北海ハイジャックの紹介:1980年アメリカ映画。油田基地を巡るテロリストとの戦いを描いたアクション&サスペンス作品。貨物船エスター号は、石油掘削やぐらルースとジェニファーに向かおうとしていた。しかし出港直後にテロリストに占拠されてしまう。エスター、ルース、ジェニファーに爆弾を仕掛けたテロリストは、イギリス政府に法外な身代金を要求。イギリス政府はこの危機を脱するため、フォルクス率いるフロッグマン・チームに助力を求める。別題は「ロジャー・ムーアの 北海ハイジャック」。
監督:アンドリュー・V・マクラグレン 出演者:ロジャー・ムーア(フォルクス)、ジェームズ・メイソン(ブリンスデン卿)、アンソニー・パーキンス(リュー・クレイマー)、マイケル・パークス(ハロルド・シュルマン)、デヴィッド・ヘディソン(ロバート・キング)ほか
映画「北海ハイジャック」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「北海ハイジャック」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
北海ハイジャックの予告編 動画
映画「北海ハイジャック」解説
この解説記事には映画「北海ハイジャック」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
北海ハイジャックのネタバレあらすじ:人質は油田基地
舞台は1970年代後半のイギリス。フォルクスは元海軍士官やコマンド部隊出身者で結成された私設のフロッグマン・チームに、日々厳しい訓練を課していました。フォルクスはスコッチを瓶でラッパ飲みし、大の女嫌いで猫を溺愛し、刺繍も嗜むという変わった男です。しかし実力は折り紙つきで、大手保険会社からも仕事を依頼されていました。
ノルウェーの港では貨物船エスター号が出航準備を進めています。そこへ6人の外国人記者がやって来ました。事前に同乗を頼んであると言われたエスターの船長オラフセンは、ボディチェックもせず船に上げてしまいます。エスターはこれから石油掘削やぐらルースとジェニファーに荷物を届ける予定でした。港を出て記者を操舵室へ招くと、彼らは突然銃を取り出し、船を貰うと宣言。彼らは記者ではなく、油田基地を狙うテロリストだったのです。
テロリストのリーダー、リュー・クレイマーの指示によりエスターはあっという間に占拠されてしまいました。船員は一箇所に集められ、テロリストの監視を受けます。予定通りルースとジェニファーに荷物を届けさせたクレイマーは、オラフセン船長に命令してジェニファーの主任ロバート・キングに連絡を取りました。そしてエスター、ルース、ジェニファーの海面下に爆弾を取り付けたと伝えます。手元にあるボタン一つでいつでも爆破出来る状態になっており、回避したいならイギリス政府に身代金として2500万ポンドを支払えと命令。支払いが無い場合は明日の午後9時にルースを、その4時間後にジェニファーを沈めると脅します。
北海ハイジャックのネタバレあらすじ:フォルクスの手腕
事件の連絡を受けた枢密院議長ティッピングは、すぐに首相に報告しました。翌朝、首相官邸で関係者を集め会議が開かれます。首相はまず、ルースに残された従業員を退避させるよう指示を出しました。そして保険会社から知恵を借り、フォルクスに助力を求めることにします。
連絡を受けたフォルクスは快諾し、作戦を海軍提督ブリンスデン卿らに伝えました。まずブリンスデン卿は政府の代表として、フォルクスは彼の副官と偽ってエスターの操舵室に入ります。ブリンスデン卿がテロリストの注意を引いた隙に、フォルクスが水中銃を使って反撃を開始し、船を奪還するという計画でした。
フォルクス達は悪天候の中ヘリでジェニファーへ向かいます。ジェニファーに到着したフォルクスは、驚くべき奇策を打ち出しました。ルースが爆破されたように偽造するというのです。日暮れと共にルースの方角の空で大爆発を起こし、爆弾撤去に失敗してルースが沈んだとテロリストに誤解させます。彼らが誤解したままなら、ルースの爆破ボタンは押されません。
北海ハイジャックのネタバレあらすじ:駆け引き
エスターでは船員達が何とかテロリストを撃退しようと頭を捻っていました。そして船の紅一点サンナが、テロリストのコーヒーに劇薬を混ぜ、毒殺するという計画を思いつきます。医務室からこっそり薬の瓶を持ち出しますが、運の悪いことにクレイマーに見られてしまいました。計画は失敗し、追われたサンナは極寒の海に飛び込みます。
午後8時、計画通りルースの方角で大爆発が起こりました。燃える空の色を見たクレイマーは、爆弾の撤去に失敗してルースが沈んだと思い込みます。9時少し前、フォルクスの指示でブリンスデン卿がエスターに連絡。0時40分に金を渡すと伝えます。クレイマーは爆弾避けとして、ブリンスデン卿とフォルクス、キングをエスターに招待すると言い出しました。手間が省けたと喜ぶフォルクス。3人はヘリでエスターへ向かいますが、フォルクスをじっと睨みつけたクレイマーは「いやな予感がする」と言い出します。そしてフォルクスをジェニファーに送り返してしまいました。
ジェニファーに戻ったフォルクスは、首相に連絡を取り万が一の時はエスターを爆撃して欲しいと頼みます。首相は承諾し、爆弾を積んだヘリを0時40分にエスターに向かわせると約束しました。41分にフォルクスが信号拳銃を撃てば万事解決、撃たなければ速やかに爆撃することになります。
北海ハイジャックのネタバレあらすじ:奪還作戦
フォルクスは部下に無線で指示を出し、自らも潜水してエスターに近付きます。夜の闇に紛れ、監視の目を盗みながら音も無くエスターに乗り込むフォルクス達。しかしフォルクスに気付いたテロリストが背後から近付きます。それを助けたのはサンナでした。彼女は海に落ちたと見せかけて、ずっとボートに隠れていたのです。寒さに震える彼女に礼を言い、フォルクス達はテロリストを1人ずつ静かに昏倒させながら操舵室へ向かいました。
40分、ヘリの音が聞こえ操舵室に緊張が走ります。ブリンスデン卿はフォルクスに習った通りにテロリストの注意を引きました。その瞬間、フォルクスがクレイマー目掛けて水中銃を発射。他のテロリストも次々撃たれていきます。爆弾は投下されたものの、フォルクスの信号によってギリギリでエスターから外れました。瀕死のクレイマーは執念で爆破ボタンに手を伸ばします。しかしフォルクスに阻止され、そのまま絶命しました。
北海ハイジャックの結末:大団円
事件解決後、フォルクスのもとに首相をはじめ関係者が勢ぞろいして簡易な式典が開かれます。勲章や階級を嫌うフォルクスのために、特別に用意された感謝の品が贈呈されました。それはエスター、ルース、ジェニファーと名付けられた3匹の真っ白な子猫です。フォルクスは思わず笑みを浮かべました。子猫にミルクを与えるべく立ち去るフォルクスに拍手が送られ、この映画は終わりを迎えます。
以上、映画北海ハイジャックのあらすじと結末でした。
この映画「北海ハイジャック」は、イギリスが国家事業として力を入れていた、北海の海底油田を題材にした冒険アクション映画だ。
三代目ジェームズ・ボンドのロジャー・ムーアが、女性よりも猫と刺繍が大好きという、変わり種の私設フロッグメン・チームのリーダーに扮し、北海油田の爆破をネタに身代金を要求するハイジャッカーと対決するというストーリーが展開していく。
物資を輸送する貨物船を、新聞記者に化けたアンソニー・パーキンスの一味の6名がこの船を乗っ取り、二つの油田基地に海中から爆発物を取り付け、24時間以内に2,500万ポンドをよこさなければ、爆発させるとイギリス政府に通告する。
このサスペンスが持続する間に、提督のジェームズ・メイスンと私設フロッグメン・チームのリーダーのロジャー・ムーアが、基地の一つにヘリで急行、対策を推し進めるのだった。
まるで、アリステア・マクリーンの原作かと間違えそうなお膳立てで、西部劇の世界ではジョン・フォード監督の後継者だと言われたアンドリュー・V・マクラグレンが監督だが、舞台が船ではいささか勝手が違い、職人監督らしい手慣れたまとめぶりを見せているが、とりたてて新鮮な魅力も強烈なパンチもなく、普通の娯楽映画の域にとどまっていると思う。
ロジャー・ムーアが、髭面の精悍な感じで、ジェームズ・ボンドとは、またひと味違った良さを出していたし、特に悪役に扮したトニ・パキことアンソニー・パーキンスが、インテリ的な小悪党を楽しそうに演じていて、なかなか味があって、良かったと思いますね。