野菊の墓の紹介:1981年日本映画。17歳と15歳、まだ幼い男女が紡ぐ淡い恋を描いた文芸ロマンス。旧家の息子政夫と、その従姉である民子は昔から大の仲良しだった。しかし周囲は年頃になった2人の仲を邪推し始める。謂れのない中傷を受け引き離される民子と政夫。やがて若い2人の恋は、周囲に傷つけられながら悲劇的な結末を迎える。松田聖子の映画デビュー作であり、澤井信一郎の監督デビュー作。原作は伊藤左千夫の同名小説で、本作が3度目の映画化となる。
監督:澤井信一郎 出演者:松田聖子(民子)、桑原正(政夫)、村井国夫(斎藤喜一郎)、赤座美代子(斎藤初子)、樹木希林(お増)ほか
映画「野菊の墓」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「野菊の墓」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「野菊の墓」解説
この解説記事には映画「野菊の墓」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
野菊の墓のネタバレあらすじ:民子と政夫
舞台は明治末期の日本、千葉県矢切村。醤油の醸造業を営む斎藤家の政夫は、もうすぐ中学校に上がる予定の15歳。母きくは体が弱く、その世話をするために従姉の民子が住み込みで働くことになりました。政夫は2歳上の民子と昔から親しくしており、男女の意識など互いに全くありません。しかし年頃になっても無邪気に戯れる2人の姿に、周囲はよからぬ噂を流し始めました。特に斎藤家の奉公人達は、露骨に邪推して憚りません。彼らは民子と政夫が男女の関係にあるのではないかと考えていました。民子と政夫では家の格が違います。何より未だ“姉さん女房”が後ろ指を指される時代にあって、政夫と親しくする民子は格好の噂の的でした。特に政夫に好意を抱く奉公人お増は民子を快く思わず、理由をつけては2人を引き離そうとします。きくはそんな噂を馬鹿馬鹿しいと退けますが、政夫の兄喜一郎はもう子どもではないのだから甘やかしてはいけないと注意しました。
野菊の墓のネタバレあらすじ:恋の芽生え
心無い噂に傷つき、政夫の部屋で涙を流す民子。そこへきくが現れ、これ以上妙な噂が立たないよう2人を引き離そうとしました。政夫は反発しますが、それぞれやるべきことがあると諭されては納得するしかありません。それから政夫は部屋に篭って勉強する毎日ですが、民子のことが気になって身が入りません。民子に話しかけようにも、周囲の目を気にして自由に出来ない日々が続きました。ある日、きくの計らいで一緒に茄子を収穫することになった民子と政夫。互いに会えないことが寂しかったと伝える2人は、「今まで通り仲良くしようよ」と約束し、一緒に夕日を見ます。皮肉にも引き離されたことで、民子と政夫は淡い恋心を自覚し始めるのでした。
野菊の墓のネタバレあらすじ:野菊と竜胆
村に祭りの日が訪れ、斎藤家の奉公人達もこの時ばかりは無礼講で楽しみます。棉摘みが終わっていないことを気にかけるきくは、民子と政夫に行って貰うことにしました。棉畑へ向かう途中、政夫は道端に咲く野菊を摘んで民子に渡します。「民さんは野菊のような人だ」と言った政夫は、「僕は野菊が大好きだ」と続けます。民子は竜胆を見つけ「政夫さんは竜胆のような人だわ」と言いました。竜胆は好きかと問われ、「好きよ。大好き」と答える民子。楽しい時間はあっという間に過ぎ、2人が帰る頃にはすっかり日が暮れてしまいました。きくは2人で一緒に行かせたことを後悔し、予定を繰り上げて政夫を中学校の寄宿舎に入れることにします。別れが早まったことに民子と政夫はショックを隠せません。翌日、政夫は民子に手紙を渡しました。民子への清らかな好意を告げる文面に、堪らない切なさが湧き上がります。翌早朝、2人は船着場で別れを迎えました。民子は政夫の荷物に野菊の花を添えて渡します。
野菊の墓のネタバレあらすじ:縁談
政夫が寄宿舎に移ってしばらくして、民子に縁談が持ち上がりました。相手は隣村の吉岡という男性です。家の格が違うため、まず斎藤家の養女にして嫁がせると告げるきく。政夫を想う民子は拒否しますが、周囲はどんどん話を進めてしまいます。民子がなかなか縁談を承諾しないため、きくは政夫と結婚させることは有り得ないと断言しました。政夫は将来のある身。政夫のためを思うなら縁談を受けるよう迫られ、民子は頷くしかありません。1人涙を流す民子のもとへ、お増がやって来ました。あまりに酷いやり方に、一緒になって涙を流します。きく達の仕打ちに愛想が尽きたお増は政夫を訪ね、民子が無理やり結婚させられることを教えました。嫁ぐことが政夫のためになると言い含められ、民子は毎日泣き暮らしています。民子の嫁入りが今日だと知った政夫は走り出しました。やがて花嫁行列を見つけた政夫は大声で民子を呼びます。白無垢に身を包んだ民子は人力車から政夫を見つけますが、俯いて必死に堪えました。止めようとする喜一郎を振りほどき、竜胆を差し出す政夫。受け取った民子は静かに涙を流します。政夫はその場に膝をつき、泣きながら民子の嫁入りを見送りました。
野菊の墓の結末:永遠の別れ
吉岡家に嫁いだ民子を待っていたのは、姑からの陰湿な嫌がらせでした。花嫁行列に割って入ろうとした政夫の行動が、姑の逆鱗に触れてしまったようです。過酷な仕事を言いつけられ、民子は休む暇なく働きます。やがて民子は妊娠しますが、姑は政夫が父親ではないかと疑っていました。民子はますます冷たい扱いを受け、辛い仕事を言いつけられます。野良仕事の最中、竜胆を見つけた民子。嬉しそうに手を伸ばしますが、直後に苦しみ出して倒れてしまいます。それからしばらくして、政夫のもとに「スグカヘレ、ハハ」と電報が届きました。政夫が急遽帰省すると、斎藤家は悲しみに包まれています。きくは酷く憔悴した様子で政夫を待っていました。そして沈痛な面持ちで、民子の死を伝えます。無理を重ねた民子は流産してしまい、実家に戻された時にはもう手遅れの状態でした。衰弱しきった民子はきくと両親に看取られこの世を去ります。民子は死亡するその瞬間まで、政夫からの手紙と竜胆を大切そうに握っていました。それを見たきくは民子がどんなに政夫を好いていたのか悟り、一緒にしてやるべきだったと激しく後悔します。泣き伏すきくを前に、政夫はただ無言で涙を流し続けていました。後日、政夫は民子の墓に野菊の花を供えます。――それから半世紀以上が経過し、すっかり年を取った政夫は同じように民子の墓に野菊を供えました。大きな夕日が周囲を照らし、この映画も終わりを迎えます。
以上、映画「野菊の墓」のあらすじと結末でした。
「野菊の墓」感想・レビュー
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私は映画も本も読んでいませんが以前から気に掛けていた小説です。昭和33年生まれですが、、私も幼い心に焼き付く思い出があります。小学2年生の時、好きだった女の子が急に何も告げず転校して行きました。私はその学校から帰って家で一人大泣きしました。私は家族から毎日虐められその子が私にとっての希望だったのです。確かに異性としての憧れは有りましたが、、まるで天の使いの様な綺麗な賢い女の子でした。彼女が側にいる時はとても幸せでした。そして夕方になって家に帰るといつもの冷たい仕打ちが待っていました。でも私にはあの子が居て楽しかった。そして孤独感が消え失せそうな頃に放課後のドリルの時間があってその時ばかりは張り切って校内で一番に満点を取って帰る生活になっていました。実は勉強は好きなのですが親が嫌がれせの様に勉強について体罰を与えるので反発して成績は良い方ではありませんでした。それに孤独も邪魔して勉強どころではありませんでした。そこへ小学1年の二学期に転校して来た女の子に白羽の矢が立ってのです。私は夢中になって舞い上がってばかり居ました。当然、勉強そっちのけで、、ところが進級して同じ2年生のクラスで彼女とまた一緒。そのうち孤独感が消え始めた頃、ドリルの時間に先生が100点取ったら帰って良いと言われ確か通知表に影響しないと思い無心に試験に取り掛かると数分で100点満点を取って帰る毎日。普通は50分間試験のはずでしたっけ?しかし通知表の成績が良くないのを潜在的にコンプレックスがあったはずです。ところがドリルでは校長先生も気にする程の成績で?そうこうしているうちに自分て?と言う気持ちが自信という意識に達していく寸前であれは彼女の別れを意識した告白だったのでしょう?あの時は自分が怖気付いて何故かまた今度と言った翌日の朝、教室に彼女の影がない他の女の子のクラスメイトに聞いたら転校して行った?、、私はまた一人になってしまったショックで家族からの虐めもあって毎日泣きの生活。何度も家出を考えたけど連れ戻されたら何をされるか解らずずっと我慢して孤独に耐えて思春期を迎え今度は肉体的に勝てないと見て家族からのネグレクトが酷かった。そして大人になったら大人社会での世間も手伝って凄惨な虐め人生が最近まで酷かった。これが人間なのかと思うくらい。最後は暗い話で申し訳ない。東大医学部楽勝と浪人中思っていたが恐ろしいライバルと言うか学閥意識の知識人の攻撃で完膚無きまで疲弊。しかし60歳を過ぎて未だ高卒ですがスマホのプロフィールが理事会で認められある学会の会員の資格を持っていますが職がないのです。あった全財産は姉に騙される形で奪われて今も攻撃を受けていますが、、神さまが居るならばその報いは甚大ではないと思いますが、、あまり他人の不幸を期待したくないです。それが正直なところです。ありがとうございます
これを見た時、まだ私は小学校6年でした。3歳年上の姉が松田聖子の大ファンで、それに同行する形で、祖父と一緒に、当時はまだあった町の東映映画館に見に行きました。そして、あまり興味がなかった私も、見ているうちに、政夫と民子の恋が引き裂かれていくのを見ていられなくなり、泣いてしまいました。切なくて悲しい、叶わない恋のお話しでした。