、古い豪邸を見つけたマーティンは家の主である老女のヘレンと知り合いました。ヘレンは独身で友人もおらず、猫や大型犬を飼うことで孤独の身を癒していました。
ヘレンから芝刈りを頼まれたマーティンは、その流れで大型犬の散歩も手伝うようになっていきました。宝くじのスポンサーだというヘレンは裕福であり、マーティンにギャラを気前よく渡してくれました。
それからというもの、すっかりマーティンを気に入ったヘレンは彼を頻繁に家に招き入れ、車まで買い与えました。その一方、マーティンの父は我が子の将来のためにと長年貯めてきた金で民宿を買い、マーティンに経営させようと考えていました。ところが、その民宿はいつの間にか父が提示していた寝よりも高値がつき、しかも誰かと売約が成立してしまっていました。マーティンの父は約束が違うと深いショックを受けました。
もはや家に居るつもりのなかったマーティンは荷物をまとめ、ヘレンからもらった車に積んでヘレンの家に上がり込みました。そしてマーティンはヘレンに一緒に暮らしてもいいかと尋ね、ヘレンは快く承諾しました。こうしてマーティンとヘレンの同棲が始まりましたが、マーティンの両親はヘレンのことを快く思ってはいませんでした。
ニトラム/NITRAMのネタバレあらすじ:転
マーティンとヘレンはロサンゼルスに移住しようと考えましたが、その矢先に二人の乗っていた車が事故を起こしてしまいました。マーティンは一命を取り留めましたが、ヘレンは命を落としてしまいました。深く打ちのめされたマーティンは、そのままヘレンの遺した屋敷でひとりすさんだ暮らしを送るようになりました。
それからしばらくして、マーティンはジェイミーと再会しました。ジェイミーは一緒にマリファナでも吸おうと誘い、女がいないというマーティンのために女を紹介しようとしました。ところが、ジェイミーは不用意に「ニトラム」と発言してしまい、そのあだ名を忌み嫌うマーティンは凍り付いてしまいました。
マーティンはヘレンの遺産50万ドルでかつて父が購入しようとしていた民宿を買い取ることにしましたが、新たに家主となった夫婦に門前払いをくらってしまいました。マーティンは精神的に弱ってしまった父に手をあげてしまい、母は必死に止めました。
マーティンはヘレンと一緒に行く予定だったロサンゼルスやハリウッドを一人旅で訪れました。そしてマーティンは初めて本物の銃に触れる機会を得ました。すっかり銃に見せられたマーティンはいくつもの銃を購入し、本格的に射撃の練習に明け暮れるようになっていきました。
そんな矢先、マーティンの父が突然この世を去りました。どうやら自ら命を絶ったようです。マーティンと母の関係は完全に冷え切っており、母から勘当されたマーティンはヘレンの屋敷でひたすら射撃の練習を続けました。
ニトラム/NITRAMの結末
マーティンはジェイミーと久々に再会し、金はいらないからあげると拳銃を差し出しました。怖気づいたジェイミーは逃げるようにその場から立ち去っていきました。
テレビのニュースでは性犯罪者が銃乱射事件を起こしたと報じられていました。そのニュースを食い入るように見つめたマーティンは銃やライフルの準備を整えました。
1996年4月27日、あの惨劇の前夜、マーティンは久しぶりに母と再会しました。その時は穏やかな時間が流れていました。
そして1996年4月28日(事件当日)。目覚まし時計の音で目覚めたマーティンは武器をヘレンからもらった車に乗せ、ポート・アーサーの別荘地に向かいました。そして事件は発生しました。全てを終えたマーティンは何事もなかったかのようにショッピングモールで黙々と食事を採っていました。
その夜、ポート・アーサーの事件は大々的に報じられました。マーティンの母は家の外で煙草を吸いながらそのニュースを呆然と聞いていました。
以上、映画「ニトラム/NITRAM」のあらすじと結末でした。
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